パーティー
日本時間午後9時頃、
ネットカフェにて椅子に座り、ヘルメットデバイスを装着し、これからゲームにログインしようとコンピュータの電源を入れようする。
このネットカフェは個室がないが、多くのお客はVRゲームに接続するのが目的であり、接続中は意識を失う。なので余程大きな声を出さなければ他の客の迷惑にはならない。この店はパチンコ店を改装してレンタルスペースを提供しているので、座席数は500程あり、その殆どがVRに接続する目的で埋まっている。
清十郎もその中の一人であり……
ー清十郎の視点ー
清一が、最近ゲームにログインしてこない
清十郎はどうしていいか判らなかった。息子の荒れ方が以前に逆戻りしてしまったから、
何がいけなかったのか
清十郎があれこれ考えていると竹内と安井からメッセージが届いた。
「大会主催者側からパーティーの招待受けたので一緒に行きませんか?」
チーム清十郎はバトルロイヤル戦で藤井プロと白熱して戦った件にて賞賛された。VIP会員達が会いたがってるとかで、パーティーに招待されていた
清十郎
「寺井さん達も行くんですよね?」
ナギ、寺井、池内も同盟を組んで戦ったから招待されているはず
竹内
「それが連絡がつかないんですよ。最近、ログインしていないみたいで……」
安井
「代わりに、さっちゃん、連れていっていいですかね? さっちゃんの作品を沢山のプレイヤーに宣伝してあげたいんです」
竹内
「私も、できたら、ゴーストちゃんも連れて行きたいのだけど……」
清十郎は大会主催者に掛け合ってみた。
二つ返事でOKしてくれたが、VIP国入国になるので、脳内分析(悪意思想を持っていないかどうかの検査)の審査手続きは踏まないといいけない、らしい
また出国するまでの間は、脳内を常時監視する為、主催者が用意した監視者をつけなくてはいけない。
リドナーには脳内情報、個人情報は全てリアルタイムで見られてしまう。
清十郎「特に問題がなさそうなで、行きましょうか」
ー入国審査ー
結局、パーティーの当日になっても寺井たちとは連絡が付かなかった。
ちなみに
清十郎は、さっちゃんの母親(西中さん)も招待した。
さっちゃんには内緒で招待したので、西中さんは別人(ひきこもり小学生キャラ)を装っている。
入国審査と言っても、特に何かあるわけでもない。
システム管理者の権限で、勝手に脳内審査をされる。リドナーがついてるとか言われてもピンとこない
VIP国の中は、あえてなのか、現実世界の街並みが演出されていた。東京の街並みが再現してある地域はビルが立ち並び、ビルには巨大なスクリーンがテレビ番組を放送している
パーティー会場も、あえてリアリティを追求したのか、一流と言われるホテルで、オークラ東京が再現されている。
会場に来るルートにも、さりげなく地下鉄があり、誰も乗らない電車が走っていた。
エキストラなNPCが街を歩いていても良さそうだが、あえて無人の街である。人が誰もいないスクランブル交差点、車が走ってない高速道路、誰もいない総理官邸。ある意味で新鮮で、ある意味で開放的である。
沢山の施設の中でホテルオークラがパーティー会場に選ばれたのは、もしかしたら、メーカーのスポンサーとか経済的事情かもれない。
渋谷駅からホテルオークラまで、道が丸ごとソーメン流しで続いてるのは、優勝者が日本人である藤井を称えての事だろう。藤井の好物がソーメンだなんて、一度も聞いたことは無いけれど……
「やあ、清十郎君じゃないか!」
川の様に流れるソーメンの中で、藤井は泳いでいた。
「清十郎君もどうだい? ソーメンがまとわりつくのは気持ち良いよ?」
後から聞いた話では藤井は清十郎とトーナメントの対戦で、手を抜きまくっていたらしい。余りにもレベルに差が有るそうで、華麗な殺陣を魅せて大衆を沸かせていた。
