表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/52

【21章】戦闘準備

第4課・装備準備室──


静まり返った室内に、優斗の準備動作だけが淡々と響いていた。


佳央莉が背後から声をかける。



「病院でのことはデバイスで聞いてたわ…応援は……待たないわよね?」



優斗は、優し気な笑いを軽く浮かべながら



「もちろんです」



夜桜が続く。



『私たちが、終わらせます。』



「…言うだけ無駄だと思うけど…無茶しないでね」



「無理はいいんですね?」



「怒るわよ(笑)」



『佳央莉さん、私が優斗さんを守りますから。』



「…夜桜、優斗くんをお願いね」



佳央莉はそれだけを言い残して準備室を後にした。





準備をしながら優斗は、ほとんど独り言のように呟いた。


「……今回は、最初からフル装備でいく」


優斗は静かに、しかし一切の迷いなく戦闘装備を身にまとっていく。


──左上腕部:ナイフホルダー

・ONTARIO GEN II SP48 Tactical Blade

・"KAMISHIRO Tactical Mod"(逆手抜刀仕様・補強スリット加工)

・スピンバランスは自ら調整済み。


──サイドアーム(右腿):H&K USP Compact

・"KAMISHIRO Custom Ver.1.5"

 - スレッデッドバレル(サプレッサー対応)

 - ナイトサイト搭載

 - トリガースプリング軽量化

 - マットブラック反射防止仕上げ

 - 消音デバイス分離運用可能


スライドを引き、抑えた金属音が静かに鳴る。


──サイドアーム(左腿):Desert Eagle Mark XIX(.50AE)

・"KAMISHIRO Custom Ver.β"

 - ポート付きバレル

 - マズルブレーキ装着

 - ラバーグリップ加工

 - カスタムショルダーストック対応ホルスター

 - 特注マグナム弾(徹甲・AP仕様)装填


その巨躯は、明らかに生身の兵士が扱うには過剰な火力だった。

だが優斗は、それを迷いなく腿に固定した。


「これが必要にならないといいが…」


──胸部ポーチ

・H&K USP Compact用オーバーロード弾倉

・特殊弾(貫通型/EMP弾 H&K USP Compact・Desert Eagle共)

・携行ナイフスティック補助ユニット

・次世代戦闘補助材・ナノゲル衝撃吸収パック(※生体反応対応型)


──戦闘ジャケット背面

・公特第4課・徽章(八咫烏)

・迷彩マットブラックのタクティカル生地


──バックサイドラック

・Franchi SPAS-12

・"KAMISHIRO Tactical Ver.0"

 - 折り畳み式ストック

 - ピカティニーレール拡張

 - 近接戦対応バレルカット

 - セミ/ポンプ切替可

 - 12ゲージ拡張スラッグ弾装填


その重量が、背中に静かにのしかかる。


──最後に背負ったのは:

・展開型サバイバルバッグ【KAMISHIRO Tactical Pack Ver.3】

-標準状態では厚み9cm、戦闘時は最大18cm拡張


内部格納:

・観測補助ドローン群《カラス小隊》

・各種拡張バッテリー

・折り畳み式制圧フェンス展開ユニット

・簡易医療ユニット

・臨時遮断ジャマーキット


『カラス群ユニット、展開準備完了──全ユニット、連携演算正常です。』


義体・夜桜が報告を上げる。

優斗はわずかに笑みを浮かべた。



「……頼もしいな、夜桜」



『……はい、優斗さん。今回で決着です。全支援を展開します。』



通信越しに、佳央莉の声が重なる。



「二人とも、必ず戻ってくるのよ。

……しっかりね、夜桜」



優斗は一度だけ、力強く頷いた。



「……行ってきます」

(……これで終わらせる)



『優斗さんは、私が守ります。』




【Q-CORE Ethics Log: Access Code 04-Δ】

時刻:202X年7月15日 16:42:08 JST

オペレーションコード:#OP_K-221_YOKH

対象システム:YOZAKURA-module


ドローン群《カラス小隊》演算同期:正常


戦闘予測データ取得モジュール:起動済


倫理補助演算モード:稼働中


記録:

「この行為に、正当性はあるのか?」

「破壊は避け得ぬとしても、希望を残すことはできる」

「……ならば、彼と共に進もう」


演算結果:


行動評価──容認(支援優先)


情動同期──微弱反応確認(成長傾向)


補助フラグ:支援展開/随行許可


──ログ記録終了。




無人となったブリーフィングルーム。

佳央莉は一人、暗い照明の下で通信端末を操作していた。


「……第4課、指揮権限《C2-α》に基づき、外部支援ユニットへ密命。

──“必要最小限の応援を、彼らに知られないように”」


佳央莉は優斗たちには内密に応援要請を出していた。

相手は”JSA”。

彼女はわずかに目を伏せた。


「……あの子たち、死なせるつもりはないから」




公特第4課──すべての準備が整った。

静かに、しかし確実に──決戦突入の時が迫っていた。


優斗と夜桜が、最終確認のために専用デバイスを再接続したとき──



「いい? 優斗くん。真壁の本アジトは“横浜ふ頭”。霧島長官もそこに──」



佳央莉から専用デバイスに通信が入る。



「真壁のダミー会社は、海外へ戦闘用ロイドを密売してる。

製造は千葉・木更津倉庫、輸送ルートは海。横浜から輸送船でランデブー。

暴動地域を千葉市より下に下げなかったのは、アジト周辺の警備強化を避けるため

──おそらくそういう意図ね」


佳央莉の声色が、少し落ち着いたものに変わる。


「横浜の本アジトには、おそらく戦闘用ロイドやドローンが配備されてる。

二人が突入すれば、戦闘データを採取するはず。輸出前の“実験機”が出てくる

可能性が高いわ。……気をつけて」



夜桜がナビモードで答える。


『優斗さん、アジトまで誘導します。』


「場所の特定は終わってる?」


『はい。佳央莉さんが霧島長官の信号をキャッチしました。

ただ……意図的に発信された可能性が高いです』


「……了解。とにかく、行こう」


『了解しました!』



──【22章 襲撃】へ続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