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なぜかわたしには言ってくれないのです、の段



 家から駅まで単線のバスで通勤しています。今の住所に移って、十年ほど経ちます。ずっとバスを使っています。

 いつからかはもう覚えていませんが、わたしにだけは絶対に挨拶をしてくれない運転手さんがいます。中年の男性です。この人は、一見すると温厚そうなのですが、バスの停車する場所に別の車が停まっていると、その車の運転手に罵声を浴びせたりすることがある激昂しやすい性格をしています。

 バスの運転手さんは、幾人かでローテーションを組んでいます。人事異動で何年かに一度は総入れ替えがある模様ですが、その中年の運転手さんはわたしがバスを使い始めてからいらっしゃるような気がします。いろんな性格の人がいて、観察していると興味深いです。


 さておき、あるとき気づきました。この人(仮にOさんとしましょう。オジサンのOです)、わたしには「ご乗車ありがとうございました」を言ってくれません。他の乗客には言っているですね。でもわたしが降りる段になると、途端に静かになるんです。単線で乗る区間も乗客も限られているので、運転手も乗客も双方顔を覚えていると思います。

 わたしは降車のさいに定期を見せるのですが、Oさんはいつもそれを横目で見て無言なのです。そっぽを向いて定期すら見ないときもあります。現代社会でトレンドの、「ピッ」って音が鳴る電子定期(関西では、イコカとピタパが主流です!)や、バス専用の電子(というか、ICと言え)カードをわたしは使用していませんので、定期を見てくれないと困ります。別にわたしは困りませんが、仮にわたしが不正をしていたらあなたとあなたの会社が困るんじゃありません? と言いたくなります。


 これはわたし、過去に何かやらかしたんだ、と思ってます。この人のしゃくに触るようなことを何かしたんだと。そうだとすれば、随分と根に持ってますね。アンタどんだけ執念深いねん、という話か、ワタシどんだけ無分別やってん、という話かのどちらかです。

 う~ん、若気の至りやったんかなあ……と悩みますが、今更思い出せるでもなし。

 毎回Oさんに遭遇するわけではありませんが、何も言ってもらえないと、「ああ今日もだったか……」と肩を落とします。

 まあ、どんなときでもわたしはちゃんと言ってますがね毎回。「ありがとうございました」って。


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