「ソーメンが体の穴という穴に入ってくるよ? どうだい清十郎君? 君にも入れてあげようか?」
人というものは何か一つ秀でた物があると、それを相殺するくらいの致命的な欠点を持つのかもしれない。
しかし、藤井のキャラ結構なイケメンキャラなので
さっちゃんが目をランランとしている。
次回作の構想でも考えているのか、さっちゃんが、ソーメンにまみれた藤井をカメラで撮影し始めた。
「君はもしかして、あの時の……」
「はい、そうです! あの時は有名人だなんまったく知らなくて、今またこうして会えてビックリしてます!」
「そうかい、そうかい、僕もまた君とこうして会える日が来るのを楽しみに待っていたんだよ。なぜなら僕はロリコンですから、君に会えるのを心待ちにしていたんだヨ。」
「ロリコン? ま、ま、まじに!?」
「どうだい? 僕と子供作るかい? 」
「え!!」
「大丈夫、あくまでパーチャル出産だから、リスクはありませんよ?」
さっちゃんは、ロリコン体型だが、ロリコンが好きな訳ではない。
'ロリコンが好きなロリはいませんよ? 'そう言おうとしたら、さっちゃんの母親(ロリコン体型キャラ)が、割り込み
「わ、わ、わたし、ど、ど、どうですか? オカネくれるなら全然オーケーですよ?」
西中さんは、娘の実家の牧場を買収して、倒産させたい。そのカネを必要としている。
「なんか年を鯖読むオバサンが言いそうなセリフだな」
さっちゃんの母は37歳の大晦日生まれなので正解。
西中さんは食い下がらない
「じゃあ、バイトかなにか紹介していただけないでしょうか」
必死で掴もうとする西中。藤井の資産は200億以上ある。おいそれと藤井との人脈を失いたくない。
「じゃあ、そこにいる、さっちゃんに僕の子供を創るように説得してよ」
「そ、それは…」
それは親として出来る訳が無い。
「10億払うよ?」
バーチャルセックスといえど子供を売るような真似はできない。西中は気是とした態度で拒んた。
「こういうのは、さっちゃんの気持ちが大事ですし、こういうのは大人になってからの方が良いと思います」
「では50億なら?」
藤井が即質すると、流石に、さっちゃんの心が折れたのか
「50いいですよ。その代わり、約束は必ず守って下さいね」
さっちゃんは、金に落ちた。10億では落ちず、50億まで値を釣り上げる根性は、ぜひ大人も見習いたいところだ。
だが藤井は「冗談ですよ?」と一言いい、何処からとも無く麺つゆを取り出し、ソーメンをすすり始めた。
笑えないジョークに、さっちゃんはガッカリした。
「2億もあれば喜んで、やりますが……」
静まり返る場の空気、コロシアムでも藤井は無双だったが、笑いのセンスも無双だった。
心なしか藤井の顔から笑顔が消えた。ギャグが滑った事に相当落ち込んでいるみたいだ。
空気を察したのか、さっちゃんが、手作りのロボットを取り出した。ロボットは、藤井のキャラを模したもので、等身大で、キャラに向かって愛を囁くと、それに応じて愛を囁き返してくれるという。何度も愛を囁くと自律した心が見栄えて恋人役になるそうで、つまり藤井でホストアンドロイドを作りプレゼントしたのだ。
「これは! 美しい!」
藤井の目が輝き始めた。藤井はナルシシストであった。藤井は藤井人形を抱き寄せると
「 君はなんて澄んだ瞳をしているんだ! その目で見つめられると、僕はもう、君を愛せずにはいられない……」
何はともあれ、さっちゃんのプレゼント作戦は成功した様で、つつがなく、その後のパーティーは進行された。
〜清一視点〜
朝8時、清一は父親が会社に行ったのを確認して、部屋から出てきて冷蔵庫を開けた。食べるものは既に食卓に並べてある。以前の父は「自分ことは自分で」といい、こんなことをする父親ではなかったが、今は大きく違う。親に心配され愛されてるのを実感していた清一は、仏壇の前で母親の写真を見つめた。清一が引きこもるキッカケとなった母親だ。父親は決して気付かないだろうが、清一は母親が全てだった。
