衣替え、それは夏への準備ではない。冬への序章である。
実におそろしきことに、もう衣替えの季節がやってまいった。この時期は季節の変わり目ということで体調もあんまりよくないし、何よりこれから暑くなるんだということを思うと、憂鬱で気分が塞ぐ拙者である。
そう、わたしは夏が嫌いなのだ。昔は(大学生くらいまで)そうでもなかったんだがな。ここ最近の夏は暑いが過ぎる。アホほど暑い。つらい。つらたん。つらすぎる。
そんなわけで夏をいっさい御免被りたい。すっとばして秋になってほしい。いや、年中冬でもかまわん。冬が来て桜が咲いて、そんでまた冬が来てくれればいい。わたしは冬が恋しい。冬よいかないで! もどってきて頼むから! カムバック、シェーン! あ、ちがった。
夏を前にわたしはやや途方もない気持ちになる。だから夏を越えるモチベーションを保つために、衣替えは夏への準備でなく冬への序章だと思うようにしている。
夏のはじまりは絶望ではない、冬への希望なのだ。長く辛い夏は、冬という輝かしい未来のためにあえて天が思し召した試練なのだ。冬という名の天の恵みを余すことなくこの身にうけるために、耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び、この荒野をゆこうではないか。荒野の果てに、わたしは救世主の再来を目にするだろう。
それすなわち、至上の楽土の顕現なり――――。
単に季節が順当に進んだだけ。




