表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/274

レティシア



取り敢えずローズは遅れてやって来たサンドに行列の対応を任せ、二人を教会内の空き部屋に誘導した。

移動している時、ローズは自分が結構やらかしたことに気付いた。


平民で魔法が使える者は少ない。

修道女は併設された孤児院で育った元孤児の女性が少なくない。

だが孤児として育っても、魔法が使える者の就職先は選び放題だ。

わざわざ個人資産を持てない修道女を選ぶなんてあり得ない。

つまり魔法が使える修道女なんて、やらかした元貴族令嬢としか考えられないのだ。


彼女が刺客かと思って、考えなしに反魔法を発動してしまったけれど、これ結構やばくない?

今更だけど。


でも自分で気付いただけ成長したと思うの。なんて自己弁護しながら個室に入り、立ったまま二人に向き合った。


お父様が手配したロイドならどうにかしてくれるはず、なんてせこい事を考えつつ、どきどきしながらまずはロイドに自己紹介を求めた。


「私はオーウェン・ブライトクロイツと申します。」


ちょっと凹んでいるらしい彼はそう言った。


(ブライトクロイツ!!先生の後任の団長の家名!やったぁ、助かった!!)


もうローズは小躍りしたい気分だった。

やらかした事が帳消しになったような気持ちになっているけれど、当然だが帳消しにはなっていない。

目撃者が多いので。


それには気付かないローズは、にこにこしながら刺客かもしれない女性に言った。


「身分証を見せていただけますか?」


素直に応じないだろうなと思いつつ女性に尋ねると、不貞腐れたような顔をして意外にもすんなり身分証を出した。

確認すると彼女はやはり冒険者だった。


「レティシアさんとおっしゃるのね。」


身分証を返す時、彼女の目がチラとオーウェンの方を見た。


「…レティシア?…そうか!君、レティか!!」


急にオーウェンが俯いていた顔を上げて叫んだ。


「思い出した?」


ずっと不機嫌だった女性、レティシアが花が綻ぶように破顔した。


「お知り合いですか?」


「ええ。幼馴染というほどではありませんが、昔夏の間だけ滞在していた屋敷の近所に住んでいた子だと。

もっともそこは先々代の古い屋敷で、老朽化を理由に土地ごと手放したので本当に一時だけでしたが。」


「では、なぜ攻撃を?」


私はレティシアに目を向け尋ねた。


「ああ、それについては心当たりがあります。」


そう言って始めたオーウェンの昔話は、何とも微笑ましいものだった。


パルス(魔法騎士)である父親から剣の手ほどきを受けていた時、一部壊れていた塀の隙間から覗き込んでいたレティシアと出会い、彼女に乞われ剣と魔法を教えていたらしい。

屋敷を手放す際、もう会うことはないかも知れないが、もしも鍛錬を続けるならいつでも相手になってやる、と伝えたのだそうだ。

彼女自身はこの教会にオーウェンが派遣されているとは知らず、一夜の宿を求めて並んでいたが、オーウェンに気付き腕を試さずにはいられなかったのだとか。

なんて傍迷惑な、と思わなくもない。


話を聞きながら、自分がヤバい橋を渡る必要なんか、これっぽちもなかった事には気付いたローズ。


(ああ、お父様に怒られるかも、いや、口止めしたらバレないはず。)


なんて考えて、確実に怒られる道に進もうとしているローズを止める人間はここにはいない。


因みにレティシアは、冒険者として絶賛武者修行中らしい。

羨ましい。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