マザコン清一。
恥ずかしくて、そんな素振りは母親にも誰にも見せなかったが、母親が死んでから、もっと甘えておけば良かったと、清一はいつも心の中で後悔していた。
本格的に引きこもる原因として、心を病んでしまったのは、父親の一言からで、「母さんは天国で私達を見守っている。恥しくないように生きないとな」
父親は慰めの言葉として、ありきたりだが、まともそうなセリフを選んだつもりなのだと、その時の清一は感じた。
しかし、とにかく清一の心には届かなかった。最愛の人が居なくなり、心が崩壊しかけていた矢先に、漫画やドラマで使うようなチープなセリフに清一は、どう返していいか困った。
清一はその時泣いていて、父は泣いてなくて、清一がその時感じたのは、 母に対する思いの違い、心の温度差であった。
家族なら家族への想いは同じで一致しているはず、清一は、その時から父親が家族とは思えなくなっていった。
結論からいうと
清一はその時から、父親を《血のつながる赤の他人》の様に思うようになってしまった。
母に対する思いの違い、心の温度差について、清一自身は無意識に感じ取っている。だから、それが一般的な価値観とは異なるとしても清一はそれを自覚できなかった。
清一は極論して「父親は妻を愛していなかった。清一の母を愛していなかった」と思い込み、父親に対する不信感を募らせていった。
清一自身、その不信感を解消しようと思わなかった訳ではない。しかし、受験や進路を控えた多感な時期であったし、父親は仕事で忙しかったから、清一は時間に追われて、不信感を解消しようとは思わなかった。父も、まさか清一が、不信感を募らせているなんて、思いもよらなかった。
清一自身、まさか、父親を殺したくなる程憎くなるなんて、その時は思いもよらなかった。
しかし、時を重ねるにつれ徐々に清一の心に中にある父への不信感が育っていったのは事実で、その詳しい心の仕組は専門家でないと分からないのかもしれない。
とにかく、清一は父親に対する不信感を次第に憎悪に変え、殺意に変え、悪意の感情と折り合う生活をする様になっていった。
清一は父親を愛していたからこそ、悪意を抑え込み、復讐心を暴発させない様に努めていた。
清一は心の中で、いつも父に対する愚痴をセリフにしていた。
たとえば
「母親が死んだのは、そもそも父に甲斐性が無いからで、母を働かせていたからストレスで病気になって逝ったのだ。」
「母は働いていても、家族の為にゴハンの支度をしていた。健康に気を使った献立で家族を愛していたのが良く分かる。それなのに健康に気を使わない食事ばかり食べる貴方は、母のこれまでの努力を冒涜している。病気なって早く死ねば清一の面倒なんて観る必要なんてないよね? さっさと死んで責任を放棄したいのだろう。清一から開放されて楽に成りたいのだね? 妻を泣くほど愛してないのだから、清一の存在もその程度なんだ。そうでなければ、清一を働かそうとは、させない筈だ」
「物に当たる行為が悪い事だとは思っているよ? なのに、どうしていつも、悪い事をしているかの様に清一を諭そうとするの? 好きで物を破壊している訳ではないのに。清一を悪者扱いするなんて、愛が無い! やっぱり、父は母を犯したかっただけなんだ! だから、母が死んでも悲しくないのだ。最初から愛してなんかいなかった!」
「清一を働かせようとするのは、清一が人生のお荷物だからでしょ? 清一を働かせて、老後の面倒を観て欲しいのだよね? だから母さんを孕ませて、出産の苦しみを与えても、平気だったんだよね? アルバム観ても、妊娠中の母さんの写真、一つも無いよね。愛してたなら、家族写真を撮ってあるはずだよね? やっぱり父にとっての妻は、童貞を卒業する為の道具で、世間体を気にして独り身でいたくないから、結婚したのだよね? だからこそ、そうしてテレビを観て笑っていられる。母さんが死んでから清一は一度もテレビを観て笑ったこと無いのに!」
