表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
隣の席の目堂さんは髪の毛に蛇を飼っている ―そして僕はトマトジュースを飲む日傘男子―  作者: ひゐ
第二話 僕しか知らない彼女のこと(知ろうと思ったわけではない)
11/41

第二話(06) 吸血鬼=悪い奴だから


 * * *



「久太郎! 遅かったじゃない……」


 家についたのは、日が暮れた後だった。案の定、母さんに心配された。


「うん……ちょっと……大丈夫だから」


 どきりとしたものの、僕は自室に駆け込む。

 僕と目堂さんがしてることを知ったら、母さんは何て言うだろうか。


 ……変なことをしていると、知られたくなかった。

 とにかく大人しく。とにかく普通に。

 僕は吸血鬼の血をひいているけれども『普通の人間』としてやっているよ、と。

 吸血鬼――恐ろしい怪物。僕は怪物の血をひいて生まれたけれど、大人しくしているよ、と。


 僕は、悪い子じゃない。


「久太郎、今日、お母さん、新しい日傘を買ってきたのよ! 今使ってるの、あれ小学生の頃から使ってるでしょう? 久太郎、最近大きくなってきたから、いまの傘じゃ狭いかなって……」

「……う、うん、ありがとう……あとで見る……」


 部屋の外に声を飛ばす。


 ――傘が小さいかもしれないとは、結構前から思っていた。

 でも言えなかった。変な話、なんだかやっぱり吸血鬼っぽくて。

 僕は普通の息子でいたかったから。


『いつか消えちゃうのかな』


 不意に、どうしてか目堂さんの言葉を思い出した。


 ――家で必死に普通であろうとする僕は、すでに消えちゃってる。そんな気がした。

 吸血鬼であることを、必死に抑え込もうとしてるから。


 ――吸血鬼は、悪い怪物だもの。



【第二話 終】

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