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将軍のいたずら


柑奈かんなは仕事を終え、家までの道を歩いていた。



冬将軍。

今日を表す1文字として一番しっくりくるのが将軍様だった。

分厚いコートにマフラー、手袋をしていても半袖で歩いているのかと錯覚するくらい寒い。

風が強く、目を細めていないと土やホコリが入ってくる。


ああ、さっさと家に入りたい。

夕食は何にしようか。

冷蔵庫には豆腐とネギ…。

鍋は面倒臭いから湯豆腐にしよう。

一丁のまま鍋に入れて、食べる時に箸でほぐせばいい。


柑奈は極度の面倒くさがりであった。

豆腐を着る包丁を洗うのが、切った豆腐を鍋からすくうための網じゃくしを出すのが、億劫だ。

なんならリュックの奥からSuicaを出すのがめんどくさいがために、強風に煽られながら歩いている。

めんどくさいにおいて「本末転倒」な気がするが本人は気にしていない。


目を細めながら歩く柑奈の視界に黒い影がパッと入り込んできた。

「ん?」

認知するより先に左腕に軽い衝撃があった。

ドンッと音がして、黒い影がかんなの目の前で地面に伏せっている。


小学生なりたてくらいだろうか。

小さいけどランドセルを背負っている少年が伏せったままじっとしている。

柑奈もいきなりの出来事にどっかに動けず、そこの空間だけ時間が止まったようだった。

なんとか頭と体を働かせ、手を差し出す。


「大丈夫?」

返事は無い。

泣くのを我慢しているのかと顔をのぞきこんで見ると、少年の顔からは表情が感じられなかった。

目の錯覚か、一瞬カエルのような顔をしていたが瞬きをした時には普通の小学生らしい顔をしていた。

このままにしておく訳にも行かず、立ち上がらせるため、脇の下に手を入れる。

「ごめん、ちょっとおこすよ」

一応断りを入れ、立ち上がらせた。


少年は無表情のままだ。

「どこか痛いところある?」

…。

目も合わない。

うーん、困ったなあ…。






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