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社交界デビュー・ローズはローズ



食事が一段落し、お母様と紅茶を飲んでいると、ルイスお兄様の到着が伝えられた。

フィノイスは相変わらずテラマグナと睨み合いをしているが、イベントの度にリリーに乗って会いに来てくれる。

馬車の旅しかできない人なら、もっと里帰りの頻度は少なかっただろう。

リリーに乗れば日帰りで里帰りできるのはやっぱり大きい。

お兄様はちゃんと約束を守ってくれた。

いそいそと玄関に向かって歩いて行く。

駆け出さないのは淑女になったからではない。

ドレスが邪魔で走れないだけである。

因みにお母様にはこちらに来るから待ちなさいと言われた。


「成長しないわ…。」


後ろでお母様がボソッと呟いたが、当然聞いていないローズである。


「ルイスお兄様!!レオお兄様も!!」

「やあ、馬子にも衣装だね。久しぶり、ローズ。」


先に階段を上がってきたルイスお兄様は私を見て破顔しながら、ちょっと失礼なことを言っている。


「ルイスと到着が同じになるとは思わなかったな。リリーは早いなぁ。距離は倍以上なのに。」


すぐ後ろからレオお兄様も階段を上がってきた。


「当たり前じゃないか。馬車なんかと比べないでくれ。」


ルイスお兄様が偉そうに言った。


「はは、相変わらずだなルイス。おお予想通り、髪の生花はリリーか。よく似合ってるよローズ。」


私を見たレオお兄様は素直に褒めてくれた。


「ありがとう、お兄様。」

「うれしいね、リリーを選んでくれるなんて。周りの小さい花は何?」

「ジャスミンよ。香りがとってもいいの。」

「うん、良い匂いだ。」


「ほらほら、廊下で騒いでないで!さっさと部屋に入りなさいな。」


パンパンと手を叩いて、お母様が部屋へ入るように促した。

談話室に戻り、お互い近況を報告する。

因みにお父様は仕事で既に登城している。

兄二人は専ら我が子自慢だ。

実は私は未だに二人の子供に会えていない。

王太子殿下の婚約者と言うのは、思った以上に枷が大きかった。

けれど、もうそろそろ実家に里帰りする時に連れて帰れそうだと言ってくれたので、ひたすら待つのみだ。

そんな話をしていたら、殿下の到着が告げられた。

さっさと向かおうとしたら、兄達に二人がかりで止められた。


「エスコート役が二人もいるのに、何一人で行こうとしてるの。」


ルイスお兄様が呆れて言った。


「お手をどうぞ、お嬢様」


レオお兄様が出した腕に自分の手を乗せた。


「ふふ、お兄様に淑女扱いされると、何だか不思議な感じがするわ。」


「いつも淑女じゃないからね。」


後ろでルイスお兄様にからかわれた。


「もう!」


皆で揃って階下へ降りると、玄関フロアで殿下が待っているのが見えた。殿下も今日は久しぶりの正装姿だ。

前回は3年前殿下が12歳の時だったので、あの頃より大きく男前に成長していて今日はとっても格好良い。


「ああローズ、今日は一段と美しいね。一緒に隣を歩けるのがうれしいよ。」


「お迎えありがとうジーク。あなたもとっても格好良いわ。」


「殿下、妹をよろしくお願いしますよ。」


レオお兄様がそう言って、エスコートを殿下と代わった。


「任せて下さい。」


今度はジークの腕に手を乗せ外へ出た。


「お母様、お兄様達、行ってまいります。」


お母様たちも別の馬車で登城するけれど、社交界デビューの夜会では婚約者が決まっている親は、婚約者に任せると言う意味を込めて長居をしない慣習がある。

きっとお母様たちも遅くに来て早く帰るだろう。

と、思っていたら、早々に城で全員大集合した。


あれ?



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