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社交界デビュー・色々と重い衣装



とうとう、この日がやってきてしまった。

ローズマリーはうんざりした顔でため息を吐いた。

12歳の誕生日を過ぎたローズマリーは、今日開かれる夜会に出る事になっている。

王家主催の、社交界デビューの為の夜会だ。


12歳は夜会に参加することが許されるようになる歳なのだ。


ローズマリーは朝早くから起こされ、お風呂に放り込まれた後磨き上げられた。

その後着せられた、かつてないほど盛り盛りのドレス。

あーでもないこーでもないとデザイナーと共に、お母様や王妃様やなぜか殿下までが激しい討論を繰り広げた末に出来上がったデザイン。

生地からスパンコールやレースまで全てを綿密に指示し、公爵家の名に恥じない贅を尽くしたもので装飾を施されたドレス。


…いろいろと重い。


宝飾品は殿下からのプレゼントだ。

殿下の新緑の目に近い色のエメラルドを原石から探して、デザイナーや細工師まで指定して作らせたらしい。

金額は聞きたくない。

市井にしょっちゅう下りていたせいで、しっかりしすぎた金銭感覚が憎い。


髪を複雑に結い上げられ、社交界デビューの証である生花を飾り付ける。

使う生花は、強い香りを放つものや花粉がドレスを汚す可能性のあるものは、きちんと処理をしなければいけない決まりがある。

ローズマリーは主役の花は絶対にリリー(百合)にしたかった。

決まりに引っかかるので匂いも花粉も処理されたものではあるが、ドレスも装飾品も何の希望も言わなかった彼女が唯一言った希望は叶えられた。

それを引き立てるような小花を何にするかで、再び保護者たちの激しい討論が繰り広げられたらしい。

物凄くどうでもいい。

結局、ほのかに香り白くて形の可愛らしいジャスミンに決まった。

身支度が終わればもう昼も近くである。


(お腹が空いたわ…。)


夜会までの時間、ドレスを汚すわけにはいかないので、一口サイズでつまめる軽食を談話室で食べる事になった。

食堂だとドレスが盛り盛りなので座りにくいのだ。

信用のないローズマリーは胸元にナプキンを、膝にはブランケットを掛けられ完全防備で食べている。

だがコルセットで締め上げられているので、そんなに食べられない。

すぐお腹がいっぱいな気になってしまう。

けれど少しでも入れておかなければ、もうこの後帰宅まで食事ができないらしいので頑張って詰め込んでみる。


「…気持ち悪い。」


隣にいるお母様が物凄く呆れた顔で、食事を全て下げるように指示をした。


「だって立食で食事を取っちゃだめって言うから…。」


ちょっと不貞腐れてそう言った。

夜会にも飲食スペースはある。

けれどそこから離れなくなる事を警戒して禁止されたのだ。

お母様は流石に帰宅まで何も食べられないのも可愛そうだと思ったのか、ため息をついて言った。


「はぁ…殿下から勧められたら食べても良いことにしましょう。

その代わり、ちゃんと婚約者としての義務は果たすのですよ!!」


ローズは心の中で歓喜した。

殿下におねだりする気満々である。

殿下は優しいからきっと食べさせてくれる!

ローズの目がキラキラと輝いた。


「ちゃんと婚約者としての義務は果たすのですよ!!」


大切な事なので2回言ったらしいお母様。


「大丈夫ですお母様、頑張ります!」


そこはもう。

殿下が。



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