街くる父
街
街の風景は決まってないそうで、西洋式か、中世ヨーロッパ調か、現代世界的なのか、近未来型なのか、プレイヤーの好みに合わせて脳内に投影される。竹内がSF未来型な世界が好きなら、竹内にはそう見えるし、清十郎が江戸時代が好きならそう見える。プレイヤーそれぞれ見ているものは違えど、不自然なく互いに干渉もしあえる世界、それがこの街の特徴になっている。
「らしいですよ? 竹内さん」
清十郎は公式サイトを見ながら答えた。
竹内
「清十郎さん、あれは、なんでしょうか?」
清十郎には空飛ぶドラゴンに見えるが、竹内には宇宙戦艦に見える。それぞれモンスターとの戦闘に役立つ存在として、互に違和感なく受け入れられる様に配慮されている。
もし清十郎が、「あれはドラゴンだよ?」と竹内に言っても、翻訳されて竹内には「あれは宇宙戦艦だよ?」と聞こえる
街は盛大なパレード状態で、初心者、いわゆる新規のプレイヤーを盛大に祝うようにプログラムされている。美味しい料理や酒がたくさん用意され、美男美女が歌ったり踊ったりする。
一応、美女にはムフフに触ったりもできるが、他のプレイヤーの目もあるので、 普通はやらない。しかし、こっそりすることは可能なので、万が一最中を見てしまったら、それとなくマナー違反であることを忠告しよう。何もせず黙認するのもマナー違反である。
そんな注意書きが街の入口に張られている
街に入って直ぐ、清十郎と竹内は花束を持った子供達に迎えられた。子供達も勿論プログラムなので感情はインプットされていない。しかし花束を受け取ってみて、実際の人と見た目にも仕草にも違いが無いと感じた。
このVRゲームのクオリティは、以前に清十郎がやってたゲームとは明らかに違う。このゲームの存在意義はもしかしたら、性犯罪者に対する抑止なのかもしれないと思った。ロリコンが子供を犯してもこの世界での仮想キャラであれば合法であるし、パレードで用意されされてるセクシーな美女たちも、犯罪者予備軍に対する対策を兼ねているのかもしれない。
性に関する考察をしていた清十郎は、ふとプレイヤーが犯される可能性を考えてみた。たとえば清十郎が突然、ふいに竹内の唇を奪うことは可能だろう。しかし犯すとなると、ログアウトして逃げることはできるわけで
しかし清十郎はプレイヤー狩りをしていた時に気付いていて、相手がログアウト出来ない状況にできることを知っている。気絶させたり、羽交い締めにして、ログアウトボタンを押させないようにできる。
だからといって、性犯罪が起こるわけでもないだろう。仮想キャラが犯罪抑止力になるだろうし、参加者の身元はサービス会社が管理しているだろうから。
万が一事件が起きても、あくまで事後だし証拠はログとして残るだろうから、罪には問えるだろう。しかし、バーチャルの世界での性犯罪は法的に裁けるのか?
清十郎はネットから情報を探した。
どうやらバーチャルレイプでも事件とし認めらるそう。
清十郎は少し安心した。年頃の女性を守りながらの旅になると神経を使いそうだからだ
とはいえ、このゲームに性犯罪者予備軍が集まるというのは、気持ち悪いものがある。
竹内さんはこの認識は有るのだろうか、いや知らない方がいいだろう。
それにしても……わざわざプレイヤーキャラの肉体まで細部に作り込むのは、やりすぎではないか? 性が目的にこのゲームのをやるのはわかるが、それが目的でない人まで一律に性器を表現してしまうなんて、なにか大きな意味が込められてる気がしてきた。
まさかバーチャルで出産や子育てができるわけでもないだろうし
気になって清十郎は公式サイトを調べると
バーチャル妊娠と出産ができるようになってる。男でもゲーム内の性別設定を女にしておけば、出産を体験できるという。
まさか息子にバーチャルな妻や子供がいるとかないよな……もしくは息子自身が女で出産してて……
それにしても息子をどやって探すのか? 予め方法論について調べたが、息子のキャラクター情報が分からないことには、探しようがないらしい。竹内さんも事情は同じだろう。
息子を探すのは魔法のマントを探すくらい雲を掴むようなもので、困難が予想される。
清十郎は思った。この世界で息子に会うには消極的ではダメだろう。広く人脈を確保していかないと。その為には先程のパレードみたいな派手な演出をこっちからもする側にならないといけない。
それこそ先生の言っていたことが思い出される。信頼関係を得るには都合の良い人にならなければいけない。
しかし、何をもってして都合の良い人になれるのか?
人を助ければいいのか?
街を歩いていると、人々が広場に集まってる。求人広告を見ているようだ。
この世界には独自の通貨があるらしく、アイテムを売買したり、バーチャル子供を教育する家庭教師のバイトがあったり、保育園があったり
衣食住の必要性がないバーチャルな肉体だが、衣食住ビジネスがあるようで、
革新的デザインの服をつくったら、売れるらしく、美味い料理を作ればそれも売れる。土地や家はただ眺めるだけのコレクション的な意味しかないそうだが、それでもオカネが動いている。
清十郎は
バーチャルなモノ作りについて、少し興味があった。物理法則が現実世界とは異なるから、変わったものが作れるらしい。
武器や魔法武具、果ては魔法そのものまで、このゲームの世界で有り得る事は何でも可能であるそう。
清十郎は街を散策する際に、連れてきた仲間がいる。竹内にも話してないがゴーストが清十郎の頭の上に乗ってる。ゴースト仲良くなる過程で、ペットの様に懐かれたのだが、プレイヤー狩りをしている間にいろいろと気付いたことがあって……
ゴーストとはテレパシーで会話が可能なのだ。簡単ではないが強く意識を集中させると、ある程度簡単なコミュニケーションができてしまう。
今はゴーストが迷子にならない様に頭の上に乗せている
またゴーストは物体を、すり抜けられるそうで、これからの街の探索に役に立ちそうである。
神様おしえて
竹内は髪の毛を一本抜くぬつもりが、間違って2本抜いてしまった。
神様のお告げの威力が二倍になった気がした。神様の圧が二倍。
髪の毛はもういい、というお告げがきた。。
息子の手掛かりを得るには、もっと違う供え物が必要らしいが、何を捧げるかの回答はなく、自身で考えなさい、ということだろうか
何をささげれたらいいのか、考えながら竹内は歩いていた。不注意で、一人の女性と肩がぶつかった。互いにぶつかった拍子にバランスを崩しそうになる。
「ごめんなさい、あれこれ考え事してたもので」
竹内の言葉に被さるように
「いいんだ、こっちこそ、よそ見をしていてね、すまない」
女はそういうと、足早にかけていった。道先に誰かを追いかけてる様で
〜追いかけられてる男の視点〜
俺はアイツにストーカーされてて、困っている。ログアウトすればいいのだが、腕を折られてログアウトボタンにタッチできない。回復材は奪われたし、魔法呪文が唱えられない様に喉も潰されてしまった。
街中にはテレポートスポットがあるから、そこまで行けば、きっと逃げきれる。
誰かに助けて欲しいが、助けを求められないのは辛い。助けを求めた相手はきっと………
とにかく、つかまる訳にはいかない。
ここらへんがピークで、落ち目になると思う。




