旅立ち
私の両親は時々厳しいけれど、きっと普通の貴族ではありえないくらい、私に甘い。
あのピクニックの時には、既に私の貴族籍は抜かれていたらしい。
よく国王陛下が許可したなぁと思ったら、古代魔法の解明をした功績を無くして了承させたそうだ。
つまり、ストラになったアルが、一人で解明したことになるらしい。
そして私は、当然古代魔法を他言してはならないと言う誓約書を書かされた。
それで冒険者になれるならいくらでも書く。
ジークにもアルにも、もちろんテオドール殿下にも、あれから一度も会っていない。
お父様が婚約の打診は全て断って終わらせたそうだ。
つくづく甘い両親だと思う。
3人には、今度ちゃんと手紙を書こうと思っている。
私は今日、屋敷を出る。
市井に溶け込む服装に着替えて特別製の防具を身に着ける。
片手で持てる小さなトランクを一つ持って玄関に向かった。
この日の為に、古代魔法の魔道具や装備はしこたま作った。
自分でも正直何と戦う気なんだと思わなくもない。
「お父様、お母様。」
そう呼びかけたけれど、急に色んな感情が溢れてきて、何を言えば良いのか分からなくなった。
「気を付けて。どこか一か所に落ち着くたびに手紙を書いてちょうだいね。」
「一月に一度と言わず一週間に一度でも、ああもう何度でもいいから、いつでも帰って来なさい。」
二人はとても穏やかな顔で、私の頭を撫でながらそう言った。
言葉が、やっぱり出てこない。
けれど、精一杯の感謝を伝えたい。
「私、私、お父様とお母様の子供で本当に良かった。
お父様達の望むような娘になれなくてごめんね。
今まで育てて下さって本当にありがとうございました!」
深く深く、頭を下げた。
ゆっくり顔を上げて、目の赤い二人にギュッと抱き着いた。
「行ってきます!」