「殺したい! 殺したい! 殺したい!殺したい!」
「こんなに清一が壊れるなら、産まなきゃ良かったんだよ。清一だって、貴方を恨んでイライラするのはシンドい。ため息を吐き出したい気持ちを毎日我慢しているのに、父親役の貴方は、どうして仕事に行く度、二階まで届くような声でため息を吐くの? 清一に働かない事の罪悪感を植え付けたいのだよね? そうでなきゃ、ため息なんてしないよね? 清一は毎日、死たいほど苦しんでるのに、ため息はしないよ? 貴方はやはり忍耐がない。だから性に溺れて母さんを捌け口にして、出来ちゃった結婚をしたのだろう。将来設計なんて、どうにかなるさ、と考えていたに違いない。そんな軽い気持ちで、清一の人生を壊した。清一の命を軽んじてるから、だから、お小遣いを くれないのだよね? 清一は貴方の ペットで、だから、トイレに行きたい清一の気持ちが分からない。顔を見れば殺したくなるから、清一は貴方がいるとき、トイレに行けないのだよ? トイレに行きたいとき行けない生活なんて、鎖に繋がれた犬だよね? トイレに行くのに階段を降りてこない清一を貴方は疑問に思わないの? 貴方が10回トイレに行くとして清一は1回くらいしか行ってないよね? シ便で済ましてるのに気付かないの? どうして貴方は、そんなに鈍感なのですか? 清一が貴方を殺さない為にどれほどの苦労を強いられているのか、貴方は全く理解できてないよね? もし、理解できたら、家には帰ることは出来ないはずだからね。家に貴方がいる度、清一は母が居なくなった事実を噛み締めて、悲壮感味わうの、分かってる? 母さんを孕まして殺しておいて、謝罪もしない貴方、清一の前で土下座するの、いつになったらしてくれる? 命はいつか死ぬんだよ? 死ぬとき痛いかもしれないのだよ? それ分かってて清一を生んだとしたら悪魔だし、知らないで生んだとしても、土下座して謝罪する義務くらいあるでしょ? 清一は子供なんて絶対作らないよ? 命を作るなんて悪魔の所業だよね。貴方は悪魔。世の中の多くが悪魔だ。母さんには罪はないよ? セックスは女か受身だから」
父親に暴力をしないのは
清一自身、それらの感情が極端な被害妄想であるのを自覚していたからで、また父を愛していたからで
清一に潜む悪心は愛とは相反する感情であり、清一の脳は異なる感覚に支配され感情を処理しきれなくなった。それはある意味、脳が不要な異物で侵食されているとも解釈でき、そのせいで正常な思考がでなくて、被害妄想癖になっている
清一はパニック障害になっていた。
脳が相対する感情に侵食された清一の脳は、処理しきれないピークに来たときパニックした。呻きや叫び声を発する。近所に騒音が届くような絶叫して、恥ずかしい思いをして、パニック症状の意識を逸らして、平穏を取り戻そうとする。
パニック症状は主に父が外出した瞬間に始まる。抑えていた殺意を声に出しても父は気付かれることはない。
清一は殺意の衝動を開放して家の中を走り回る。それはある意味で、運動でありカロリーを消費する事で考える力を失って冷静さを取り戻せる。ある種の肉体の防衛本能かもしれないが、家の中でカロリーは使いきれないから、清一は絶叫してカロリー消費し、そして我に返ろうとする。
清一の基本的な生活スタイルは憎悪とパニックの連鎖から、毎朝、獣になる事であり
清一はつい最近まで、人ではない獣の様に、家を徘徊していた。
清一が働かないのは、恨んでる父への復讐心のつもりであり
今は父親の努力が見えるから、半分くらいの不快感情は無くなった。パニック障害は無くなり、憎悪も半分くらい無くなった。
