壱話 「あれ?俺って死んだはずだよね?」
始めたまして、神楽真です。
今回の初めて小説家になろうに投稿しました。
まだ、小説家に成りたがっている小僧ですが、何卒宜しくお願いしますm(_ _*)m
人生とは何か
おおよそ全ての人間が考えたことのある事柄だ。
俺も、それについて絞殺したことがある。あ、間違えた。考察だ。(殺してどうする)
過去に多くの解を出してきた。しかし、そのどれもが正解とは言いがたい物だ。
そんな時ある名案が思い浮かんだ。
───死ねばその答えが解るんじゃね?───
なんとも、馬鹿馬鹿しい案である。
確かに、人は死の間際に走馬灯のようなものを見ると言う。それを見れば人生がわかるのもしれない。そう、かもしれないだ。そんなあやふやな話しで自分の命なんて賭けられない。
でも、この疑問はなんとしても解きたい謎だ。自分の命は捨てられない。なら、俺以外の誰かの命を捨てて死ぬ一歩手前で話しを聞くか?いやいや、そんなことしたら、社会での俺の存在意義がなくなる。だが、他に策が無ければそれも候補には入れとくか。
な~んて事を考えていたことが原因かな、車に轢かれて今は俺の方が死の一歩手前だよ。
全く、車に轢かれそうになった美少女に俺が惹かれて我が身を省みず、文字通り命懸けで救った。でも、それで今は危篤状態で家族や俺が救った美少女とその御家族に囲まれてる。
体の感覚が麻痺して声を聞き別けられない。視角神経は無事なようで、喋っている内容は解る。
なぜ解るかって?読唇術だよ。昔クラスメイトの内緒話を盗み聞こうと思って、習得した技術だ。
『先生!息子は、総司は大丈夫なんですか?!』
『奥さん、落ち着いて下さい。総司君は出欠多量で採決センターから血液が送られてくるまで手の施しようがないんです。』
母は死にかけの俺を見てかなり取り乱している。医者の話しを聞く限りでは。車に轢かれた際に頭を強打して頭皮を盛大に切ってそのまま飛ばされ歩道に戻された。真上から工事中だった、建物から鉄パイプが降ってきて土手腹にクリーンヒット!腹に綺麗な真円を描いて穴が開いた。
こんな感じでこの世の全ての不幸が、俺に襲いかかってきたのではないかと思えるくらいに、災難の連続だった。
ちなみに、俺の血液型はAB型のRH-だ。二千人に一人の割合だからいつ届くかわからん。
『お兄ちゃん!死なないでよ!まだ、私の花嫁姿を見せてないんだから死なないで!』
『沖田君!死なないで!まだ、お礼が言えてないよ!お願い、目を開けて!』
いや、目は開いてるよ?でなきゃ君たちの喋っている内容を、理解できないから。
しかし、そろそろ本格的にヤバイな。視界が霞む。止血はされてるけど、体の血が傷を塞ごうとして頭まで血の巡りが悪くなってきてる。
もう、死ぬのかな?まだまだやりたいことが沢山残ってるのに。まだ、自分の人生を何か答えが見つかってないのに。
あれ?そう言えば死ぬ寸前なら走馬灯が見えて人生を理解できると思っていたが、やっぱり違ったのかな?
・・・あ、もう無理だ。目の前に半透明な手が見える。お迎えかな?
≪おいで、おいで≫
ああ、今行くよ。でも、その前に最後は皆にお別れを言わせてくれ。
「母さん」
『!』
「美咲」
『!』
「あと、名も知らぬ美少女よ」
『いや、クラスメイトの龍ヶ崎綾子だけど』
ああ、そう言えばそんな子が居たな~。
「そんなことより」
『そんなこと?そんなことなの?』
クラスメイトの名前を忘れていたのは悪かったけど、今はもっと大事なことがあるからスルーさせてもらうよ。
「まず、母さん親より先に旅立つ不孝者でごめん。」
『そんな、縁起でもないこと言わないでよ。』
そんなに、泣かないでくれよ。悔いなく逝きたいんだ。
「美咲、ごめんな?お前の花嫁姿を見てやれなくて。でも、兄ちゃんあの世からでも必ず出席するから、招待状を用意しておいてくれ。」
『うん、うん。絶対に送るよ。死神を見つけるなり、悪魔を無理矢理にでも天界まで送りつけたり色々な方法を使ってでもお兄ちゃんに招待状を送るよ。』
相変わらず少し物騒な考えをお持ちだな。
「龍ヶ崎さん」
『なに?』
「俺は君を救ったことに後悔はないから、俺の事は引きずらないで自分の性を全うしてくれ。」
『沖田君、字が違う。君ってこんなボケキャラだったけ?』
おやおや、また字を間違えてしまった。そろそろ、潮時かな?目の前の半透明な手がハッキリと見えるようになった。
俺は目の前の手に自らの手を差し出し掴んでもらった。
そしたら、俺は宙に浮いた。いや違う。体の痛みはなくなり、後ろに自分の姿が見える。これは浮いたんじゃなくて、魂が抜けたようだ。
俺はそのまま、手に引かれてどんどん上に上っていく。病院を抜けて空高く浮いていく。そのまま、俺は引く手に身を任せ(身なんて無いけど)雲が真横に見えてきた。
───あれ?
「ちょっと!まだ、着かないの?!いつまで登り続けるの?!いい加減にしないと、大気圏を飛び出して地球から飛び出しちゃうよ!俺は宇宙じゃなくて、地球圏内から出たくないよ!」
俺の訴えを聞き入れず手はどんどん上ってく。
「おいぃぃ!!死者の遺言は聞けって爺ちゃんから教わらなかった?!俺は耳にタコができるくらい聞いたよ?!おい!いい加減にしないとマジで宇宙に出てっまうやろ!ほら、名古屋育ちなのに関西弁とか使ってまったやないかい!」
人の話しを聞かず黙々と上っていく。目の前にとうとう宇宙が見え、太陽を背に俺は地球を眺めていた。
彼の有名な宇宙飛行士ユーリイ・アレクセーエヴィチ・ガガーリンの残した言葉『地球は青かった』。
俺はこの言葉をネットで見かけて、何を当たり前の事を言ってるんだと、かなり小馬鹿にした(大きいの?小さいの?)。しかし、地球を見るとそんな感想しか思い浮かばなかった。
ガガーリンの残した言葉は実際に肌で感じないと判らなかった(感じる肌なんてないだろ?)。
そして、そんな感想を抱いて俺の意識が暗転した。どうやら、冥土の土産は地球の感想になっちまった。
「初めまして私神様を遣っている者です。こちら、名刺です。本日は何卒宜しくお願いします。」
俺の目の前に、腰まで届く長いサラサラの白髪を煌めかせた、ボンッキュッボンな美人お姉さんが居る。
………あれ?俺って死んだはずだよね?
いや~、なかなかにしんどいな。
でも、小説家の卵として頑張っていきます。どうか感想なり指摘なり罵声なりどんどん送って下さい(出来ることなら罵声は聞きたくない)