第5話
クロス王子から後日事件の話を聞くと言われましたが嫌な予感しかしません。
ベッドでどうすれば乗り越えられそうか考えていましたがいい案は浮かばず、話を聞かれる日がやってきてしまいました。
胃が痛いです。
「失礼するよ。」
クロス王子が来てしまいました。
私が慌てていると。
「まあお茶でも飲みながらゆっくり三ヶ月前に起きた事件の話でも聞こうか。」
クロス王子の顔が怖いです。
笑顔ですがクロス王子の後ろに黒いモヤみたいなのが見えます。
気の所為でしょうか。
というか気の所為だと信じたいです。
「まず君はエリーナ・キャリルだな。」
「はっい。」
緊張で声が裏返ってしまいました。
「そうか、
一つエリーナ嬢に聞きたいことがあるんだ。」
「ここに来るのは《《リディア》》・キャリル嬢だったはずだ
なぜ《《エリーナ》》・キャリル嬢が来たのかな。」
ひー。
クロス王子が怒ってます。
怖いです。
笑顔ですがこれは黒い笑顔です。
黒いモヤみたいなのが濃くなっています。
そりゃそうです。
リディアみたいに可愛くなくて取り柄もない人物がやってきたら文句を言いたくなってもおかしくありません。
これを逃れるのには嘘をつくしか無いです、が
王子に嘘をつくなどしたら処刑されるに決まっているでしょうが、リディアや父がそのことを聞かれたらこう答えろと何度も何度も言われたので嘘をつくしかありません。
なので
「リディアは謎の病で倒れています、とてもですが他領には行くことはできません
なので代わりに私が来ることになりました。」
ここは嘘をつくしか選択肢はありません。
すみませんすみませんすみません王子様嘘をついてしまって。
「そうだったのか...。(リディア嬢はこの前パーティーで会ったのだが)」
「すみません。代わりに来て襲撃に遭うなんて。」
クロス王子が謝っている。
「いえいえこんなことたいしたことではありませんよ。」
「いや、たいしたことではないとはどういうことだ。」
あ、やばい
ついとっさに口走ってしまった。
エリーナにとっては襲撃がたいしたことではない。
今までにいくつもの命の危機に遭っていたからだ。
しかしごく《《普通》》に生活している人にとっては襲撃はたいしたことはあるのだ、ありすぎるのだ。
「つまり君は襲撃などたいしたことには分類されないぐらいのことがあった
もしくはされてきたということかな。」
またまたどす黒い笑顔を見せるクロス王子。
勘が尖すぎる。
確かにリディアやフラルからいじめられてはいた。
それに勘づくなんて。
「いえそんなことは一つもありみゃせん。」
つい大事なところで噛んでしまった。
「まあその話は後にしておいて。」
た、助かったー。
なんとか誤魔化せたとエリーナはほっとしていた。
「君は襲撃のときに魔法を使ったんだよね。」
「はい、それがどうしましたか。」
「うちの使用人が聞いていたみたいなんだ、魔法名は”フォーリーウォール”
その魔法”フォーリーウォール”は聖女にしか使えないとされている魔法なんだよね。」
「なぜ君はその魔法が使えるのかな。
そしてなぜその魔法を使ったのかな。」
「...。」
「まず”フォーリーウォール”という魔法は聖女が命を懸けてはる結界だ。」
「その魔法を使った聖女は永遠の眠りにつくといわれているんだ。」
「あまりにも術者が危険な魔法であるため知るものは指を数えるほどしかいない。」
「もう一度言う
なぜ君はそんな危険な魔法を知っているのか、なぜ使ったのか。」
こっこれはまずっい。
まずそんなにすごい魔法であることは知らなかった。
母がどうしても命を懸けてでも守りたい人ができたらこの魔法を使いなさいということは言っていたがまさか、
国で指を数えるほどしか知る者がいない魔法だなんて
とりあえずクロス王子に何か反応しなければ...。
「えっとそのっあのっ
その魔法は母から教わったもので...そんな危険な魔法だとは思ってもいなくて。」
「母からか...。」
「もしかしたらなんだが、君の母親の名前はアリス様なのか。」
「っなぜ私の母の名前を。」
エリーナの母親アリスは家ではリサーナ・キャリルと名前を偽装していた。
エリーナだけには本当の自分の名はアリスだと言っていた。
なぜだかは聞かなかった、悲しそうな顔をしていたから。
母は本当の名前がバレると大変なことになると言っていた。
なぜクロス王子は母の本当の名を知っているのか。
冷や汗が出てくる。
「こんな偶然があるんだな、
君の母親アリス様は聖女様だったんだ。」
すみません少し遅くなりました
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