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飛び降りる父

この物語にでてくる内閣府の統計はフィクションではありません。最近発表された実数になります。



3話



どうですか?ゲームの調子は?


引きこもり対策の専門家がゲームを奨めるのは おかしなものだが、しかし

専門家はこうも言っていた。


専門家『十年前、内閣府の調査で 引きこもり40歳以上の人口が50万人を超えたという発表があったのはご存知ですか? 引きこもりの平均年数は25年で、家庭内暴力は親から子へ50件、子から親へは50件の報告があります。家庭内の恥として申告のないものを潜在値に含めたら、その数は更に増えます。先日も親子間で殺人事件がありましたね。 介護疲れから殺すケースや自殺を手伝うケース、いろいろありますが、統計数値的に改善の兆しがありません。VRが発売されて以降も改善率は変わらずです。、しかし、引きこもりによる殺人事件や自殺に限っていえば、VR登場以降確実に減少しているのです。ゲームを通して重症な引きこもりを理解することで、何かしらの小さな改善の兆候が見えるのです。ですからお父様も……



重苦しい。引きこもりの子を持つというのは、実に虚しい。まるで人生を否定されたかよう。子供にも世間にも、親失格と馬鹿にされてる気がする。自己責任っていわれたくない……

清十郎はぶつぶつと呟きながゲームにログインしていた。

先日知り合った引きこもりの子持つプレイヤーとパーティーを組んで、迷宮探索をしている。回復スポットでHPを回復し、今後の戦略を話し合っていた。


「ゴーストに対する攻撃は物理こうげきよりも、たいまつが良いのでは?」


「そういばフロアのあちこちに、たいまつが設置されてましたね。ゲーム性を考慮したら、ゴースト攻略の方法として可能性あるかもしれない。序盤の敵であるのだから、そんなに強くないと思いますし」


予測通り自爆するゴーストを追い払うことができた。隠し部屋に隠れなくてよくなり、迷宮探索かしやすくなり、行動範囲が広がっていった。


迷宮を進むと道がどんどん狭くなってく。ここでモンスターに遭遇してしまうと身動きが取れなくて厄介だ。タイマツを構える。


更に進むと、奥に明かりが見える

話し声が聞こえる。プレイヤーかもしれない。狭い道を進むと

大きなフロアが視界に現れる


プレイヤーたちが何人も集まっている。10人、20人、数を数える清十郎。皆、初心者のようで、顔をあわせて、挨拶をしている。清十郎も挨拶した。


なんで集まってるのか聞くが、皆、曖昧で「人が集まっているから、なんとなくここに」という回答。誰に聞いても同じで、最初にこのフロアに来ていたとされる者が分からない。フロアから出て行ったプレイヤーはいないので、誰かが嘘をついていることになる。


疑問していると、

フロアの床が突然開きだした。

轟音と地響きと供に、何かにしがみつか無ければ立てないだろう地震に耐えていると。

今度は前方の壁が崩れはじめる。



フロアの床下は足がすくむほどの高さがある。大地と雲、海が見える。


壁が崩れた先は視界が開けていて

惑星の輪郭さえも見える。


「まさか、ここを飛び降りろとでもいうのか?」ひとりのプレイヤーが言った。



「そうに違いない。罠の落とし穴なら、ゆっくりとは開かない筈だ」


清十郎は思った。飛び降りるのが正解だとしたら、息子もこの高さから、飛び降りた事になる。

そんな勇気が息子にあるとは思えない清十郎は、飛び降りるにしても、何かしら策があると考えた。


少なくともバラけて飛べばパーティーとは別れ別れになる可能性がある。

ここにいるプレイヤーたちも、一人でモンスターと戦うのが怖いからこそ、迷宮探索を放棄し、集まっていたのだろう。

モンスターと戦うにしろ、プレイヤー同士が共闘しあう事を求めあってるのが伺える。


皆が互いの顔色をうががいつつ、この状況を把握しようとしてるのは確かで、誰が先に発言権をとるかで付き合い方も自ずと決まるのだろうし、人見知りが激しい者は会話の群れから遠ざかって、引きこもるのだろう


皆とは距離をおいて、会話に参加してない老人キャラがいる。老人は集団をしばらくながめると

なにも語ることなく

いきなり、ひとり、ダイブしていった。

まるで水泳の飛び込み競技のようにダイブした爺さんは

凄まじいスピードで落下していき、雲の中に消えて行った。



「なんだよ。あれどう見ても初心者の動きじゃないな」

一人のプレイヤーが言い出した

それに続くように

「だったら、飛び降りるので正解だな」言い出す者が現れ

10人程のパーティーを組んで手を繋いだ。どうやら飛び降りるつもりだ。

パーティーを作り上げた社交的な青年が清十郎を誘った。

「オッサンもメンバーに入るか?」


躊躇した清十郎は、一先ず断わることにした。老人が何も語らなかったことに不安を覚えたからだ。


「歳に見合わず腰抜けなんだな、おっさん」


一人で飛べない奴に腰抜け扱いされるとは、もしこの青年が自分の息子ならば、明らかに教育に失敗したといえるかもしれない。清十郎は皮肉の気持ちを抑えて、彼らが飛び降りるのを待った。


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レビューは、お勧めする内容でなくとも全く構いません。お勧めできない理由や、ここがツマラナイ等なんでも構いません。 否定してこそ、新たな創造が生まれると思っているので
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