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イゥニス外伝  作者: 橘花 漣華
2/5

千寿の気持ち

千寿の背景など色々の回

(わたくし)は千寿、不死鳥でありんすが役割り的な天啓も無くただ漠然と虚を生きておりました。

この喋り方も面倒でありんす。

其れでも両親が残してくれた遊廓を正しく経営維持して行く為でありんす。

お父様の永寿(えいじゅ)とお母様の譜雪(ふゆき)も不死鳥でありんしたが、私の成神の時に私の刀神になられやんした。

神刀の名前は『夢幻雪鬼(むげんせっき)』力は秘密でありんす。


私の遊廓の名前は『享雅閣(きょうがかく)』その他にもいくつか所有していますが、娼館とは違い遊女達は芸事に秀でる美しい美姫ばかりでやんす。

享雅閣はイゥニスの遊廓や娼館とは一線を画す店でやんす。

遊女、芸事、見目、サービス、小間使えすら全てにおいて一級品以上でございます。


お母様は享雅閣の花魁(おいらん)でありんた。

お父様とお母様にはきちんと天啓がありんした、其れが何なのかは私は知りませんが。

不死鳥で与えられた天啓がある者は普通刀神になる事はできませんが二人は私の為に刀神になられました。


私所有の遊廓を守りながら天啓を待つ事かれこれ数百万年このまま天啓など無く虚に過ぎ行くのかと思う過ごしておりました。


何故かあの日は気付けば普段なら絶対に出ない享雅閣の奥深くから何故煉獄宮に飛ばされておりました。

久しぶりの煉獄宮に少し戸惑いましたが、何となく最深部へ行かねばならないような何とも不思議な感覚でありんした。

煉獄宮にふさわしくない百合の香りが立ち込めていたからかも知れません。

百合の香りの強くなる方へ向かうと血まみれの鳳凰と思しき子供が落ちて居ました。


「おやおや、だいぶ酷くやられなんしたねぇ。しかも、こんな所(煉獄宮)に捨て置かれるなんて一体何を仕出かしたんでありんすか?」


子供の血は百合の香りで、応急処置をするために血を拭った時に見えた生え際の毛は真っ黒でした。

この子は鳳凰ではない、私と同じ。


鳳凰かと思ったけど脱色で赤くして鳳凰の色にして有るのね…何と愚かな。

私が煉獄宮に来なければこの子は一体どうなっていたのかしら?



イゥニスで不死鳥は神聖で特別な者達です。

例え成神していなくてもこの様な処遇を受けて良い者ではありんせん。

不老不死の不死鳥ではありんすが成神していない不死鳥なら殺す事がきます。

不死鳥は助けを不死鳥に求める事ができるのにこの子供は自分が不死鳥と知らないのか、生きる事を諦めたのか全く何も感じる事ができませんでした。


普段なら何も感じませんが、同胞だからでしょうか私深く憤ってしまいました。


其れから側近二人とフラマ様のもとへ…



先触れもなしにフラマ様の所に来たのは初めてです。

しかも、フラマ様に詰め寄る様な事迄…

冷静になってきて物凄く恥ずかしいでありんす。



鬼百合の象徴花を持つ子供。

名前がわからないので鬼百合と呼ぶ事になりました。


金狼の幼体はまるで仔犬のようでモフモフしたいでありんす。

フラマ様が撫でくりまわしているのが少し羨ましいななんて秘密でありんす。


繰り抜かれた瞳は何色だったんでしょうか。

早く元の姿に戻して上げたい。

処女同衾の奇跡なんてさっさと終わらないかしら。



元気になったら誰にも触らせないで私の子供として大切に育てると決めました。



側近とは少し揉めましたが、鬼百合、小さなモフモフに負けたとだけ言っておきましょう。



一矢「千寿様にも母性本能ってあったんですね。」

クロード「ペットに対する愛情では?」

一矢「今迄色々な動物や子供を連れてきましたがあんなに過保護になったり怒ったりしたことありませんよ。」

クロード「千寿様に限って母性なんて…」


一矢「千寿様にもびっくりしたけど親方様ってあんな顔もするんですね」

クロード「親方様、尊い」






毎週木曜日に更新予定です。


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