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ソルモリスの建国祭・4



再び本日二度目のお色直しの後、漸く本来の目的の建国記念パーティーである。

長かった…。


因みにドレスは、今日一番の大人っぽさ。

このドレスだけは、本縫い前の仮合わせをしているので、漸く見たことのあるドレスである。

とは言ってもわざわざ仕立てた事には変わりない。

若干、体の刺青の魔法陣の端っこが見えているが、結界の魔法陣なので問題ないはずだ。

刺青は幼少期から勝手に入れているが、ドレスからはみ出ないような配慮は一応している。

肩が出るデザインを着る事があるなんて、当時知らなかっただけで。


ジークと共に開会の挨拶を聞き、乾杯の合図と共にワイングラスを掲げた。

中身はジュースだけど。

ジークに連れられて、会場内を歩く。

ジークは顔つなぎをする必要のある人物を探しているようだが、私はさり気なくフードエリアをチェックしているだけである。

ジークに流されるまま、挨拶を続けそれが一段落したのかフードエリアへ連れて行ってくれた。

頼みもしないのに連れて言ってくれるなんてジークが素敵すぎる!


「やっぱり食べ物は、見たことのない物がたくさんありますね。」


「そうだね。私も初めてここに来たときは、どんな味がするのか興味深くて暫くここを動かなかったかな。」


「ジークが?意外だわ。」


「そうかい?一応私は美食家のつもりだよ?」


「ふふふ。それでジークのお眼鏡に適ったものはありまして?」


「これなんてどうかな?ローズは食事より甘い物の方が良いだろう?」


そういって丸い形の焼き菓子のようなものを私の口に入れた。


「なにこれ、溶けてしまったわ!美味しい!」


「味はクッキーと大差ないが、食感が意外だろう?」


そう言いつつ、今度は先ほどの物の色違いでチョコレート色の物を口に入れてくれた。


「うん。これはチョコレート味なのね。こっちも美味しい!」


ご機嫌でお菓子を堪能していると、そこへテオドール殿下がやってきた。


「ジーク、こんなところでいちゃつくなよ。」


呆れた顔のテオドールが言った。


「羨ましいだろ。」


珍しくジークが軽口を言っている。


「オレは婚約者なんてごめんだから良いんだよ。」


どうやらテオドールには婚約者がいないらしい。

王妃教育で教えられなかったからそうじゃないかとは思っていた。

けれどそんなことが許されるのだろうか。

私が不思議な顔をしているのに気付いた殿下が、こちらを見て言った。


「婚約者は最初いたんだけどね、亡くなったんだ。」


「テオ。」


ジークは話を止めるように名を呼んだ。


「いいじゃないか別に。暗殺されたんだよ。

王太子妃の地位が欲しい誰かさんにね。」


びっくりしてジークを見ると、嫌そうな顔でテオドールを見ていた。

有名な話ではないはずだ。

王妃教育で周辺国の王太子とその婚約者までは名前や育ちを習っている。

そんな話は初耳だけれど、知る人は知っている事実なのかもしれない。


「犯人は捕まらなかったのですか?」


「もちろん実行犯は捕まえたよ。でもあんなのトカゲのしっぽ切りさ。

黒幕が男爵家なんてありえないだろう?。本当の黒幕は結局分からずじまいさ。」


「では次の婚約者は探していないのですか?」


「周りは次々令嬢を勧めてくるけど、本当の黒幕かもしれない令嬢と結婚はできないって全部断ってる。ローズマリー嬢のように、強い婚約者なら安心して婚約できるんだけどね。」


そう言って、急に私の顔を覗き込むように近づいた。


「テオ!彼女は私の婚約者だ。」


ジークが慌てて彼と私の間に入った。


「ははは、冗談だよ。

それより、ローズマリー嬢はよほど甘い物が好きなんだな。

昼食の席でも美味しそうにデザートを食べていたよね?」


「そ、そんなの見ないで下さいまし。」


テオドール殿下にまで食いしん坊認定された様な気がする…。


「あ、そうだ。ええーと…、あ、あったあった。」


そう言って、殿下はテーブルをぐるりと周り、隅っこの方に置いてあった茶色い地味な色のお菓子を取った。

見た感じクッキーの様にも見えるけれど、焼き色も違うし表面の質感は全く違う。


「これ、ちょっと面白い食感なんだ。

甘くはないんだけど、最近ここら辺では人気のお菓子らしい。」


いつの間にやらジークとは反対側のすぐ隣に来たテオドール殿下が、つまんで私の口元に持ってきた。


私はもうほぼ条件反射で躊躇いなくかぶりついた。


「ああ!テオ!」


と慌てたようににジークが叫んで、テオドールを睨んだ。


当のテオドールは最初ちょっとびっくりしていた。

けれどジークに睨まれると、してやったりと言う顔をしている。

相変わらず仲良しねえ、なんて思っているローズである。


「ローズ、どうして手から躊躇いなく食べるんだ…。」


なぜかジークがショックを受けている。

え、今更では?

コテリと首をかしげる。

どうもテオドール殿下の手から直接食べてはいけなかったらしい。


(味は…塩味、全然甘くないのね。クッキーやパイとは全然違うサクサク感。

うん。これはこれで、なかなかイケる。)


別に反省はしていない。



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