ミティス
作者は男も女もロン毛が好きです。
フラマはアルビターを懐に抱いたまま謁見の間に来ていた。
「親方様ミティス様より先触れが着ています。」
「ミティスはいつ着くと言っているんだい?」
「ミティス様は後半刻ほどでおつきになります。お会いになられますか?」
先触れがそろそろ来る頃だろうと思っていたが、着くのも早い。
恐れていた最悪の事態が起こったのだまあ親なら居ても立っても居られないだろう。
「ミティスが着いたら直ぐにここに通してくれ。」
「かしこまりました。」
「鬼百合、鬼百合…其方の父は其方が心配で居ても立っても居られないようだぞ。
祖父がちゃんと其方をもとに戻す故何も心配せず何も聞かず祖父の懐でゆっくりおやすみ。」
アルビターは深い眠りについた。
扉の向こうが何やら騒がしくなってきたね、我が息子ながら短気…。
だから天啓が魔王しかないのだ、父は悲しいよ。
「お約束のお時間はまだです!獣化で親方様にお会いになるつもりですか?!」
「うるさい!コッチは急ぎなんだ!オヤジだせやカス鳥!」
「親方様が開けないとこの扉は開かないって知ってるでしょう?!少しは冷静になりなさい!」
扉の向こうに居る者だけにキィーンと言う大きな音が鳴った。
「うるせぇ!オヤジ出て来いや!」
うるさいのお前だミティス傷付いた鬼百合が寝ている
「無事なのか?!」
心も身体もボロボロになってはいるが大丈夫だ。
取り敢えず人の形に戻りなさい。
「わかった、これで良いだろ?」
入りなさい
「父上、アルビターは?
何故冥六花の秘術なんて使ってるんですか?しかも彼岸花なんて」
彼岸花を握りしめた黒髪に褐色肌の美丈夫がいた。
「鬼百合は天啓を拒んだ。
天啓果たす事なく死を望んだ。
この子は優し過ぎる。」
フラマは懐からアルビターを取り出した。
アルビターの金色の身体には黒い蔦が巻き付いていた。
「父上、アルビターは不死鳥として育っていません。
パトリックが鳳凰だったのでアルビターは自分を鳳凰だと思っています。
天啓も腹にいた時でまだ意志という意志もなく。
しかも、アルビターはまだ幼く成神もしていません。
父上、アルビターを助けてください。」
ミティスはアルビターを抱きしめて泣いた。
「三百年も有ったのに不死鳥である事を知らなかったのか?」
「アルビターが生まれ直ぐに天啓でアゥラ様の所に行ってたんだ。やっと休みになったらから帰ろうとしたらこの騒ぎだ。やっと、やっとアルビターに会えると思って楽しみにしていたのに。」
「この後母上が鬼百合に会えるように処女同衾の奇跡を起こす。」
「プリミティーヴァ様ですか?」
「ああ母上が、試練とはいえ生まれて直ぐ幼子に天啓の選択させたのはやり過ぎでは?と父上達に直訴してくれたのだ。
母上は鬼百合が望むなら今日迄の全ての記憶も消すと…」
「そう、です、か。成神する迄もうこんなふうに抱く事もできなくなるかもしれないのか…」
「父上、私はまたすぐアゥラ様のもとへ行かねばならないようだ。
アルの事お願いします。」
「これは、お前にとっても試練のようだ。」
「せっかく生まれた一人息子の一番可愛い時に一緒にいれないなんて…」
ミティスは深いため息を付いた。
「鬼百合を預かろう」
「アル愛しているよ。
父上、絶対に元に戻してくださいね。」
ミティスはアルビターをフラマに渡して謁見の間を出た。
「鬼百合、お前の父はいつになっても可愛らしいね。
さあ、千寿の所へ行こうか。」
アルビターを抱いたフラマは眩い光に包まれた。
ミティスは何の獣化してたのかな?
へーキメラ化かぁ…
鬼百合のピンチに本能的に開花したのか。
ミティスは私の子供達の中で最も軽んじられる子供だが、私は一番優秀だと思う。
無茶ばかりしなければもっと良いのだが…
ミティスに欠点があるからこそ何故か期待してしまう
毎週木曜日に1〜3回更新予定です(^^)