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消化すべきもの

 ホームの増設を終えてから数日間は、午前中は被害にあった各町のギルドの復興の手伝いをして、午後はレイド島でカレン達のレベル上げの手伝いをして過ごしていた。そしてその合間のカレン達との雑談で、どうやらカレン達も神らしき男から、神託のようなものを受けていた事がわかった。




 タタタタン


 両手にイングラム短機関銃に似た銃を構え、雑魚を狩って行くカレン。デバッグの時は俺の装備を見て情緒がないとか言っていたはずなんだが?


「雑魚相手なら短機関銃の方が効率がいいからよ」


 あれ?心の声が漏れていたかな?

「あのねぇ、そんな訝しい表情をされれば、嫌でも言いたい事が透けて見えて来るわよ」

「カレンさん、怒ってらっしゃる?」

「いいえ!!」


 …怒ってるじゃんか。

 八つ当たりを喰らったゴブリンの群れが、可哀想に見えてくるのは気のせいか?


 そしてセレナはと言えば…


 ドドン ドン ドーン

 あれはバズーカか?いつの間に作ったんだ?まるでガ○ダムの最終決戦仕様のように、こちらも2丁のバズーカを構えて大型獣を殺戮している。


「ビイトの無限HPMPや、二人が持ってるスキルマスターみたいなのが欲しいかって聞かれたから、住民達に名乗った以上博士っぽく見えるように、この星のアーカイブを覗ける能力を頼んだのね。そしたらアーカイブ覗きながらこれ欲しいなぁって思うと色々生成されるのよねー」


 神から随分と便利な錬金術を貰ってやがった。


「それにしても、シナリオ消化はどうする?帝国をなんとかしないとさ」

「…?シナリオ消化なんかする必要あるの?」

 おいおいカレンさんや…。


「二人共、神から言われなかったか?」

「ビイトー…たぶんそれ記憶違いだと思うよ?」

「だね。私もカレンも言われたのは『クエストの消化』であって、『シナリオ消化』なんて聞いてないもの。だいたい、アベルガルドのシナリオをクリアしていないんだから、既にシナリオ自体が破綻してると思わない?」

「あ」


 俺の間抜けな表情に、二人が呆れたような顔をしている。そうだ、セレナの言うとおり既にシナリオは破綻している。それに確かに奴は『クエストの消化』と言っていた。勘違いするところだったな。


「ん?でもクエストの消化って…大雑把過ぎないか?どのクエストをクリアすれば…」

「どのクエストも何もないんじゃないの?」

「え?カレンどう云う事だ?」


 なんか二人に溜息をつかれた…。俺、何かおかしなことを言ってるのかな?


「カレンの言いたい事をビイトにわかり易く言おうか?」

「ああ、頼むよセレナ」


 今度は鼻で笑われたんだが…何故だ?


「あのね、神様(?)の言った『クエストの消化』って言うのはさ、要はこの世界で当面は好きに生きなさいって事よ」

「はぁ?あいつは俺達にこの世界のデバッグをさせようとしてるんだぞ?なのに好きに生きろってどういう………あ」

「ようやくわかったみたいね。好きに生きる、つまりは色々試すって事よ。それこそビイトの言うデバッグって事よね?」


 カレンの鼻がグングンと天狗様のようになっていくような錯覚が…うーん、凄い敗北感。




 でもそうだよな。シナリオなんてものはただ過ぎ行くものでしかない。何度も試みれるものではないんだものな。そんなものを消化しても、この世界の構成、あり方を決める指針にはなりはしないよな。



「シナリオを消化したところで、それってただ物語を眺めるだけの行為でしょ?この世界を完全に作り上げる為には必要ないでしょ」

 くっ…追い打ちかカレン。あ、ゴブリンキングにも追い撃ちしてる。足を撃ち抜いた倒れ様に、頭を撃ち抜いてるよ。酷いなぁ…。ゴブリンキングが俺と重なって見えて、哀れに思えるぞ…。


「でも、確かに帝国はなんとかしないと色々支障がありそうよね」

「そ、そうだなセレナ!」

「ええ、そこだけは同意するわ」

 『だけ』とか言うな。


「シナリオを追う必要はないけど、帝国は黙らせる必要がある。そう云う事ね」

 カレンとセレナが不敵に笑みを浮かべている。なんだろう…俺は置いてけぼりか?


 ズドドーン


 今度はワイバーンが、セレナのダブルバズーカの餌食になっていた。派手に頭を吹っ飛ばして…もうこれ、素材が台無しだな。


 気付けば陽も傾いている。そろそろ帰ろうと二人を促すと、各々例の指輪を光らせる。…ん?カレンの指輪の位置が、右手から左手の薬指に変わってないか?リサに対抗してるのか?


 ………聞かずにおこう。またややこしくなりそうだし。

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