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恋敵



今日はおじいちゃんと政治のお勉強だ。

私が図書室に入ると、おじいちゃんは読んでいた本から顔を上げた。


「ごきげんよう、おじいちゃん。遅くなってごめんなさい。」


「なんじゃあその顔は?!クマができとるではないか!貴族令嬢の顔じゃないぞ。」


私の顔を見た途端ぎょっとしたような顔をして叫んだ。


「あーちょっと遅くまで研究しちゃって…はは。」


メイドにも苦言を言われて少し化粧でごまかしてもらったが、おじいちゃんの目はごまかせなかったようだ。

おじいちゃんは一つため息をついて、「まったく」と呟いた。

それからごそごそと護符を出し何かを発動させた。

護符が白い鳥にかわり伝言魔法だと気付いた。


「ローズが体調不良じゃ、部屋を用意せい。休ませる。」


その言葉に私が驚いていると、おじいちゃんがこちらをみてニヤリと笑った。


「ジークバルト・オルト・ゲーエン(の許へ行け)

「ええ!何で?!」


私は速攻で来たジークに布団に突っ込まれ強制的に休養を取らされた。

少し抵抗を試みたが、普段優しい人が怒ると怖いという事を身を持って知った。


(研究がしたいよぉぉぉぉ)


内心こんな事している場合じゃないのに、と気ばかり焦ったが、体は正直で私はすぐに眠りに落ちた。






ジークはローズを眠らせた後、しっかり眠りに落ちたのを確認してからアルトゥールに連絡を取った。

何か事件が起こった時しか使わない緊急召喚で呼びつけたので、真っ青な顔で登城したアルトゥールだったが、ジークはこれっぽっちも悪いとは思っていない。

なにせ恋敵だ。

実はジークはアルトゥールのローズへの恋心を本人から聞いている。

ローズを解放しろと迫られた事があるのだ。

もちろん断った上にふふんと嘲笑ってやった。

大人げない自覚はある。だが止めん。ふふん。


「ローズがどうも最近夜更かしをしているようなんだが、心当たりはあるか?」


「あー知ってる。だが断る。」


アルトゥールは意地の悪い笑みを浮かべた。


「ふーん。そう。今ローズがぐっすり眠っている部屋のカギは私が持っているんだ。」


ちゃらんと指にひっかけた鍵を見せつけるように揺らした。


「なっ!おまっ!ローズに何する気だ!!」


アルトゥールはめちゃくちゃ焦ってジークに詰め寄った。


「なーんにも。君が素直に話してくれるだろうし。」

「卑怯だぞお前!!」

「何とでも。」


ジークは腕を組み、つーんとすまして言った。


「…はぁ。ここで話しても大丈夫か?」


アルトゥールが周囲を気にして言った。

王城の客室の一つで人払いはしているが、魔法の対策はしていない。

母から借りた一番性能の良い防音のブレスレットに魔力を流し発動させた。

アルトゥールを呼んだ時点で古代魔法関係の可能性が高いと分かっているので、あらかじめ母に借りたのだ。


「少し前までは古代魔法の研究がちょっと行き詰ってたから素直に寝てたんだろ。」


「じゃあ今は解明しつつあるということか?」


「いや、それは分からない。ちょっと予想外の結果が出て…。俺もローズもひょっとしたら魔法陣の見えない謎が解明できるんじゃないかって期待してるんだ。」


「ふむ、なるほど。ところで、以前ローズが教会の屋上にある守りの魔道具を見せて欲しいと言っていたのが許可が下りそうなんだが…」


「本当か?!俺も一緒に見れるんだよな?二人いないといけないし。」


そう言うと、ジークはニヤリと悪い顔で笑った。

アルトゥールは物凄く嫌な予感がした。


「別に、君じゃないとダメな理由はない。私でもいいはずだ。」


「お前が見て何になるんだよ!!単なる嫌がらせだろ?」


「もちろん嫌がらせだ。」


「おーまーえーは!!」


「だが、余計に夜更かしするようになるんじゃないのか?彼女が夜更かししない確証が持てるまで許可は出来ない。」


「王妃教育を終わらせればいいじゃないか。もう必要な水準は満たしてるんだろ?」


「あれはもう殆ど王家の手を離れているんだ。」


ジークは心底嫌そうにいった。


「は?」


「家庭教師が暴走している。本人が辞めるつもりがないのが一番太刀が悪い。」


ジークは頭が痛いと言うように額に手を当てて言った。


「そんなはずないだろ?こないだだって泣く泣く王妃教育に行っていたぜ?」


「いや、研究を中断するのは断腸の思いらしいが、教育自体は喜んでやってる。私は特に体の負担が大きい護身術を辞めさせたいが、あれが一番辞めたくないらしい。」


「あいつは一体何を目指しているんだ?!」


「もちろん王太子妃だ。」


「絶対違う!」


二人で睨み合った。



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