{第11話} 全てを隠す、影の者
凌三高校校則
其の一、部活動の作成、活動、所属は、公序良俗に反しない限り、原則自由であること。また、部活動に関する請願又血戦の異議申し立てに関する審判は凌三会に帰属し、その他部活動も凌三会に連なる。凌三会の頭取は人事権、校則立案権から成る大権を有す
「歩!そいつらはCCCよ!」
「CCC?なんの組織なんだよ!」
ペストマスクに頭から足までを覆いつくす黒いコートを着た連中が五人、俺を取り囲み逃がさないようにしていた。あまりに非現実的な光景に俺も腰を抜かしそうになる。
唯一シルクハットを被っているリーダーらしき男が俺の前に来て、口は見えないが話し始める。
「わ、我々はこの学校で風紀を乱す者を取り締まり、正義の審判を下す者で、ある」
一声聞いただけで加工されていることが分かる声。このマスクも報復を恐れて装着しているのだろうか。
「俺は何も乱してないだろ。いたって普通に学校探検していただけだ。なあ大原女?」
「ええ。私たちは二人で、ただ他の生徒と同じように学校を見て回ってただけだわ」
身の潔白を証明する俺ら。これで納得してくれるだろう。
「う、嘘をつくな。こ、これを、見ろ」
そこには一枚の写真があった。何事だと思い確認するとそこには、日の出公園で俺が気絶した後だろうか。その俺をベンチで膝枕している大原女の姿が暗くはあるがはっきり写っていた。
「nnnnnnnnnnnnnnnnnnn」
理解不能な言語を発し真っ赤になりながら必死に弁明を試みようとする大原女。そんな抵抗も虚しく、リーダが言葉を紡ぐ。
「こ、これは我が同志が下校中の二人を不審に思い、尾行していたら偶然撮れたもので、ある。こ、これを見ても弁明が可能と申す、のか」
昨日の俺らの一連の騒動が凌三の生徒にバッチリ見られてしまっていたらしい。風紀ってのは不純異性交遊の取り締まりのことを言っていたのだろう。
(しかもこれは俺も文句を言いたいぞ。何をしてるんだこいつは)
百面相すべてを混ぜ合わせたような珍妙な顔でこちらの反応を伺う大原女。これは出会ってから虐げられてきた鬱憤を晴らすいい機会かもしれない。
「おい、大原女、これはいったいどういう事なんだ」
CCCの一員になったような態度で俺は大原女を詰める。
「ここっこ、これは!あんたが気絶しちゃって、その、あの、膝枕する側になったことがないから、その、好奇心で…」
しどろもどろで俯きながら大原女は弁明する。非常に気分が良いなこれは。
「いや興味があってもやらんだろ普通」
「する側って気になるじゃない!それともあんたは私に膝枕されて嬉しくないって言うの?」
論点をずらしてきた大原女。
「話が逸れてるだろ」
「逸れてない!いいから答えなさい!」
大原女は俺の言葉を待たずに反論する。
(なんでそこまで気になるんだこいつは。まあ冷静になると、もうスマホジャックをされている訳だし、実害がない分もう責めるのも馬鹿馬鹿しいな。それに俺だって散々アニメで見た膝枕を無意識状態とはいえされたのだ。嬉しくないといえば噓になるだろう。こいつに嘘ついても見透かされるか後々厄介なことになるだけだしな)
「嬉しいか、嬉しくないかの二択で言えばだな、あー、かなり嬉しくない寄りの嬉しい、かな」
俺の発言がすぐには理解できなかったのか大原女は少し考えていたがやっと意味が分かったらしい。
「そ、そうなの。あんたやるじゃない。へへ」
こちらをチラチラ伺う大原女。目が合う度照れたように俯く。俺もそんな反応を見て少したじろぎ、非常に居た堪れない空間が広がり始めていた。
「ご、ゴホン!」
黙ってやり取りを聞いていたCCCの面々は、リーダー以外なぜか床に倒れていた。辛うじて意識を保ったリーダが場を仕切り直すため話し出す。
「い、今のやり取りで、お前らが不純異性交遊者予備軍どころかもう既にその次の段階まで行こうとする大罪人であることがはっきり、した!」
リーダーの高らかな宣言。
「わ、我々はお前らを一級異性交遊者と認定し、裁きをく、だす!」
懐から手錠と、縄を出すリーダー。縄は拘束用だろうか。そんな事よりも気になるのは
「おい、なんで手錠が一個しかないんだよ。大原女しか裁かないつもりか?」
こいつが連行されれば解放されるので内心期待していたのだが
「こ、これはお前のものだ。社会のコンプライアンス意識の高まりと、翼賛会の監視の強化により、我々は活動の制限を余儀なくされたのだ。だ、だから男だけを数時間の拘束で解放してやる事にしている」
なぜか譲歩してやった雰囲気を出したリーダー。
(実はこの場を確実に切り抜けれる案が一つはるんだがな)
これを使うのは恐らく今までの比ではない位大原女の気に触れる。
多分俺はこいつらに拘束されるよりまずい目に合うだろう。そうすると、不確定要素が多いが第二の案でいくしかないだろう。
拘束を開始しようとしたリーダーに俺が意を決して切り出そうとした時大原女が声を上げた。
「あんたって、この活動を通して自分に何か成長が見込めると思ってやってるの?」
淡々と話し始める。
ここからは、大原女の時間だ。
ついったしてる@suiren0402desu
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