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{第12話} 大原女咲の時間

凌三高校校則


其の二、部への所属人数で甲乙丙丁と等級が決まる。

甲・三十人以上で校則審査会での拒否権と血戦の強制開始権

乙・十人以上で部室の所有又校則審査会への校則草案提出権

丙・五人以上で正式な部となり、部活棟使用の優先権を有す

丁・五人未満では前記の権利を有せず




 拘束を開始しようとしたリーダーに俺が意を決して切り出そうとした時大原女が声を上げた。


「あんたって、この活動を通して自分に何か成長が見込めると思ってやってるの?」


淡々と話し始める。


「わ、我々は不純異性交遊を取り締まr」


「それであんたに何の得があるのよ。普通にしている人の足を引っ張って、それで満足なの?なにか人生における目標とか持って生きてる訳?」


「あ、あまりない、です」


リーダーは拘束具をしまいさっきまでの勢いを完全に失っていた。


(な、なんだこれ)


場の雰囲気を握っているのは完全に大原女の方だった。昨日の交差点で俺を圧倒した怒りの領域とは違う、冷たく、その場にいるものを強制的に竦ませるような圧倒的な場の掌握力だった。


「あんたさ、このままの人生で良いと思ってるの?」


リーダーに腕を組み詰め寄る大原女。


「正直、羨ましいしこのままだとダメだと思います。」


(普通に喋れるんかい)


「ほら、あんたはただ普通に異性と話している人たちに憧れがあって、だけど見た目か性格かその他かその全てかは知らないけど周りに劣っていると感じる部分があるんでしょ?だからマスクで顔を隠して、コートで体を隠して、変声期で声を隠すのよ」


言葉の暴力に戦慄する俺とリーダー。どこぞの名探偵が言葉はナイフだ、みたいなことを言っていたが、これはもうナイフというよりギロチンだぞ。


「そう、かもしれないです」


ついに正座になり始めるリーダー。説教の途中で起き始めた他の部員もそれに倣って正座し始めた。


「じゃあ、今のあんた等の問題を自覚できたなら、これからどうすれば良いか分かるわね?」


(先生かお前は)


CCC一同涙ぐみながら答える。


「「「「「自分磨きをして!絶対彼女を作ります!」」」」」


全ての装飾を脱ぎ捨てて答える彼らの顔は、希望に満ちた、晴れやかな顔をしていた。


「そう、頑張ってね」


天使のようなスマイル。


「その、お二方には多大なご迷惑をおかけして、申し訳ございませんでした」


俺等を見ながら土下座をする一同。


「まあいいぞ。許してやる」


「なんであんたが偉そうなのよっ」


大原女が俺の脛に蹴りを入れてくる。ちゃんと痛いんだからやめてよねそれ。


俺らのやり取りを見ていたリーダーが疑問を投げかける。


「あの、我々はどうすればお二方のように仲良くなれるでしょうか?」


顔を見合わす俺ら。


「俺らは仲良くないが。昨日会ったばかりだぞ」


「ええ、ただのしもべよ」


「そ、そうなんですか。とっても息が合ってるように見えたので」


(俺とこいつが?)


「それは気のせいだろ。とにかくお前らはまず性根を直して出直して来い」


「それはあんたもでしょ」


笑いながらツッコむ大原女。


そんな俺らのやり取りを羨望の眼差しで見つめる面々。


「俺ら、いつか強くなって帰ってきます!そしたら、あなた達の部活に入れてください!」


「ええ、いつでも待ってるわ。この、凌三ぶっ壊し部でね!」


静まり返る場。


「あ、あのはい。ぶっ壊し?まあ頑張ります!」


疑問符を浮かべつつCCCの面々は去っていった。その疑問は正しいと思うぞ。


 (台風一過。この状況にぴったりの四字熟語だろう。

それにしても、俺はこいつの才覚に戦慄していた。今の一連の流れ、相手をただ舌戦で打ち負かす訳では無く、その後の更生も促していた。

彼らは今後大原女が必要だと感じたらすぐにでも駆けつけるだろう。この学校をたった一人で変えた大原女の姉、大原女はコンプレックスまみれだろうが、確実に人を率いる力は姉妹どちらにも流れている。もしかしたら本当に…)


「っと」


「ちょっと!聞いてんの歩!」


彼女のキンキンボイスが俺の耳にダイレクトに鳴り響く。


「どうした。うん、よくやったと思うぞ。サンキューな」


取り敢えず礼は言っとく紳士な俺。


「そんなんの今はどうでも良いわよ!はい!周り見るっ」


ごきっ


強制的に俺の首を百八十度回す大原女。おい、今人体が出してはいけない音を出してたぞ。


それで見えた光景は確かに俺が最も嫌う光景だった。


 そう、人だかりができていたのである。本棟や、食堂の隣にある部活等からも人が覗いて今の事件を見ていたのだ。


(さ、最悪だ、やっぱりこいつは俺に最悪をもたらすんだ)


俺は大原女への感謝をすぐに忘れ、すぐにこいつが俺の平穏を乱す悪魔であることを思い出した。


「今はまだ目立つときじゃないの、翼賛会に目を付けられるのは今の私たちにとってマイナスにしかならないわ。いいから逃げるわよ!」


そう言い切る前に彼女は小さい体にはそぐわない推進力で走り出した。


「逃げるってどこに!」


つられて走り出す俺。


「校外、そしてまた戻るから近くが良いわ。そうね」


刹那の逡巡の後大原女は器用に後ろ走りをしながら俺を見つめ


「私の家に行くわよ!」


そう、高らかに言い放つのだった。




 今日は晴れ。神様、私の心はいつ晴れるのでしょうか。


 彼女とといると、どんどん自分を見失いそうです。

ついったしてる@suiren0402desu

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