お兄様がちょっと冷たい
公爵領の屋敷について、翼竜の背から降りると、羽音を聞きつけてメイド達がわらわらかけてきた。
ローズの姿をみたメイド達が一瞬固まった後、数人が屋敷に引き返した。
お兄様か、おじい様に知らせるのだろう。
「お帰りなさいませ、お嬢様。」
もう平民になったのに、メイド達の態度は変わらない。
お兄様に何か言われているのかも知れない。
(そういえばバルトはどこにおいておけばいいのかしら。)
パートナーになったばかりだし、あまり傍は離れない方が良い。
お兄様もリリーを連れて帰った日は、王城の竜騎士の寮の空いている部屋で片時も離れず一緒に眠ったそうだ。
そうして離れが完成するまではそこで生活していた。
庭に野営でもしようかと考えていると、ばたばたと足音がして、レオお兄様が走って来た。
そうしてバルトと一緒の私を見て固まった。
「お兄様?」
私が声を掛けるとはっと我に返った。
そうしてはぁーっと長いため息を吐いた。
「もうお前に関して驚くことはそうそうないと思っていた。
うん。ツィッタートに行くって聞いた時点で、翼竜を連れて帰って来るとは思っていたんだよ。私はね。
でもさ、誰が旅立った翌日に連れて帰って来るって思うんだい?」
誰に問いかけるでもなく、お兄様が反ギレでぶつぶつつぶやいている。
「そんな事よりお兄様、私もバルトも魔力がすっからかんなのです。
今日はここに泊まりたいのですけれど、お庭で野営しても構いませんか?」
「ローズ、もうお前には色々と言いたいことが山ほどあるけど、取りあえずルイスがこちらに来たとき使っていた部屋がある。
そちらに泊まりなさい。」
「ああ、そっか、ルイスお兄様はお父様のお使いで、何度かこちらに行く事がありましたね。」
結局泊まることはなかったけれど、念のため用意だけはしていたらしい。
お兄様は、元貴族令嬢が庭に野営とかどんな発想なんだ、とか相変わらずぶつぶつ言いながら屋敷に戻って行った。
私はメイドに案内され、その部屋に入った。
元々厩と道具小屋のような物だったのだろう。
厩部分の入り口が翼竜用に大きく作り変えられ、小屋と屋根でつながれていて、部屋として使えるように外装はともかく内装はしっかり作られている。
その後、帰宅したおじい様とヴァネッサお姉様も私とバルトを見て固まっていたが、復活した後はとても喜んでくれた。
夕食の席でお祝いしましょうとお姉様が言って、急に私は空腹を覚えた。
そう言えば私、お昼ご飯食べてない!!
晩御飯を美味しくいただく為、間食は我慢した。




