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ソルモリスの建国祭・2



本日再び湯あみからのお着替えで既にへとへとになりつつあるローズが、難しい顔をしてジークの待つ部屋へ入った。


「ローズ?何を考えているの?」


「ドレスを変える意味について。」


「は?」


「朝のドレスで良くない?」


「よくありません。」


ジークではなく、ロザインから付いて来てくれたジークのメイドから返事が返って来た。


因みにローズお気に入りのメイドで、主はジークなのに時々ローズのいう事を優先してくれたりする。


「ローズ、意味はなくても必要な事は世の中にいっぱいあるんだよ。」


「言ってみただけよ。分かっているわ。」


ちょっと不貞腐れて言った。

因みにこのドレスも見たことはない。

後何着新品のドレスが出て来るのか、怖くて聞けない。

ローズの最初の発言は、つまるところ現実逃避である。


そんな不毛なやり取りをしていたら、昼食会の時間になったようでジークと並んで会場に入った。

席はジークの予想通り、長方形の細長いテーブルの上座にソルモリス国王陛下が座り、向かって右にフィノイス国王太子テオドール殿下が、左にノルトローの外交官デルコーレ公爵とその奥方が、テオドール殿下の隣に私とジークが座ることになっていた。

他はソルモリスの貴族のようだ。


国王の挨拶で食事が始まると、最初は世間話だ。


「先日はありがとうございました、ローズマリー嬢。」


テオドール殿下が私に向かって言った。

模擬戦を見せたことのお礼だろうか。

どちらかと言えば忘れて欲しい。


「こちらこそ、ジークバルト殿下の成人の儀への出席、ありがたく存じます。

デルコーレ公爵様、奥方様もご出席頂きましたね。感謝しております。」


「いえいえ、私たちも楽しませて頂きましたわ。

そう言えばローズマリー様は13歳になられたばかりなのですって?」


「はい、今年の初めに社交界デビューいたしました。」


「まあ、13歳にはとても見えないわ、とてもしっかりしてらっしゃって。」


「それは、わしも思うた。最初のわしへの挨拶も堂々としたものだったのでな。

わしとボゼッティが並ぶと、若い令嬢は恐ろしいようでな、今年の我が国の社交界デビューの挨拶で一人令嬢を泣かしてしもうた。

何もしとらんぞ。

わしはにこやかに話したつもりなのだぞ。」


そういうと、周囲が笑いに包まれた。

確かにあの筋肉ムキムキのいかつい宰相様と、眼光鋭い国王陛下が並ぶと怖いのかもしれない。


「わたくし、護身術の先生がとても怖い顔をしている方で、慣れてしまったせいでしょうか。

わたくしはボゼッティ宰相様も国王陛下も怖いとは思いませんでしたわ。」


そう。あの人に比べれば、なんとお優しい顔かと思う。


「おや、ローズマリー嬢は護身術をされているのかね。」


「実は以前、私はローズマリー嬢の模擬戦を拝見させて頂いたことがあるのですが、とてもお強いですよ。

護身術なんてものではなく、騎士の魔法戦そのものです。

正直私は敵わないですし、騎士でも彼女に敵う者は少ないでしょう。」


私が答える前にテオドール殿下が、そう答えた。


あれ?


ちょっと待って。

非公式だったんだよね、あれ。


「なんと!それは是非わしも見てみたいのぉ。」


「私も見てみたいわ!貴族のご令嬢がそんなに強いだなんて!」


「毎年年の初めに、この国で武術大会があるのだが、どうだ出てみぬか?」


「こほん。彼女は私の婚約者で、ゆくゆくは王太子妃の予定ですから、流石にそれは…問題では?」


「ふむ。いやしかし、…本戦前に親善試合と言う事ならどうにかならんか?」


ん?


なんか雲行きが怪しいぞ。

内心どきどきしながら、食事を口に運ぶ。

正直味がしなくなった。


「…そう、ですね…、我が国の陛下に聞いてみます…。」


珍しく、ジークが動揺している。

え、これって私のせいなの?

テオドール殿下が悪くない?

私じゃないよね?



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