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ついに…!



翌日十分に英気を養ったローズは、伝言魔法でアルを呼び出し昨日確認したことを伝えた。


「そうか…やっぱり魔鉱石の中に魔法陣が入っているのか…。」


「魔力インクで書くのでなければ一体どんな方法を使っているのか想像もつかないわ。

もし、詠唱が必要なのならば不可能よ…。」


二人でずーんと落ち込んでいると、急に窓から強い風が吹き、机の上の書類を飛ばした。


「ああ!」


慌ててローズは窓を閉め、アルは書類をかき集める。

ローズが机に戻ると、アルが古代魔法陣の書かれた書類の上に、重石の様に近くにあった疑似魔核を置いていた。


その時、ローズははっと閃いた。

すぐさま護符用の紙を取出し、守りの魔法陣を書き込む。謎文字は未記入のままだ。

書き上げた護符を起動すると、魔法陣が魔力で描かれ、発動の対象となる自分の真下に完成する、その直前に疑似魔核を魔法陣めがけてぶつけた。

その瞬間、キュルルルとまるで反魔法を叩きつけたような音がして魔法陣が発動することなく消えてしまった。


「え?」


二人は足元に転がる疑似魔核を見た。

慎重に拾い上げたローズは、びっくりした。

古代魔法の魔道具の様に魔法陣は消えなかったが、一部が魔鉱石の中に見えている。

そして、表面に書いていた謎文字は薄れ、薄らと魔核の中に文字が見えているのだ。


「こんな事って…。」


「ちょっと見せてくれよ。」


アルが慌てて寄ってきた。彼に手渡すと、私は考え込んだ。


恐らく、方法は間違ってない。


「なあ、これ文字が大きすぎたんじゃないか?

多分この謎文字のサイズに魔法陣が合わせられるんじゃないか?」


「ああ、そうか。古代魔法はそもそも一文字でいろんな意味を持っているものね。

じゃあ完成させたい魔道具に最適な小さな文字でこの謎文字を書いておけば、魔法陣は全てこの魔鉱石に入るかしら?」


「試してみよう。」


そう言って、私がしっかり睡眠をとった証の魔鉱石の中でも、少し大きめのサイズの物を手に取った。

できるだけ小さく書いている私の横で、アルは護符の魔法陣を用意してくれているようだ。

短いやりとりで、私が魔法陣を起動し、アルが魔法陣に疑似魔核を謎文字のあるべき場所に投げ入れる事を決めた。

ローズは深呼吸をして自分を落ち着かせる。

アルはごくっと唾を飲み込んだ。


「いくわよ。」


魔力を流し、先ほどと同じように魔法陣を起動する。

なるべく起動するまでの時間を延ばす為に魔力をゆっくり流した。

出てきた魔法陣にアルが慎重に疑似魔核を置いた。


キュルルル


「…できたかな?」


私はそっと魔鉱石を持ち上げた。

アルも急いで傍に寄ってきた。


「魔法陣がないわ。成功したのかしら?」


最初に魔力インクでかいた謎文字が若干薄くなっているだけで、後は何の変化もない魔鉱石だった。

二人で目を見合わせて、頷く。


ローズはゆっくり魔力を流した。


すぐに自分たちが結界に包まれていることに気付いた。


二人は息をのんだ。


「やった…やったわ!!」

「すごい…本当に、できたんだ…」


二人で抱き合って喜んだ。

暫く興奮していた二人だが、なぜかアルがすぐに離れた。

顔が若干赤くなっている。


「どうしたの?アル。」


「いや、魔力インクを消しておこうと思って…。」


「ああ、そうね。もう消しても問題ないはずよね。これから、強度をテストしなくちゃ。」


二人はまた実験に戻った。

それから行った強度テストで、やっぱり本来の物より魔力効率は落ちるが、ほぼ変わらない性能である事が分かった。

この差は魔鉱石の純度の差ではなく、恐らく魔力インクに原因があると考えた二人は、今度はインクの開発を試みることになった。



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