社交界デビュー・ガードは完璧
陛下に挨拶をした後、ジークが飲み物を取りに行っている間に家族全員と合流した。
遅く来ると思っていたのでちょっとびっくりした。
父はなぜか少し固い顔をして何やら兄達と頷き合った後、母と挨拶回りに行った。
兄達はよほど私が何か起こすと思っているのか、私を挟んで両脇を固めている。
兄達が離れないので、ジークが顔を引きつらせて言った。
「お兄様方、私がローズを守りますから、大丈夫ですよ。」
「気にしないでくれ。俺たちにとっても久しぶりの夜会を楽しんでいるだけだから。」
ルイスお兄様が良い笑顔で言った。
「ジーク、わたくし今日はジークからもらった食べ物しか食べてはいけないのですけれど、あれが食べたいです。」
そう言って私はデザートコーナーを指差した。
それを聞いて、ジークはいつも私に食べさせる時の笑顔になり、兄達はなぜか顔を押さえ肩を震わせていた。
まっすぐデザートコーナーに行き、ジークに取ってもらったお菓子は私の大好物だ。
「このデザートコーナー、私の好きな物ばかりで目移りします!」
嬉しくてそう言うと、なぜか兄二人がジークを生暖かい目で見ていた。
「あーやっぱり美味しいです。」
んー堪らないっと頬を押さえて堪能していると、すっとルイスお兄様がお菓子を差し出してくれた。
「こっちも美味しそうだよ、ローズ」
色とりどりのマカロンの中から、恐らくフランボワーズかストロベリーのものだろう、ピンク色をしたものを直接口元に持ってきた。
「でもお母様が…。」
「母上はローズが自分で好きに取るのを禁止しただけだろう?俺達のは禁止していないはずだよ。」
「確かにそうです!!」
満面の笑みで直接お兄様の持っているマカロンにかぶりついた。
「んーこっちも美味しい!」
「ローズ、お前の好きなジャムクッキーがあるよ。」
そう言ってレオお兄様も口元まで持ってきてくれる。
そちらもぱくりと頂いた。
そう言えばお兄様達は昔から私にお菓子を食べさせるのが好きだったよなぁと、思い出していると、なぜか般若の顔をしたお母様がお兄様達を連れて行ってしまった。
どうやら父と共に全員帰るようだ。
ちょっと寂しい。
ふと横を見ると、なぜかジークが今日一番のとてもいい顔をしていた。




