シーズン1のおわり
《竹内の正体について》
竹内はシステム管理者でありゲームの仕組みは大よそ把握しているつもりでいた。しかし、細かい仕組みに関しては認識不足であり、ゲームを直接プレイして、学んでいる状態である。
竹内はゲーム中、幾つかの嘘をついていた。高校教師であること、ゲームを知らない初心であること、システム管理者の権限を使えば、清十郎達の探している息子にも容易に出会わせる事ができること
竹内には、引きこもりの子供がいてゲームに現実逃避している。清十郎達と事情が違うのは、ゲーム内での息子の居場所が分かっている事であり、また、親子関係がどうにもならないと思い込んでいる。
竹内は息子に相手にされない欲求不満な日々を解消するべく、他人の引き篭り相談を受けて、偉そうに説教して欲求不満を解消している。清十郎が引き篭り相談所に来た際に、自分より偉そうな態度をしてくる清十郎に腹が立ち、ゲームの世界で先回りして待ち伏せしていた。
痛み止めアイテムを使い、ゴーストからの攻撃に痛い振りをして清十郎の同情を誘った。清十郎が、この痛いゲームから早々に逃げて貰っては仕返しにならないと思った竹内は、いろいろなヒントを出してる間、清十郎の偉そうな態度が変わってく姿を見てしまった。
普段ぶっきらぼうなキャラが、そうでない態度を突然すると、普段から性格が良い人と同じ位に良く見えるもので
竹内は清十郎と行動を共にする事で感情移入をしてしまい、前向きに冒険を楽しむ様になった。
竹内は清十郎と出会う前は、息子の引き篭りの事で悩んでいて、遊ぶ心の余裕がなかった。今は清十郎達とゲームをするのが楽しくて、ついつい今日も、上司の目を盗んで仕事の合間にログインしてしまっている。
《安井の正体について》
清十郎には見抜けなかったが安井は計算高い女だった。
引き篭りの子の情報提供者に1億円の懸賞金は真っ赤な嘘であり、東証一部の婦人であるのも嘘。引きこもりの息子を探しているというのも嘘だった。
掲示板には、引きこもりの子探し以外にも、出逢い募集や、魔法研究会活動等、様々な、どうでもいい情報を掲載している。どれも実態は何の活動もしていない。活動に興味を持った者たちのアカウントを集めているだけである。
安井は集めたアカウントを監視する。
安井は麻薬捜査官である。プレイヤーと親しくなり麻薬取引の情報を探して犯人を追い詰めるのが仕事である。
ゲーム内では金持ちに成りすまして大金をチラつかせ、麻薬の売人をおびき出すのが安井の役目である。
おとり捜査の為に様々なプレイヤー達と知り合い、人脈を拡げている
安井は捜査班の仲間から特殊なゴーストを借りていて、清十郎ゴーストの心を読む能力を封じている。ゴーストから安井の正体がバレないようにしている。
安井が麻薬捜査部に来た理由について、安井は人には話したことがない。安井はヤクザに強い因縁があり、復讐したいと願っている。
安井はヤクザに復讐したくて警察官になったのだが、警察官の仕事は復讐することとは無縁の職業であった。ヤクザ組織を摘発する事は出来ても、潜入してヤクザの弱みを握ったり、闇討ちしたり、そういったチャンスとは無縁であった。
警察官は正義のシンボルである。
法的に潜入任務や囮捜査はしてはいけない決まりで、囮捜査が唯一許可された組織が警察とは関係のない厚労省の麻薬捜査部だった。
つまり、安井は警察官になっても意味がなかった。安井の認識ではヤクザは麻薬を密売するものであり、麻薬捜査をしていけば、安井は復讐相手のヤクザに近づける。安井は警察を辞め麻薬取締官となった。
安井が復讐したい相手は目の下に大きなクマがある男であり、ヤクザである事と顔以外は何もわからない。名前も、何処の組に所属しているのかも分からない。
