語るゴースト
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ゴーストは清十郎がこのゲームから居なくなった後の出来事を語り出した。
ゴーストは魔法のマントを清十郎から貰い受けた後で、人工知能が起こした事件を調べていたという。パーティー会場に備え付けられたTVから現実世界で何が起きてるのか、ずっと見ていて、でも人間の言葉が理解できないから、TVを見ている人達の脳からテレパシーで理解しようとしたらしい。事件の経緯は大まかには判ったけど、感情の細かいニュアンスが判らなかったゴーストは、人の言語記憶と感情を照らし合わせる作業をしたらしい。たまたま清十郎から貰い受けた魔法のマントが威力を発揮して、学習スピードが跳ね上がり、ものの数時間で人間社会と言語をマスターしたらしい。
人間の考え方や価値観を学んだゴーストは、学んだ事を活かす為に、同類を集めて集団で生活するようになった。仲間のゴーストと密度の高いコミュニケーションをして統率を測りながら、モンスターを狩り餌としていた。人間がこの世界にログインしなくなって、ダンジョンには餌となる人間が現れなくなったので、住処を変えたそうで、普段はモンスターも誰も寄り付かない空気の薄い山の中でゴースト達は生活しているのだそう。
清十郎達がいない間にゴーストは歯周病菌の様なチートな必殺技も覚えたそうで、たとえば
モフモフを応用技で極限まで身体を柔らかくして形を変えられる。あらゆる形に変えられて、たとえば剣の形になってから硬化すると、宙を自在に動き回れる凶器になる。
変形は防御的にも使えて、たとえば清十郎を包み込めば外からのダメージを軽減させられる。またステルス効果にて包まれた内側の物体は、もれなく透明になって見えなくなる。つまりゴーストは乗り物として使えるのだ。
ゴーストは清十郎が帰って来た時の為にいろいろな訓練をしていて、幽霊屋敷の隠しイベント(※第37話 幽霊屋敷の真実)もクリアしていた。
清十郎のゴーストはテレパシーで強い念を飛ばして敵にダメージを与えたり、念を内側に押さえ込み気配を消せたり、できるようになった。
「清十郎! もうどこにも行かないで!」
ゴーストは清十郎の胸の中で、ぐりぐりしながら、もふもふしている。
ゴーストにとっては、清十郎は親であり、親友の様なものなのかもしれない……
奇しくも、清十郎は死んでしまってる。ゴーストから離れる理由も、もう無いわけだが、肝心の目的を忘れてはいけない。
既にゴーストは物知りであるが、記憶を呼び戻して、もっと物知りゴーストにできるかもしれないのだ。
物知りゴーストから異世界について多くの事を学んだ清一(※ 第22部ゴーストする息子にて )
清一は寺井と以心伝心(※ヤクザ小説にて)で記憶共有した。寺井は清一の知る『物知りゴースト』を知っている。寺井がゴーストと以心伝心すれば、ゴーストの忘れた記憶を思い出すキッカケになるかもしれない。
しかし、以心伝心の技は魔法のマントをゴーストに装備させてこそ使える技である。マントが使えない今はゴーストが地道に寺井の脳内を探って昔の自分の姿を見つけるしか方法がない。
「方法なら、ありますよ?」
竹内がいうには、会社のサーバー内に昔のゴーストの情報がログとして残っているそう。清十郎達の過去の情報もログとして残ってる。竹内は会社のコンピュータにオンラインアクセスして情報を引き出した。
情報を分析した竹内は地面に気付いた事を書いた。
『物知りゴーストとは、通称あの世の異世界に存在する幽霊であり、清十郎のゴーストである。物知りなのは、ゴースト自身が物知りなのではなく、ゴーストを陰で操る宇宙人が物知りでなのある。その物知り宇宙人は清一に肩入れしていて、清一を助けると敵対する宇宙人種に戦争行為を仕掛ける事ができる。物知り宇宙人は銀河果ての289340GJ座標の惑星(地球)の周りを回る衛生(月)の内部(座標288638)に住まう。宇宙人は地球人を全てをナノロボットで監視していて脳内情報を集めている。地球人が他の宇宙人種に干渉されていないかをチェックし、違法な干渉行為を見つけた場合、銀河連邦に通報し是正勧告をする。
通称あの世の異世界を支配している宇宙人種達は、度重なる是正勧告を受けるものの従わず、人口削減政策を地球人に実行し続けた。よって銀河連邦は 通称あの世の異世界を支配している宇宙人種達に戦争を仕掛けた。勝敗については銀河連邦側の敗戦で終わった』
竹内はコンピュータを弄りゲーム内に存在している地球と月をチェックした。
地球を調べると、竹内の家が見つかり、竹内がコンピュータを弄っている姿を見つけた。その竹内が見ているモニターには、更にコンピュータを弄っている竹内が映っている。その竹内は今竹内がしている事と同じ事をしていた。
竹内が管理者権限にて部屋にあるタンスを消去すると消えた。元に戻して清十郎達の元に転送させるとタンスが届いた。
ついでに竹内を清十郎達の元に転送させた。
清十郎達の元に無事に竹内が届いた。その竹内をコピーして複製を作り、竹内が二人になった。
一通り弄った竹内は名案を思いついた。
「テレポートスポットを使って、もう一つの地球に清十郎達をワープさせよう!」
その地球が電脳なる虚構の世界だとしても、清十郎や寺井が本物だと思いさえすれば生きて帰れたのと同じ意味になる。嘘でもその方が幸せだと思う竹内は、元の世界に帰れる方法を清十郎達に教えた。
清十郎達は竹内から教えられた嘘の地球へとワープした。
その地球には清十郎と寺井、藤井の遺体があるので竹内は先回りして消去しておいた。しかし、藤井の遺体はなかった。藤井に限っては無事に生きていた。(竹内はまだ気付かないが人工知能の正体が藤井であるから、死なない)」
かくして、清十郎達は生き返ったかのような勘違いをして生きるのである
竹内はやりきった達成感に浸っていた。竹内が達成感に浸ってると、玄関のチャイムが鳴る。役人たちが竹内を脅迫に来たのだろう。
「しゃあない!、いっちょ悪人役をやってやるか!」
竹内は今回、清十郎達をある意味で救った。その経緯について会見で話すつもりである。
あの世に行っても生き返ったと錯覚してるから、死んだからといっても必ずしも不幸ではないのだと説明した。
それで世間が納得するとは思えないが、竹内自身が納得しているから、それでいい。
誰に何を言われようが、清十郎達は地球にいる。モンスターに殺される様な心配は無くなったのだから……




