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彼の描くシナリオ



教会内にある休むために与えられた部屋で、アイゼン枢機卿と向き合って今後の方針を話していた。


「テオドール殿下の求婚に、どう返事をするつもりじゃ?」


「殿下の真意が分からないわ。

ねぇ、私と結婚して何かメリットってあるかしら。

まあ以前、私なら安心して婚約できるのにとか何とか言ってはいたけれど…。」


その質問に枢機卿は頭が痛いと唸った。


「真意も何も…ああ、あの可愛くも糞もない坊主がなんか憐れになってきてしもうたわい。」


「?…分かるように説明してちょうだい。」


枢機卿は疲れたようにため息を吐いた。


「ふう、メリットがあるかと問われれば、メリットしかないのぉ。」


「まあ。どんな?」


「おぬし、自分の実力を忘れとらんか?」


「実力?確かにそこらへんの騎士に負けない自信はあるけど、別に実績も役職ももってないし、今なんて肩書もないわよ。」


「だからこそじゃよ!そもそもおぬし、王妃教育も終わっておるではないか!

血筋は完ぺきな癖に、今はほぼ平民で何の柵もないのだぞ。

教育も護衛も政治的配慮もほぼ必要のない王妃候補がいらん国などあるか!

あの腹黒王子なら、ロザインではなくフィノイスで無理やり還俗させるくらいどうということもないわ。」


「まぁ、それは…そうでしょうけれど…。国民感情は別でしょう?」


何の後ろ盾もない人間を王妃になんて、受け入れられるものかしらと思うのだ。


「それこそそんなものどうとでもなるわい!」

「そうかしら?」


*****




二人がそんな不毛な言い争いをしている頃、テオドールは自身の望みを叶える為、父である国王の御前に立った。


「父上、お願いがあります。」


「なんだ、テオドールかしこまって。」


「ロザインへの対処、私に一任ください。」


「…どうするつもりだ?」


「父上はあの魔道具と純度の高い魔鉱石、その二つと交換ならば、翼竜の入り込んだ魔道具をロザインに渡すことは反対しないのでしょう?」


「ああ、しかし法王は教会側に二つともよこせと言ってきている。

全く強欲なじじいだ。教会は一体何をするつもりやら。」


「では2つともくれてやればいい。

それで、法王は納得するのでしょう?」


テオドールは国王を真っ直ぐ見据えた。


「それで?こちらには何のメリットがあるんだ?」


国王は片眉を上げ、面白そうに息子を見た。


「ロザインへ交換条件をもう一つ付けて頂きたい。

元ブラントミュラー公爵家令嬢ローズマリー、今は修道女のローズですが、彼女をフィノイスに貰い受ける、と。」


「ふん、お前が懸想している令嬢か。それが何のメリットになる?」


「古代魔法を解明したのは、彼女です。」


「まさか!!あの件は私でさえ掴めなかったんだ!」


そう。解明したのが誰なのか、「ロザインのストラだ」とアイゼン枢機卿が言ったその情報しかなかった。

ストラの研究はどんなものであれ、極秘扱いだ。

だからこそ、友好国とはいえ、常に情報は探っている。

だが古代魔法の解明など、そんな偉大な功績が一切表に出てこないなど一体どんな手を使ったのかと国王は不思議で仕方がなかった。


テオドールだってローズと話すまで確証はなかった。

単なる予想が確信に変わったのはプロポーズをしたあの時だ。

彼女が言ったのだ。魔道具欲しさに解明したわけではない、と。


「私は確証を得る事ができましたが、お見せできるような物ではありません。

けれど彼女を得る事が出来れば、おのずと証明されるでしょう。」


「本当にそれは確かなのか?

いや、…なるほどな、そういう事か。

ストラをいくら探っても出てこぬわけだ。」


国王陛下は静かに笑ってテオドールを見つめた。

テオドールは真っ直ぐ見つめ返した。


「よかろう。この件お前に一任する。」


「ありがとうございます、父上。」


テオドールは満面の笑みを浮かべて礼の姿勢をとった。



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