受け継がれるもの
フラマ、ミティスは目を隠して生活しています。
アルビターも目を隠して生活する事になる予定です。
フラマはアルビターを抱いて千寿の待つ客室に移動した。
そこには、ソファーで眠る千寿がいた。
「お待たせ、千寿。千寿?」
「は、っはい。」
千寿はフラマの声にびっくりして起きた。
「ふふ、そんなにびっくりしなくても良いよ。
千寿が居眠りなんて珍しいね。
今日は色々あったし疲れちゃったかな?
其れとも待たせすぎちゃったかな?」
「ミティス様はもう帰ったんでありんすか?」
「ミティスは仕事があるからね。
一矢とクロードが帰ってきたら千寿は一度『享雅閣』へ帰りなさい。
しばらく鬼百合は私が育てるよ。
時がきたら千寿にお願いする事になるから、それまで千寿は好きにすると良いよ。
この子はお前達にはまだ無理だ。」
「フラマ様がそう言うならわかりました。
ご連絡お待ちしてます。
では、私一人で帰ります。」
千寿は扇子で口元を隠した。
「わかったよ。なら私が送ってあげる。
奇跡のせいでだいぶ力を使っただろう?」
「御心遣いありがとうございます。」
「千寿、ありがとう。」
千寿は光に覆われ消えた。
ミティスといいこの子といい血は争えぬと言う事か。
鬼百合はまずこの目を治さなければならないが、母上が治してくれるだろう。
ミティスはアゥラがどうにかするだろうから良いとして、この子は我が一族や種族についてもっと知らねばならない。
しかし、この目の持つ意味はまだ知らなくて良い。
フラマはアルビターを優しく撫でた。
「お前の父も刀神も過保護だ。
だがまだお前を任せる事はできない。
本来ならお前の母親がこの時期は面倒みつつ神々の常識や歴史を教えるはずだったのだが…
お前の母親はただ人でお前の産んだ時死んでしまったのだ。
故にお前はイゥニスの王に預けられた。
ミティスの子と知られては命に関わるゆえ、双子の兄弟と偽った。
お前はまだ卵だったね。
鳳凰では不死鳥の卵を孵す事が出来なくて私がお前を孵したのだ。
お前は覚えていないだろうがね。
生まれたばかりのお前はとても愛らしく美しい黒い不死鳥だった…
漆黒に金と銀の飾り羽、紅き宝石の瞳お前は私やミティスを
確実に受け継いでいる。
この世界で最も尊い一族の一人だ。
だが其れはお前の不幸でもある。
力には責任や義務が伴う。
幼いお前にはまだ解らないだろうがね。」
そう言うとフラマは仮面を外した。
アルビターは暖かく優しい光に包まれてスヤスヤと寝息をたてた。
フラマとミティスは普段仮面を付けていて素顔を知る者はすくない。
フラマは白い肌に銀髪で美しい顔で深紅の宝石眼がその美しさを際立たせている。
不死鳥族は皆見目の美しいが、宝石眼を持って生まれる者は少ない。
宝石眼球は遺伝ではなく、テザゥルム創造三神の直系で三神から祝福を受けた者のみが持つ事ができる。
宝石眼を持つ者は成神すると不老不死になる。
ただし、宝石眼を持って生まれた神族はテザゥルムの善と悪のバランスをとりながら他の種族をまとめ導く使命を持ち成神したら天啓を果たさなければならない。
天啓は絶対で、逆らえば呪われる。
呪いにかかった者は身体に黒いツタが現れる。
黒いツタに侵食される時激痛を伴い身体中に周ると死にいたる。
呪いは12年かけて身体を侵食する。
その間に天啓を果たすもしくは創造三神に許されると呪いが解ける。
呪いは創造三神にしか解呪する事はできない。
私に解呪は出来ないが痛みを無くすぐらいはできるようだ。
儀式までゆっくりお眠り。
神族は試練や天啓を経験する事によってより強い力を開花させます。
天啓の無い者達は神族が成神する時に手に入れる武器の中に宿る神になります。