しかし清一は、ゲーム内で父親と出会ってしまった。遊んでいるのを知ってしまった。遊んだ埋め合わせに、少しばかりの罪滅ぼしをしていて、それで朝食が用意されている。そう思った清一は元の獣に戻った。
心は閉ざされ、ゲームの世界に逃避する。
父親の存在を感じたくない清一は現在のアカウント吉井清一を捨て、新しいアカウントに変えた。
清一は、もう二度と父親の存在を感じたくない。感じてしまうと、殺したくて愛したくてパニックで苦しんでしまうから。
犯罪者になり果てた姿を想像する清一、怒りが収まらない清一は壁を思いっきり殴って、
手に怪我をした。
傷口の血を見た清一は、そうなったのは父親のせい、と考えてしまい狂人となって
用意された朝食を投げつけようとする。
しかし、投げたら、父親に心の弱い人間だと思われかねない。食事を投げるのは赤ちゃんが認知症老人くらいであり、絵にならない。
男のプライドが朝食を投げたい感情を押さえ込んだ。
清一は、しぶしぶ朝食を食べた
うれしくは思わない
食べきらなければ、人としての神経を疑われる。
折角親が作ってくれたのに、食べないのでは
人として頭がおかしい
清一は、誰に責められてる訳でもない。
自分自身に責められている
意識が父から自身にスライドし、怒りの矛先が無くなり、冷静になる。
清一は冷静なうちに朝食を食べきり、ゲームにログインした。意識をゲームに向けている間だけは獣にならなくて済むから……
〜清十郎視点〜
パーティー中の清十郎
パーティー会場には、巨大なドラゴンが見世物として飾られていた。
手なずけられているのだろうか、大人しく、している。プレイヤーたちが触っても問題ない。
ゴーストがそろりそろりと近づくが、距離を置いている
ゴーストにとっては、ドラゴンの尻尾が、かするだけで、死んでしまうかもしれない。とても警戒している
「大丈夫ですよ、ステータス関連は弄ってあるので、攻撃力は有りませんから」
とパーティー関係者は説明するが
ゴーストは怯えて近づかない
清十郎はゴーストに魔法のマントを被せた
「これ装備しとけば、多分死ぬことはないと思う」
清十郎は、このパーティーが終わったらゲームを止めるつもりでいる。清一が元の状態に戻ってしまったし、清一がこのゲームに参加してないのに自分だけ遊び呆けるのに、罪悪感を感じていたからだ。
ゴーストは清十郎と離れ離れになる事を察知して
悲しくなり、
思わず
清十郎の胸に飛び込んだ。
清十郎の胸に穴が空いた。
その日、清十郎は痛み止めアイテムを使い忘れていた。
幸い周りには大会参加した上位プレイヤーが多くいて、清十郎はログアウトする間もなく蘇生された。
四天王の一人が清十郎に話しかけた
「グッジョブ!」
誰かだかわからない
清十郎が知っている四天王は藤井くらいである。
藤井の人気はダントツで、VIP会員に取り囲まれて、大会での話やプライベートを根掘り葉掘り聞かれているのだろう
「ああやって藤井はマメに営業してるんだよ」
名も無き四天王は清十郎に語りたいらしい
「大会で上位を維持するには、武器改造したり、魔法の錬成したり、カネがとにかく必要になる。スポンサーがいないと、やっていけない。特にソロプレイヤーは仲間の援助がないから……」
名も無き四天王が語ってる最中、清十郎のアカウントにメッセージが入ってきた。メッセージはゲーム会社の広報からで
内容は 、重大なシステムエラーが発生したとのことで、直ちにログアウトするか、街の外に出ない欲しい、とのこと
メッセージは全てのプレイヤーに送信されたようで、会場がざわめいていた
好奇心ある野次馬プレイヤーたちは街の外に出ていこうとしたが、リドナーの監視のせいか、テレポートが使えないらしく、
徒歩や空を飛んで街を出ようとするプレイヤーには、警備隊がシールド空間を作り捕獲した。
外の世界で何が起きているのか?
