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連盟議長団

 目覚めるとそこには…なんか人がいっぱい居た。


 まず俺の手を握りながら泣いているのはリサ。その横でもらい泣きをしているのがアーニャ。アドリア―ナとフィニアコンビもいる。ドギは元気になったスラフと肩を組み、その後ろには見慣れない…いや、知っているのだが、この世界の住人としては初めて会う事となる人物達が、膝を着いて俺の方を見ている。


「良かった…ビイトさん」

「お師匠~~ウニュニュニャ!」

「何がSSランカーだ。だから無茶だと言ったんだ」

「ボク達が到着する前に何やってるんですか、まったく」

「さすがは古の聖者様です。怪我人へのお早い処置に感謝致しますわ」


 いっぺんに話しかけられてよくわからんが、どうやら皆に心配をかけたようだ。因みにアーニャは喜びを表現しようとハグしてきそうになったので、両手で頬をつまんでやったせいで変な声をあげていたのだった。


「心配をかけたようだね。すまない」

 未だに俺の手はアーニャの頬を引っ張ったままだが、アーニャは目をウルウルさせながら喜んでいる…ように見える。そして揉みくちゃにされながらワイワイとまた皆で喋り出すものだから、俺は思わず笑ってしまった。そしてゆっくり体を起こした。




 そんな和やかな雰囲気に水を差すように「ゴホン」と誰かがわざとらしい咳をもらす。その人物はドギだった。



「ビイト殿…あ、いえビイト様、ご紹介したい方々がおりますが宜しいでしょうか」

 後ろに控えている連中の手前、ドギは俺を様呼びに戻した。仕方ないよな。何しろこいつらは――


「あー…なんか待たせてしまっているようで申し訳ない。ギルド連盟の…」


 右端の割腹の良いドワーフが、鍛冶ギルド議長のホムラン・ヒッテルド。

 その隣の年老いた人族が、パラダイム・テクニカル会長にして商工ギルド議長メラン・カーマイン。

 移って左端にいるアーニャと負けず劣らずの小柄な女性が、ホビット族族長であり、錬金ギルド議長であるルールリ・ルーラー。

 ルールリ・ルーラーの隣りにいる大柄な人物は鬼人族であり、バトルマスターの称号を持つ冒険者ギルド議長シュテン・オーグラー。


 そしてこの一団の中心にいる人物は、エルフ族代表にして魔法ギルド議長兼ギルド連盟盟主ザスカリ・エイデルと言う人物である。


 俺がこの一団全員の名を挙げると、その場に居た全員が目を見張った。そりゃー初対面であるはずなのに名前や役職まで当てられたら驚く事だろうな。



「さ、さすがは創設者様、感服いたしました」

 ザスカリが目を見張った状態のまま声を裏返ららせて呟くと、5人は平伏する形となり、ドギ以外のイーシスの面々は少し狼狽えるようにしていた。そしてそのドギは、片膝を着いて頭を下げている。


「頭を上げてくれ。堅苦しいのは勘弁して欲しいんだ」

「「「「「はっ!」」」」」

 うーん、だからそういうとこなんだって。堅いってば皆さん。


「それでお歴々は、いったいどういった用件でここへ?」

「はい、私が説明致しましょう」


 スッとザスカリは立ち上がると一礼をした。そして寝かされている俺の横に来ると、再度お辞儀をして――って何の儀式だ!!お堅いのはやめろって言ってるだろうが!

 そんな俺の意思を読み取ったのか、ザスカリはハッとした表情を見せたかと思うと、敬意を表す姿勢を解いた。


「申し訳ありません。目の前におられるのが、敬愛するアークマスターと思うとついつい…」

 そう言ったザスカリの顔には、照れ笑いのような表情が見えた。御年600歳を超えるハイエルフとはとても思えない顔だな。まあ、実際見た目がこの一団の中では一番若く見えるし。


「それで、何があった?」

 全員の名前と役職を挙げるなどという牽制染みた真似をした俺にも責任があるので、少しだけ偉そうな態度で応える。逆にその方が、議長連中も幾分か気が楽なようだ。ようやく全員が肩の力を抜いてくれたように感じた。


「はい。アークマスターがイーシスを出立された翌日なのですが、口惜しい事にギルド連盟総会議場が帝国に襲われ、接収されました」

「様々な結界を張り巡らしていた総会議場でござったが、帝国の科学力の前には無力でござった…」


 俯きながらゴザル言葉を発している鬼人族のシュテンの肩に、ホムランが手を置く。どうやら防衛の戦闘を担ったのはこの二人と、その部下達であったのだろう。大柄な男が俯いて肩を揺らす仕草は、その落胆ぶりを語るには充分だ。


「そうか、皆よく無事に逃げ延びた。怪我などはないのか?」


 ザスカリはニコリと笑う。怪我はないようだ。


「結界が破壊された後、全員を一箇所に集めて転移アイテムを使い、こうしてイーシスにてアークマスターをお待ちしておりました」

「しかし命拾いしたのも束の間でしたな。まさかイーシスまで攻められるとは思いもよらなんだ…」


 老人…メランの独り言のような呟きに、他の4人の目が吊り上る。


「貴様!アークマスターの御前であるぞ!物言いに気をつけよ!!」

「何を言うかシュテン。アークマスター御自らが堅苦しいのは勘弁しろと言うたのじゃ、かまわんじゃろうが」


 シュテンは激昂してその背に納めている長大な日本刀に手をかけている。今にも斬りかかりそうな雰囲気に、ルールリが深く溜息を吐いていた。この二人は犬猿の仲のようで、日常茶飯事な光景である事が窺える。


 てか待て、そのアークマスター様の御前で、刀に手をかける行為の方がどうかと思うぞ?


「まあ待て、ここは医療施設の中だ。もう少し自重してくれ」

 俺がそう言うと、シュテンは大人しく手を刀から引いてくれたが、目は未だにメランを睨み付けていた。頼むから大人しくしてくれ。。。


「そうか接収されたか…」

 あの施設は堅牢な防御システムの上に、各種結界までかけられた要塞のような施設なのだ。シナリオ通りなら破壊されていたはずなんだが、まさか接収するとは…。これは後々帝国に乗り込んだ際に一苦労しそうだなぁ。


「誠に申し訳ありません。嘗てアークマスターが遺されたアーティファクトの一つとも言えるあの施設を失った事は、痛恨の極みであります」

 ザスカリの落胆ぶりに、メランを睨み付けていたシュテンも、それを鼻で笑うような態度をとっていたメランも頭を垂れた。どうやら彼等にとって総会議場は、栄誉あるものであったのだろう。どうにかしてやるべきなのだろうか…。

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