社交シーズンの始まり
短めです。
王家主催の社交界シーズンの始まりをつげる夜会は、数日間日程を早めて執り行われる事になった。
隣国の戦争によるさまざまな影響を想定して、先手が打てるものは打たなければならない。
普段王城に来ない辺境の領地の貴族まで来る社交シーズンは、今は早ければ早いほどいい。
いつも通り飾りたてられ、ジークの隣に立つローズは浮かない顔をしていた。
「あなたがそんな顔をしていては、事情を詳しく知らない若い貴族たちが不安になりますよ。」
王妃様に窘められ、はっとして背筋をただした。
「申し訳ありません。もう、大丈夫ですわ。」
にっこり笑って前を向いた。
夜会が始まり周囲がざわざわとしているが、いつもよりずっと暗い雰囲気で、不安げな顔をしているものも多く見えた。
国王陛下の挨拶で三国の共同戦線が張られたことを発表したので、詳しい事情を知らされていない暗い顔をしていた下位貴族や若い貴族たちが、幾分明るくなったようだ。
ジークにエスコートされながら、顔に王妃様直伝の笑顔を貼り付け夜会会場を周る。
次々とやってくる貴族に挨拶を返し、いつも通りクリスティアーネの攻撃をさらりと躱し、婚約者の義務を果たした。
ジークは何度も私を気遣う言葉を掛けてくれる。
私は上手く笑えていないのかもしれない。
ジークは私を早めに家に帰してくれるようだ。
笑顔は崩れていないはずだけれど、正直もう自分がどんな顔をしているのかよく分からない。
早めに帰してくれようとするジークの気遣いに乗っかって早々に城を後にした。
婚約者の立場が心底煩わしかった。
冒険者なら、お兄様について行けたのに。
そんな事を思いながら眠りについた。
スイーツにすら反応しないローズを、めちゃくちゃ心配しているジーク。




