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広がる行動範囲

改稿前にはなかった加筆部分。



私の社会見学と言う名の脱走は、時々ジークが付いてくるようになって移動手段が少しだけ変わった。

馬車を使えるようになったのだ。

ただ10回に8回くらいはローズ一人でしかも無許可である。


お父様がなかなか許可をくれないのが悪いのだ。

今日も厩に行き、厩番の小柄な少年サンドを呼ぶ。


「お、お嬢様、お、おれは聞いてませんからね!

旦那様の、馬車の使用許可、ないんでしょ?!」


「ねぇこの会話、毎回毎回無駄だと思うの。そろそろ諦めたら?サンド。

ルジェアはお出かけしたいわよねぇ?」


私はそう言って、ルジェアと言う名前の(エクース)をよしよしする。

幌を引く(エクース)と言うのは、額に角を持つ4本足の魔獣で魔力の強い者には逆らわない。

おまけに魔力を少し角に分けてやるととても従順になる。

性格は温厚で、順応性も高く繁殖も容易なため、昔から貴族の足として使われている。

外出時には、角に特殊なカバーを付ける事で、関係のない人間の指示に従う事を阻止する。

私はルジェアをよしよししつつ、角にたっぷり魔力を捧げ、慣れた手つきで角カバーを装着した。


「別にね、私が御者をして外出しても良いのだけれど、私が出た後、多分メイド達に詰め寄られて困るのは、あなたよ?」


馬の世話をするのは、基本的に魔力持ちである。

その為末端貴族の次男や三男の就職先でもあるけれど、貴族には不人気なので、たいていの場合引退した冒険者である事が殆どだ。

サンドは両親が冒険者で、本人は平民にしては珍しいほど魔力を持っているが、冒険者は絶対やりたくないらしい。

サンドも私も立場が逆ならいいのにねぇなんて、私が王太子の婚約者になる前は言っていた。


平民のサンドが、中流階級の貴族であるメイド達に詰め寄られる可能性をちらつかせて、私はサンドを御者台へ促した。


「お嬢様!またメイド達を眠らせて脱走しようとしてるんですか?!」


「今日は眠らせたんじゃないわ。多分一生懸命お仕事しているんじゃないかしら?」


「何したんですか?!」


「言う訳ないでしょ。また対策されてしまうもの。」


そんな話をしつつ、着々と手は動かして外出の準備をする。

今日はちょっと急がなくては。あんまりあの魔法、持たないかもしれないのよね。

なんて事を考えながら、変装セットを馬車に積み込み、青い顔をしたサンドをお供に屋敷の外へ飛び出した。



*****



執務室で仕事をしつつ、そろそろお昼だな、なんて考えている頃、ローズを護衛している影から連絡があった。

通信機を装着し通話許可を与えると、通信機から護衛の呆れた声が届いた。


「屋敷を脱走しました。現在の位置は王都南部、ちょっと治安が悪い場所ですね。」


「またか…。」


私は頭を抱えた


なぜ…普通の貴族令嬢にならないんだ。

私の育て方が悪かったのか?


そんな事を思いながら、自分の引き出しの中に隠されるように並べられている育児書を眺めた。


「子供のしかり方ほめ方」

「素直な子に育つ魔法の言葉」

「子供の為の貴族教育」

「父親の心得」

「年齢に合わせた子育て法」

   ⋮


「…そのまま護衛を続けてくれ。」


大きなため息をついてそう言った。



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