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{第10話} CCC

血戦規則


其の四 、甲からの血戦開始の申し出は拒否することができない。その代わり、甲は血戦後、書類で正当性を証明す



 俺がこいつの申し出を承諾してから、頗る大原女の機嫌が良くなった。

自販機で飲み物をおごってくれた時はこの世が終わるんじゃないかと思ったぞ。


なぜか俺の前じゃなく隣を歩くようになってきたし、中学以降二次元の様々なキャラに惚れて三次元の異性に心を開かなくなった俺でさえ、隣にこんな面だけは最高に良い奴がいたら少々困るぞ。


そして、そんな俺の思いなんて知る由もないこいつが口を開く。


「まずは今噴水広場にいるから、校庭のほうに行って本棟の裏にある施設を見学するわよ」


「へいへい。ところで、血戦で勝っていくのは分かったが、ただ勝つだけじゃ限界があるだろ。


そこらへんはどう考えているんだ」


(あまり具体的なプランが分かってないから一応確認しといたほうが良いだろう)


大原女のほうを見ると、石化したように停止していた。


「まさか姉さんみたく全勝できるなんて考えてないよな」


「ま、まさかね。ちゃんとプランがあるにきまってるじゃない」


「じゃあ話してみろよ」


「そ、それは…」


返答に窮する大原女。


(こいつ、本気で全勝して姉に勝つつもりだったのか)


愕然とする俺。ここまでの猪突猛進ガールだとは想定していなかったぞ。


「私、今まで姉の真似しかしてこなかったから、自分なりの戦い方ってのが分からないの」


「だからって突っ走りすぎだろ」


「うるさいわね!じゃああんたが副部長兼参謀として意見しなさい!」


まさかの丸投げ。こいつ、本気で一発殴ってしまおうか。でも絶対に返り討ちに合うので出来ないのが辛いところ。


「じゃあ俺は参謀な。いまのところ学校について無知にも程があるレベルなんだろ俺は?」


「そうね。あんたが通過した推薦だって倍率十倍はくだらない難関なのよ?それで毎年合格者は五人いればいいほう。今年は七人だったかしら。まあ、あの実績を引っさげれば不思議なことではないけど」


(そんなに凄いことだったのか。じゃあおじさんはなんで俺をここに入れさせたんだ?ただ近くて無気力な俺でも通えるからだと推測してたが、なにか裏の意図がありそうだぞこれは)


「じゃあとりあえず、探検をしてから作戦は考えるとしますかね」


「うんうん。そうしなさい。素直なあんたは良いわよ。一生素直でいなさい」


また機嫌が戻る大原女。


こいつはどうやら俺が部の一員として、こいつのしもべとして相応しい言動をしていれば機嫌を損ねないらしい。これは世紀の大発見だな。




(ん?)


俺は校庭で何か引きながら歩き続ける怪しい集団を発見した。


「なあ、あれはなんだ大原女」


「ん?あああいつらはたわし散歩部よ」


何の気なしに答える大原女。


「まじで意味が分からんのだが、なんでたわしと散歩するんだ」


「私に聞かれても知らないわよ。でもあの部活は徒歩だけで東北にあるすべての道を歩き切ったらしいわよ」


俺は本気で困惑する。なぜそんなことをする必要があるのかと考えるが、すぐ時間の無駄と感じやめる。


「こんな部活がこの学校にいっぱいあるのか」


「あれはまだましなほうよ。この学校に一般的な部活は片手で数えられるぐらいしかないと考えてもらっていいわ。それも大体強豪だけどね」


なんて絶望的なことを言ってくる大原女。


「お前の姉さんって本気で凄いんだな」


(たわしを散歩する以上におかしい部活を相手に戦わなきゃいけないのか…)


「だから言ってるでしょ。姉は全てを持っているのよ。」


寂しそうに大原女が呟く。しかしすぐいつもの調子を取り戻す。


「さあ、切り替えて、ここが食堂よ」


本棟と同じように白を基調とした、北欧の大理石建築を思い起こさせる洗練されたデザイン。目を引くのはその大きさ。収容人数は全校生徒を入れても足りるのではないだろうか。


「す、ごいな」


俺は驚きにより言葉に詰まってしまった。


「ここは料亭会が運営してるの。市と協力して大量生産できる設備が食堂内に設置されてあって、百円でバイキングが楽しめるの」


「凄いな、知らなかったぞこんな所。だから昼休みは図書室に人が全然来ないのか」


「あんたが情弱なだけで多分全員ここでご飯を食べているからでしょうね」


(あとで海淵にも教えてやるか、あいつも悲しき人種なのだろう)


ここで俺にひとつ疑問が生じる。


「料亭“会”ってここの運営は部活じゃないのか?」


「学校運営にダイレクトにかかわる部分を部活にしちゃってそれが審査で廃部になっちゃったらどうすんのよ」


ごもっともな意見だ。


「それにあんたがよく行ってるらしい図書室だって図書会が運営してるのよ?少しは考えなさい?」


どや顔で俺の無知を嘲る大原女。


(クソ、こんな憎たらしい顔でも可愛いぞこいつ。この世は不平等だろ。来世なんて要らないが、もう少し俺の死んだ目を直してくれよ神様)


都合のいい時だけ神にお願いする俺。


「さ!次は隣の部活等に行くわよ!」



元気いっぱいに大原女が歩き出した直後、不穏な気配が俺の背後に現れる。


その直後


ザザザ、ザザザザザザザザザザ!


巧みなフォーメーションで俺を謎の集団が包囲した。


「な、なんなんだよこいつら!おかしいぞ!」


俺の絶叫が辺り一帯に響き渡る。


「歩!そいつらはCCCよ!」


「CCC?なんの組織なんだよ!」


この学校は、平穏であることを許してくれない。

ついったしてる@suiren0402desu

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