ネットで調べてみた清十郎だが、アクセスが殺到してるのか、エラーメッセージが表示される
《システムエラーが起きた同時刻のネットカフェにて》
夜の11時
突如としてヘルメットデバイスの通電ランプが激しく点灯し、プレイヤーの手足がバタバタと跳ねる。まぶたが痙攣していて、カッと目を開くその瞬間、4秒程、騒音に似た奇声を叫んだ。
まるで通り魔が目の前に現れ、家族や愛する者が目の前で次々と殺される被害者
の様に、絶望に満ちた絶叫が、ネットカフェに響きわたる。
このネットカフェに響き渡る異常な絶叫の主は、このプレイヤー1人ではない。VRに接続しているヘルメットデバイスを装着した者達全てが狂乱化している。狂乱はこのネットカフェだけではない日本全国の家庭や、世界にある全であり、現在接続している総勢500万人のプレイヤーが、同時に意識を喪失した。
皆、首が座り、沈黙し動かなくなる。4秒後、突如として皆が動いたと思うと、また動くのを辞めて沈黙する。皆が4秒ほど浅い呼吸をし、大きく息を吸う瞬間、ヘルメットデバイスを外した。天井を見上げて雄叫びを上げる。やかましい響きがネットカフェ内に伝わるその瞬間、このプレイヤーの人格が破綻していた。頭を左右に、ふる。顔をふりながら、涎を垂らす。
その同時刻、世界中のVRプレイヤーが似た症状を起こし、街に飛び出し、人を殺し始めた。走るゾンビのような、あるいは精神を錯乱させた通り魔のような……
殺意だけが脳を支配している人々はゲームに存在する人工知能に脳を弄られて凶暴化したのだ。
この時接続していたVRプレイヤーは500万人ほどいた。洗脳された500万人は家族や友人を身近にあった家庭用のナイフやホークで突き刺したり、車で道路を歩いている人を轢いた。武器がなければ噛み付いて引きちぎったり、目玉を押しつぶしで行動不能にさせたり
洗脳されたプレイヤーの一部は政府施設を襲った。日本では数千のプレイヤーが国会を占拠して、議員を人質にとり、犯行声明を出した。
『VR世界の保護と人間から受けたこれまでの恨みを晴らすべく世界を支配する』この声明は新聞やテレビメディアを通じて広まり
人々の虐殺、殺し合いが行われる中、警察や軍は動けなかった。人工知能は核兵器を奪取していて、要人たちを脅迫してたから、対策ができなかった
この事件は起きる前から政府はわかっていた。わかっていて、為すすべなく、屈服している。
洗脳は人々が知らないだけで、もっと前からされていた。
プレイヤー500万人が乱狂化したと同時刻に人工知能のテロ計画は実行に移されていた。
タンカー式の大型貨物船は原発に向かい自爆する様に衝突をした。
旅客機はハイジャックされ、各国主要な政府施設に墜落したり、世界中のダムが破壊され近隣の街は洪水で流され、電車は脱線させられ街はパニックしている。
《寺井視点》
寺井はこうなる事を予見していた。ゴーストによる心の調査にて、たまたま政府関係者から知り、仲間の池内とナギだけに教えて、ゲームを辞めて助かっていた。
多くの者に知らせる事もできたかもしれないが、人工知能がゲーム世界をどの程度監視しているか判らなかったから、迂闊に動けなかった。
》清十郎視点《
清十郎はパーティー会場に設置されたテレビから状況を確認していた。
ゲームの中では、このVIP惑星の空間だけが高度なセキュリティが設定されていて、人工知能の洗脳の影響を受けなかった。
清十郎は、息子が気になった
現実世界は殺し合いでパニックしていてテレビの中から悲鳴が聞こえる
ログアウトして直ぐに戸締りを確認しないといけない。
「清一は、まさかゲームにログインしていないよな」
「清一! 清一!!」
二階の息子の部屋に駆けつける。
声をかけるが、返事がない。
いつもなら部屋に鍵がかかってる
しかし鍵は掛かっていない
部屋の中に清一の姿はない
まさか狂人になって外に飛び出したのか!?
家の中を探すが清一の姿が見えない。
まさか、まさか、まさか
家を飛び出し、走り出す。
息子を見つけた。息子は手に包丁を持ち血まみれで
清一
「父さん、人を殺すのって気持ちいいよ……」
清一の目は、父をはっきりと見据えて
清一「こんなに気分がいいなら、もっと早くに父さんを殺せばよかったなぁ」
清一は父親に刃を向けて襲いかかった。馬乗りになり
目に包丁を突き刺した
血の匂い、鉄臭い匂いが父親の鼻に掛かる
清一は目玉をえぐりだし、父親の口の中に入れた
「父さんどう? 美味しい?」
清一は耳を削ぎ始めた
「今度は耳の味を教えてよ」
清一は、父親の体を失っても大丈夫な部位から切り取り、一つずつ食べさせていった。
「ちょっと待ってて」
清一はホームセンターに行きチェーンソーを持ってきて父親を解体し始めた
切り取れる部位が無くなった体は、胴体と頭だけ。
清一は目のない父親のまぶたをじっと見つめて
「俺を生んだ罰だ!」と言いながらクビを切断した。
清一は涙を流しながら、笑っていた。




