{第33話} 反撃の狼煙
凌三高校校則
其の三、年末の校則審査会では凌三会と生徒会、甲乙が校則草案を提出可能で、丙を含む全会一致で可決とする。頭取会と甲は拒否権を有す
残り時間は7分を切っていた。日が段々傾き始めている。
「……これが作戦の概要よ。あんたはこれ持っときなさい」
「かなりお前頼りだが、その体力で大丈夫か?」
「もし私がリタイアしても、あんたが何とかしてくれるでしょ。だからこんな無茶できるの」
「まあ、身の丈に合った結果に落ち着くだけさ」
大原女は残機10、俺は17、それに対し相手は無傷。
フィールドにブービートラップを撒いて索敵をし、鳴ったらサイレンサーピストルでじわじわ削り、気を取られているところに主砲の重機関銃の登場。良く練られた良い作戦だ。
だがな、お前らは大原女の真価を知らない。そこが俺らが唯一持っているアドバンテージ。
そこを最大限に活かしてもらおう。
「じゃあ、やるわよ」
「ああ」
大原女は遮蔽物から飛び出し、フィールドを縦横無尽に全力疾走し始めた。そうすると案の定
ピピピピピピピピピピピ
とブービートラップが次々と発動する。そんなのお構いなしに大原女は敵陣に入るか入らないかの瀬戸際のラインで引き返してまた全力疾走をする。
敵は意図が汲み取れず混乱しているだろう。
そういった状況下では判断の精度が著しく落ちる。
(そろそろか?)
俺は大原女が敵の視線を釘付けにしているであろう時にジワジワと前線を上げ、見晴らしの意良い場所の遮蔽に隠れる。
スパッ
「歩!」
残機を1減らした大原女が叫ぶ。
「2時方向の最奥に栗田確認!ツッコめ!」
俺の指示を受けた大原女は設置されている障害物をたやすく飛び移り、栗田への間合いを詰める。
栗田の攻撃を、神の勘とでも言うべきほど鮮やかに避け続ける大原女。
その間俺は敵陣へ更に歩を進める。
大原女がブービートラップを踏みまくったおかげで、俺は松本部長がいるであろう左側のゾーンに難なく侵入できた。
ドドドドドド
やはり大原女の背を狙う形で松本部長が重機関銃をぶっ放す。
「させねえよ!」
「!?」
俺は意識をこちらに逸らさせ、大原女から渡された煙幕弾を宙に放つ。
放物線を描いて落下した後、煙幕が俺と松本部長を包む。
これで大原女は栗田との怠慢に集中できる。
あとは、俺が松本部長を足止めしつつ少しでも削って大原女の増援を待って二対一に持ち込めば…
その程度で、我を止められると思ったのか」
ドドドドドドドドドド
(あっぶね!)
松本部長は俺が来るであろう角度に弾を無秩序に連射し始めた。
俺はその場に伏せざるを得ず、近づくのに大幅なタイムロスが発生してしまう。
「お前らの大義も理解できるがな、大原女頭取がここに来て学校を根本から改善してくれたのも事実!ならば我々は、大原女頭取の統治に従うのみだ!」
言い終えると同時に弾もゼロになったのだろう。次に松本部長がとる行動は…
思案を待たずに俺は動き出す。
今の位置関係は俺が中間地点より少し奥側、松本部長は右側奥、大原女たちは左側の最奥にいる。
(松本部長は栗田との合流を優先させるはず!)
大原女と栗田の近接戦闘はまだ続いているようだった。時計に目をやると、大原女の残機は残り3まで減っていた。
(残機差が二倍の勝負はやはり厳しかったか…)
だがそんな泣き言は今は不要だ。今は松本部長の足止めが最重要。俺のやり方で、責務を全うするんだ。
「松本部長!栗田の残機はもう底をつきそうだな!」
必死に俺は叫ぶ。そんな事もちろん知らないが、一秒でも足が止まればそれでいい。
それに本物の重機関銃の重量は40㎏にいかないぐらい。
たとえ松ぼっくりで作ったとしてもあの火力を出すためには相当の重量であるはず。
松本部長の移動速度は俺より遅いはずだ。
「栗田!大丈夫か!」
俺の言葉を受けてか松本部長は足を止めて栗田の安否を確認する。
(かかった…)
俺が次の手を打つまでもなく、
「栗田ユメの残機が0になった為、リタイアとなります。直ちにステージから退場してください」
式則生徒会長のアナウンスが屋上一杯に響いた。残り時間は3分を切っていた。
ついったしてる@suiren0402desu
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