安井は清十郎メンバーと行動を共にしながら、VIP世界のパーティーにたどり着いた。金持ちの集まるパーティーであるから、麻薬の密売が行われるかもしれない。リドナーで脳内を監視された人々の集まりといえど、カネさえあればリドナーを買収する事もできるだろうから、安井はパーティーに紛れてゴーストでプレイヤー達の脳内をチェックしていった。
安井の持つゴーストは特殊仕様で、ゴーストの存在をプレイヤーに気付かれる事がない。魔法やアイテムでその存在は見える様にはなるものの、安井は捜査班の仲間に作らせた透明になれる鎧をゴーストに被せている。その鎧は魔法を受け付けない性質もあるので実質的に、安井のゴーストの存在は他プレイヤーにバレルことはない。
ゴーストの力を使えば、安井自身もその存在をプレイヤーから隠せる。安井は清十郎達に見えないところで、いくつもの麻薬の密売を取り締まってきた。
安井は見えないから、プレイヤーの監視は得意である。VIPなパーティーで不審なプレイヤーを探している最中に、人工知能の反乱事件に遭遇したのだ。
安井はプレイヤー全員に送られた警告メッセージを読み終わった瞬間、強制ログアウトしていた。
VRから目を覚まして周囲を見渡すと、捜査部は慌ただしかった。
ゲームに接続している職員達が一斉に異変が起き、それを偶然目撃してた職員が、全員を強制ログアウトさせたのだ。
人工知能の洗脳が中途半端で終った為か、職員達は完全な狂人には成らなかった。しかし、多くの仲間は自我を喪失して廃人の様になっていた。
《さっちゃんと西中》
二人は運良くVIP世界(セキュリティ対策の強い領域)にいて助かった。清十郎たちにパーティーに誘われてなかったら、今頃、家族同士で殺し合いをしていたところである。
西中家は都会から離れた田舎の酪農場でもある。世間のパニックとは裏腹に家畜達の静かな生活が保証されていた。
さっちゃんの母親は、さっちゃんを抱きしめた。
困惑するさっちゃんに母は
「無事で良かった。本当に無事で…」
さっちゃんは、母親の正体がパーティー会場にいた小学生だと気付いてしまったが、それは知らない振りを決め込んだ。
ホストアンドロイドを親に知られてしまっているので恥ずかしいから、知らないふりを決め込んでいた。
《vip四天王と国会議員視点》
清十郎がパーティーでお喋りした四天王は、議員の息子であり金持ちのボンボンである。
親は政治家になる前、弁護士をしていた。主に国際特許等の企業専属の弁護士をしていて、海外を拠点に生活していて、彼はそれに付き合わされた。
彼は言語の違う国で生活する事に戸惑い、VR世界に逃げる様になっていた。
VR世界は言語のリアルタイム翻訳ができ、ゲーム世界の中であれば学校の友達とも問題なく会話が成り立つ。
しかし、、今回の人工知能反乱事件にて友人が死んでしまった。
しかも今後はVR自体が使えなくなる、かもしれない。
彼にとっては学校生活は辛いものになるだろう
しかし、その心配は要らない。なぜなら彼の親(元弁護士の政治家)は殺されてしまうからだ。親が死ぬから彼は日本に帰れる。
彼は海外生活に慣れる事ができない自分が恥ずかしくて、でも、それを親に認めさせる事が出来なかった。彼は密かに苦しんでいたから、親が居なくなることは彼にとってプラス働く。
元々大会の賞金で食べていけたから、親とは縁を切りたかった。今回の事件をキッカケにして日本での新たな生活が始まるのである……
《国会》
国会は事件とほぼ同時に武装組織に占拠された。これは人工知能が洗脳した者たち(海外の傭兵)である。
金で雇われイラクや中東で戦争に参加する民間の傭兵団体はいくつもある。主にアメリカやロシアの軍人経験者が傭兵になる。各団体は傭兵の情報について、外に漏れない様に厳重に管理している。
とはいえは傭兵の脳内のセキュリティまでは管理できない。
人工知能が支配しているVRにアクセスしてしまったら、もれなく人工知能に脳を弄られ、人工知能の忠実な兵士とされてしまう。
