ハセガワという男
清十郎と清一は助かった。
清一の首にはロープで絞められた跡が痛々しく残っているが、意識もなんとかあるようで
直ぐにでも病院に連れていかないといけない。清一は足を骨折していた。清一が逃げられない様に犯人達は清一の足を抑えてバットで殴ったらしく、
清十郎は清一を抱き抱えて玄関を出た。
銃を持ち、間一髪、清十郎たちを助けた男はハセガワと名乗った。
ハセガワは自衛隊員らしい。緊急事態につき、武器を支給され、各家庭を巡回しているのだそう
清十郎は清一を一刻も早く病院につれていきたい、なりふりかまわず、清一を抱えて外に出る
ハセガワが言うには事件のせいで被害者が多くいて、病院までの道のりは渋滞しているという
病院も患者を受け入れきれないそうで、自衛隊の医療班が最寄りの学校を拠点に待機しているらしい。
ハセガワは最寄りの学校に行くように指示をした。道中の狂人は排除はしたが、念の為、護衛が必要であれば、付き添うという。
清十郎たちは2キロ先の光木中学校まで歩く。
相変わらず道は渋滞していてる。渋滞といっても、車には殆ど誰も乗っていない。
皆、慌てて避難しようとして車を走らせたのだろう。渋滞に耐えかねて車を乗り捨ててしまい、道路が封鎖されてしまった。救急車や消防は通れず救助は難航している。
ハセガワは道中、清一の容態を気にして話しかけてきた。
清一はハセガワに笑顔を向けた。
清十郎にとってハセガワは救世主だった。もし一歩遅く彼が踏み込むのが遅れていたら、清一は死んでいたかもしれない。
清十郎は清一をおんぶしてるから、後ろでどんな会話のやりとりをしているのか、聞こえてくる。
他愛のない会話のやりとりであるが、清十郎は、久しぶりに聞く息子の明るい声が嬉しかった。
【学校】
光木中学校のグラウンドに自衛隊専用の車にヘリコプター、戦車も一台待機していて物々しい雰囲気に包まれている。
校門に見張りの隊員が6人ほどいて銃を構えている。
「さあ、ここでお別れです」
ハセガワは清十郎たちに一言そう言い、他の市民を救助しに駆けていった。
清十郎たちは校門の前にたどり着くと
「ストッー プ、ストーーップ!」
突然の警笛と叫び声。
無線機持った隊員達が銃をこちらに向けて近づいていくる。
「要救助者を確認、これからボディチェックを始めます」
清一は担架に寝かせられ、清十郎はボディチェックを受けた。
検査が終わり校舎の中へと案内される。
清一は担架を持った医療スタッフに連れていかれ
清十郎はスタッフから、息子が被害を受けた際の状況を細かく聞かれた
幸い息子の命に別状はないそうで、しかし、足の方は直ぐにでも手術が必要になるらしい。
清十郎は手術が始まるまで清一の手をずっと握っていた。恥ずかしがる息子の顔を見ながら、ずっと……




