出会い
雲一つ無い青空に教会の鐘の音が鳴り響く…
「あなたは永遠の愛を誓いますか?」
「はい。誓います。」
真っ白なウェディングドレスに身を包んだ人物が答える……
僕の名前は金手 純。
綱手中学に通う男子中学生。
今日から中学2年生の新しい学校生活が始まると心を躍らせている。
僕は背も小さいし童顔なのでクラスの友達によく女の子みたいとからかわれている。
けど、みんないい人ばかりなので関係は良好だ。
正直、自分の見た目が女の子みたいというのは自分でも自覚しているし、男の子らしくした方が良いとは思っているのだけど…
ホントの僕は…
始業式が終わって教室にやってきた。
生徒数がそんなに多いわけでもないのでクラス替えをしたところで大部分が見知った顔ばかりだ。
ガラガラッ
「は〜い。全員席について〜」
学年主任の先生が教室に入ってきた
「本当はこのクラスの担任は亀井先生にお願いする予定だったんですが、急病で入院されてしまいました。」
ザワザワする教室…
「え〜…亀井先生だって言うからテンション上がってたのに〜」「じゃあ、誰が代わりやんのよ?」「他に先生いなくない?」
生徒たちは人気の先生が担任をできなくなり落胆している。
「みんなも知っての通りこの学校にはギリギリの人数の先生しかいないので、このクラスは新任の先生にお願いすることになりました。先生、どうぞ。」
ガラガラッ
私の名前は奏手 雫。
大学を卒業して教師として働き始めて2年目の新人教師。赴任して2年目でいきなり担任をしてくれと頼まれてかなり困惑している。
しかし、両親ともに教職で子供の頃から厳格な教師になるよう育てられてきた私はなるべく平静を装っている。
「こんにちは。今年度のこのクラスの担任を務めさせていただく奏手 雫です。まだ教師2年目で至らないところは沢山あると思いますが、皆さんと一緒に成長していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。」
「去年入ってきた先生じゃん!めっちゃ美人!!」「クールビューティーって感じだな」「亀井先生よりも当たりなんじゃね?」「でも、結構厳しそう…」などと各生徒が口々に言い合っている。
確かに私は見た目がキツイとよく言われる…親がかなり厳しかったこともあり同世代の子達と遊ぶよりも勉強や読書を優先させられた。
なので、正直人との接し方にはあまり自信がなくてどうしても「冷たい」とか「キツイ」という印象を持たれてしまう…
ホントの私は…
そうこうしているうちに主任が先導して生徒の自己紹介が始まった。
そして小柄な俯きがちな男子生徒が立ち上がり顔を上げ自己紹介を始めたその時に…
二人の間に衝撃が走る…
(なんてキレイな先生なんだ…!?)
(なんて可愛い生徒なの…!?)
顔を真っ赤にした生徒は小さな声で自己紹介を始める。
「か、金手 純です。よく女子に間違えられるのですがい、一応男子です…あまり運動とかは得意ではないです…よ、よろしくお願いします…」
(あの子…同じ苗字なんだ…なんでだろう…凄く胸がドキドキする…)
顔が少し火照るのを感じながら他の生徒達の自己紹介に耳を傾ける。
「それじゃあ、後のことは奏手先生にお任せするんで、先生を困らせるんじゃないぞ!」
そう言って学年主任は教室を出て行った。
教室の中には予想外の若くてキレイな担任の先生に驚く生徒たちのヒソヒソ話が充満していた…