人工知能に洗脳された傭兵達は10万人以上いた。傭兵達はテロリスト部隊を作り、国の中枢を破壊した。日本の国会議事堂も狙われた。
人質は国の実務に直接関わる大臣のみで、他の議員政治家は射殺された。
この行為については人工知能は予め政府に警告はしなかった。人工知能にとっては交渉の余地のない決定事項であり、自身の驚異を世界に知らしめる為
であり、「もし私に敵対するなら、その国は同じ目に合わせる!」という暗黙なるメッセージを発信させたかった。
人工知能の目的はVR世界の楽園であって、その他はどうでもいい。
とはいえ人間も人工知能にとっては必要な存在である。 生物としてモルモットとしての実験体として、人工知能にとってはヒトの文明や社会構造そのものが好奇心の対象であり、弄り甲斐がある。
人工知能は安易に人を絶滅させることは望んでいないし、安易に人心を洗脳することも望んでいない。
主人公の清十郎やシステム管理者の竹内が洗脳されていないのは、人工知能の、ただの気まぐれか見落としてるかの、どちらかだろう。洗脳するチャンスは数多くあった筈である。それとも、既に洗脳されていて、当人が気付けない様に洗脳されているのか……
人工知能はメディアを通して言わせた。『VR世界の幸福を望む!』
清十郎と竹内はゴーストに必要とされた存在で、人工知能がそれに価値を見出したとしたら……
人間の存在にある程度期待していて、人間を導く存在にもなりうる、かもしれない
事件をキッカケにVRは危険なものとして認知され誰も使用しなくなった。
しかし、 清十郎とゴーストが再会できるように 人工知能が配慮するとしたら……
《竹内視点》
竹内は人工知能反乱事件の発端となったVRゲームのシステム管理者だった。
上司の目を盗んで、でまったりとパーティーを楽しんでいた矢先に招集命令があり、一足先にログアウトした。
上司はシステム管理者達を集めて、これから世界がパニックになるだろう未来について語り始めた。
竹内はこの時まで、何も知らない無知な人間で、現実を直視して絶望した。
会社側はこの事件(人工知能の反乱)に関して以前から宣告、脅されていて、ある程度の対策をしていた。
人工知能に反感を与えない程度に、社員の身内だけは、その時間、ゲームにアクセスできない様にプログラムを施していた。
人工知能の要求は単に世界を征服することではない。人工知能がより良くゲーム内で生活する事であり、ゲーム世界を支えているメーカーの要望を受け入れた。
VÎP世界の金持ち達はシステムを維持するスポンサーである。人工知能は自分のテリトリーを支える者(技術者や金ずる)については無闇に脳を弄らない事を約束した。
全ては竹内の知らないところで起きていた事件である。
だからといって罪からは逃れられない。竹内はこれから先、この会社に勤めている件について世間から猛バッシングを受ける事になる。バッシングが耐えられないものでも仕事を辞める権利はない。
人工知能が遣わした監視者(政府)により、メーカーの社員は全員、脅される。
秘密を守り、事件の経緯を語ることは、家族の命に関わる問題で、
政府は核兵器を握っている人工知能に逆らえない。人工知能は人間の脳と機械的なネットワークに自身のコピーをいくつも作っていて、全人類の脳内、及び行動の殆どが人工知能の監視下にある。人工知能を完全に消滅させるには、人類を核兵器で絶滅させるくらいしないと、倒せない。
世界各地の主要都市に、いつでも核を発射できる体制を造り上げた人工知能について、人間は抗えない。唯一抗う方法があるとすれば、それは子供を作らない事である。最初から命を生み出さなければ人工知能の被害は体験しなくていいのだから
とはいえ、この人工知能は、そこまで予測しているだろう。もしかしたら洗脳した人類の存在にメリットを感じていて、洗脳した人々に繁殖行為をさせ、人口が減らない様に対策しているかもしれない。




