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{第23話} その後を君と

凌三高校校則


其の三、年末の校則審査会では凌三会と生徒会、甲乙が校則草案を提出可能で、丙を含む全会一致で可決とする。頭取会と甲は拒否権を有す




 夢を見た。



 俺が笑顔でサッカーをしている。



 ジリジリと焼け付ける太陽が、肌を焦がし、



 熱気がそんな焦げた肌に力をくれる。



 俺の、宝物。




 無機質な白い天井が俺の視界に映る。保健室のベッドに運ばれたらしい。オレンジ色の空は、もう夜に呑み込まれたようだった。


(痛っ)


まだ後頭部の痛みが残る。大原女は、血戦はどうなったのだろうか。そう思い立ち上がろうとすると、右横から大原女の姿が見えた。


「あんた、目が覚めたのね」


「おう、おかげさまでな」


皮肉たっぷり俺は言い返す。


「あんただって悪いのよ。私、あんな、か、可愛いとか褒められて限界だったのに、最後にあんな馬鹿な事言うんだから」


(怒っている様子は見られないので一安心だが、またあのしおらしモードになっているぞ)


「それは悪かった。それで、結果は」


「安心しなさい。あんたが気絶した後すぐに了承を得れたわ。私もユメも驚いたんだけど、相当あんたの、その、写真集が良かったみたいね」


「そうか」


大原女は、何かを聞きたそうにモゾモゾ太ももに手を入れて様子をうかがっていた。


「どうしたんだよ。また変になってるぞ」


「な、なってないわよ!その、あんたには感謝してるの。今日のは完全に力不足。やり方はどうかと思うけど、あんたはやっぱり私に必要よ」


アメジストの瞳を俺に向け、真正面から褒めてくる。


「お前が俺の事褒めるとかどういう風の吹き回しだよ」


「わ、私だっていつもツンケンしてる訳じゃないわよ」


こいつの不意打ちに軽く悪態をつきながら、やっぱりツラだけは完璧な大原女に俺は内心動揺していた。


「生徒会に紙出しておいたから、来週の月曜日の放課後に血戦よ。詳しいルールは後で言うけど、所謂サバゲーよ。武器も何個か貸してくれたわ」


(コレクションだけじゃなく血戦の内容もガッツリ血なまぐさいのかよ。どのみち本当にしょっ引かれてたんじゃないのか。まあ言わぬが仏か)


「まあ、これで第一歩だな」


「ええ、そうね…」


含みのある同意。


「あんた、今でもやっぱり帰宅部していたい?」


「当然だろ」


「明らかに才能がある事が分かってても?」


「何度も言わせるな。俺は平穏が好きなんだ。そしてなるべく早く家に帰りたいんだ」


大原女は俺に期待をしている。はっきり言って過剰な期待だ。そもそも俺はこいつに連れられただけで、自分からは何一つしていないのだ。


「そうね、負けたらそれであんたとは終わりね」


「ああ、そうだ」


大原女は俯く。そんな顔をしても、俺はお前のように前は向けない。いつまでも後ろ髪を引かれてる奴にはこいつのしもべなんて務まらないだろう。もっと適切な人がいるはずだ。


「とりあえず明日から、練習開始するから、サボるんじゃないわよ」


「ああ、もうここまで来たんだ。覚悟はできてるさ」


俺の答えがお気に召したのか、しおらしモードが消える。


「うん!あんたはそれでいいの!じゃあ、明日私んちでね!」


「もうお前と一緒に登校するのはずっとなのか」


「当り前じゃない」


(まあ、それぐらいはいいか)


「じゃあ私帰るけど、あんた夜道に気をつけなさいよ」


「俺を誰だと思ってるんだ」


「それもそうね、じゃあ明日!」


そう言って彼女は走り出して行った。俺も頭の鈍い痛みが引けてきたので帰り支度をする。


 ロードバイクから流れる夜道の景色は、冷たさを孕みながら、流れ星のように過ぎていた。




ついったしてる@suiren0402desu

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