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そうまでしても化粧はするが、そうまでしてもしようとは思わない。



 一年中冬でも構わないほど、筆者が夏が嫌いなことは以前にも述べた。夏は猛烈な暑さにために体調がかんばしくなく、筆者にとって本当に気が滅入る鬼門の季節であるからだ。

 祇園祭が最大の山場を迎え、むしろ夏本番はこれからというのに、既に筆者の住まう周辺の地域はうだるような暑さである。

 まあ、御託はともかくとして、夏になると全身に湿疹ができたり、起き上がれなくなったりする。

 湿疹は顔にできたりもする。瞼が腫れることもある。これは厄介である。なぜなら化粧ができない。

 アイシャドウ、アイラン、マスカラなる目を詐欺的に彩るための三種の神器がこの世には存在するが、その三種の神器を瞼が腫れることによって使用することを避けた方が無難な事態に陥ることがある。しかしこれは乙女にとっては由々しき問題である。


 身体がそんなことになってまでなんで化粧をしなきゃいけなんだ? 時間と金の無駄だろう? バカじゃないのか? なんていう声を完膚なきまでに粉砕できることは、乙女が執行することを許された純然たる権利である。

 化粧をしなければならないときはどうしても訪れるし、化粧をしないとモチベーションが上がらないし、っていうか単純に化粧がしたんだよ文句があるならオレの胸倉掴みながら言ってみやがれこの野郎という具合だから。


 そんな訳で多少の瞼の腫れ程度なら、皮膚科でもらった薬を塗って、普段の四割程度に抑えたうっすらと目に彩りを添える作業をするのである。

 そうまでしてもやるのか? ええ、そうまでしてもやるのデス。

 ただ、バスや電車の中で一から化粧をしている人を見ると、いや何もそこまでしてやらんでもアンタ……と思うことは道理ではなかろうか。


 バスの乗客で(筆者は最寄駅までバス通勤)、毎日は姿を見ないが乗っているときは毎回必ず化粧をしている女性がいる。それもいい大人がである。


 はっきり言おう。見ていて辟易へきえきする。いろいろ幻滅する。バスやら電車やら衆目の中で化粧をする勇気を称えたいなどとはどう間違っても思わない。

 割といるんだよなあ、電車の中などで化粧をしてる人。しかも不思議なことに揃いも揃って大して美人じゃない、どころかブサ……、うおおぉっと危ない、問題発言。

 筆者は人の美醜をとやかく言えたクチではないが、それでもすこぶる美人が公衆の面前で化粧をしているという場面に出くわしたことはない。


 ともかく、まあ朝が忙しいのはわかる。けれど化粧という名の水面下の修羅たたかいは、見えないからこそ美しいと言える。

 

 



 

 

祇園祭の山鉾巡行のときは大概雨、梅雨も追い込みでじっとじとという認識で来ているが、筆者は京都人ではない。

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