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{第30話} 血戦の火蓋

血戦規則


其の四 、甲からの血戦開始の申し出は拒否することができない。(これも姉が作った)その代わり、甲は血戦後、書類で正当性を証明す


松本部長はタオル頭に巻いてる寡黙な人。

栗田ユメはロングで髪のトップで纏めてる大人しそうな子。



 春風が吹雪く本棟屋上の血戦特設ステージ。ここは、血戦用にカスタマイズ可能なフィールドだ。今は一般的なサバゲ―フィールドがそのほとんどを占めており、その傍には松ぼっくり銃の最終調整をしている松本部長と栗田ユメがいる。


それと、腕に腕章をつけた女子三人が、何やら打ち合わせをしているようだった。


「大原女、あのヘアピンで髪を分けてるロングのいかにも真面目そうなやつと、ヘアピンで分けてるけどショートで瓜二つのちっこい二人は誰だ?」


「あの人たちは生徒会の人たちよ。ほら、挨拶行くわよ」


 そう言って大原女は三人の元へ歩き出す。


「式則生徒会長。以前はこの馬鹿の搬送を手伝ってくれてありがとうございます。ほらお礼」


「ありがとうっす」


 大原女に言われるがままお礼を言う。俺が大原女に蹴られて気絶したとき運んでくれたという人はこの人だったのか。


「いえいえ、当然のことをしたまでです。そんなことより、本当に良いんですね?」


 式則生徒会長は神妙な顔つきで大原女に確認をとる。血戦を開始した部は必ず監視の対象になるので、そこを心配したのだろう。


「ええ、私たちが学校を変えないと」


 口ではそう言う大原女だったが、わずかに瞳は揺れていた。


「分かりました。それでは秋、凛、よろしくお願いします」


「「はい会長!」」


 息の合った掛け声とともに、その二人はどこから出したか分からん大荷物をもって俺らに近づき、準備をし始めた。


「あのー式則さん。これは何をしてるんでしょうか」


「一応おもちゃとはいえ銃を扱うので安全対策ですよ。ベストに防弾ゴーグルに相方の残機が分かる腕時計と味方と連携するためのインカム。これらを装備して血戦をしてもらうんです」


 式則会長が説明している間にも、ちびっ子たちが着々と俺らに装備を取り付けて、あっという間に完了した。なにやら張り切っているようだ。


「これで両陣営準備オッケーですかね。では、開始の挨拶をするので皆さんこちらに集まってください」


 サバゲ―フィールドを一望できる所に集められ、ついに血戦が始まろうとしていた。両者の一触即発の緊張感が場を包む。


「黒木殿、我々が勝った場合は、分かっておるな」


「もちろん、もうほとんど編集は終わっていますよ」


「そうか、それならばいい」


(男の約束を俺が破る訳ないだろう。大原女のオフショットは、あれからもちょくよく撮ってたんだ)


 会話が理解できない生徒会の面々になぜか松本部長を睨みつけている栗田ユメ。普段なら激怒しそうなのに顔つき一つ変えない大原女と三者三様のリアクションだ。すぐどうでも良くなったのかタブレットに目をやる式則会長。そして進行を開始する。


「今回の血戦は凌三ぶっ壊し部と松ぼっくり解体部の間で行われ、監督は生徒会長である式則アヤメが取り仕切ります。前者が勝利した場合、松ぼっくり解体部の二名は兼部という形での所属。後者が勝った場合は前者の部二名の入部と松ぼっくり解体部のランクを一か月以内に乙まで上げるのが両者の条件となっていますがよろしいですね?」


 両方の部長は無言で頷く。俺が気絶した後に細かいルール決めをしたのだろう。大原女のオフショットは流石に本人が恥ずかしがってここには入れなかったってとこか。


「それでは、軽いルールのおさらいをします。制限時間は十五分。ヘッドショットで3点、それ以外で1点の残機が削られ、個人の残機20が0になればそのプレイヤーは脱落します。そして、制限時間いっぱいになった場合は二人の合計残機が多いほうの勝利ということになります。よろしいですね」


 また無言で頷く両部長。


「それでは、開始位置に行く前に血戦開始の号令を執り行います。両部長は前へ。咲さんからどうぞ」


 促されるまま二人は前に出て、式則生徒会長も一歩前に出る。



「我々は凌三の規則に準じ」



「公平な血戦をすることを」



「「この手に、誓おう」」


 

 両部長はそう言って握手をし、次に式則会長にも握手をした。


「それでは、両者開始位置に着き次第血戦を始めます」


 式則生徒会長の号令で、俺らはそれぞれの開始位置へ向かい始める。


「く、黒木君!」


 栗田ユメが話しかけてきた。


「なんだよ。手加減しろは無しだぜ」


「そんなんじゃないよ。むしろその逆、その、ごめんね」


 栗田はそう言った後、小走りで松本部長の元に駆けていった。


「なんなんだよ」


 真意は汲み取れないが、こっちにはフィジカル最強の大原女がいるんだ。俺も準備

はしてきた。そうそう負けないだろう。


「大原女、こっちの作戦はどうするんだ」


 大原女は答えない。


「おい、大原女」


 ハッとしてこちらを向く大原女。


「そうね、最初は左右に分かれて敵の場所の特定をして、一方的に見付けたら二人で

叩く。深追いはしないでゲリラ戦法で行きましょう」


「お前、本当に大丈夫か。体調がまだ優れないのか」


「大丈夫よ。私の実力あんたも見たでしょ。そう負けないわ」


「そうだな」


 あえて俺は追及しなかったが、大原女のアメジストの瞳はまだ、濁ったままだっ

た。


 両陣営の準備が整ったことを式則生徒会長は確認し


「それでは両者位置に着いて」


 式則生徒会長は数瞬の沈黙の後


「血戦、開始!」


 そう、高らかにスタートを切った。




ついったしてる@suiren0402desu

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