表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/274

護符



数日が経ち、先生が持って来てくれた、「子供の為の上級(・・)魔法学」も終わる頃、今度は「魔法陣と詠唱」なんて素敵な本をくれた。

その本には、魔法陣から詠唱を導き出す方法や、詠唱から魔法陣を書き起こす方法が書かれていて、かなり本格的な魔法書だった。

持ち上げるのが大変な程太くて大きな魔法書で、かなり専門的な内容を丁寧に説明している本だ。

正直最初にくれた本も二冊目の本も、簡単すぎてあっけなく発動するので物足りなかった。


実は私、前々からお父様の書斎にある「魔法理論上級」と言う本に書いてあった、魔法陣の改造をやってみたかった。

けれど上級と書いてあるだけあって、ある程度知っている事が前提で書かれている為、よく分からなかったのだ。

しかもその本には、やたら“危険”の文字がそこかしこに踊っている。

けれど先生のくれた本のお陰で、大半の疑問が解けた。

言葉が難しくてよく分からないところもあるけれど、後は実践あるのみだと思うのだ。多分。

特に攻撃系の魔法は危ないようなので、結界の魔法をいじることにした。




結界の魔法。

これは魔法攻撃は防いでくれるけれど、物理攻撃にはあまり効果がないらしい。

塀の向こうは危険もあるかもしれないし、出来れば物理攻撃も防いで欲しい。

そう言う方向性で改造してみよう。


魔法で盛り上げた土は、ちゃんと壁になってくれる。

水魔法だって、本物の水だ。

物理攻撃は氷で壁を作るのでも問題ないかもしれないけれど、私はやっぱり結界魔法を改造したい。

ただ改造したい。←本音


結界の魔法はさほど難しい物ではなく、「子供の為の中級魔法学」に魔法陣が載っていた。

私は自室で、こっそり持ってきたお父様の「魔法理論上級」と「魔法陣と詠唱」の本を開いて、魔法陣を解析する。

書いてある魔法文字や図形が、一体何を指示しているのかを一から理解していなければ、改造は難しい。


けれど、どちらの本にも載っていない分からない部分も時々ある。

私はお父様に護符用の紙をおねだりして、分からない部分をわざと抜いて発動させてみたりした。

お父様には護符を発動させるときは、絶対先生の前でなんて言われているけれど、知った事ではない。

不完全な魔法陣なんて先生に止められるに決まっているじゃないの。

そして完全な魔法陣をいくら発動させたって、意味はない。

攻撃魔法は不完全だと、いきなり爆発したりする事もあるそうだけれど、結界魔法は爆発したりしなかったので、意外にバレなかった。

護符の減りが早い事をお父様に突っ込まれたけれど、書き損じをしたのだと言って誤魔化した。

実際、発動する前の見た目は単なる書き損じ。

完全な嘘じゃない。うん。


そうやって、護符の使用枚数が100を超える頃、私はようやく結界魔法の改造に取り掛かることができた。


「うーん、ここの部分が結界の壁の部分でしょ?だからここに、連結して…。

そんでここは、何がいいかなぁ…あ、これなら…。」


「何をしているんだ?」


「魔法陣の改造です。後もうちょっと…。最後は…ここに、ええと…。出来た!!

これで良いはず!!早速試さなくっちゃ!」


出来上がった護符に魔力を込めようとしたら、その直前に恐ろしい殺気のような物を感じて後ろを振り返った。


「ロぉーズ?」


「お、お、おとうさま…!!い、一体いつからそこに…?!」


「私は、護符を発動する時は必ず先生の前でと言ったはずだ!!!」


「こ、これは、その…、


あ!…まだ発動させていないではないですか!」


言った直後に、お父様の顔が憤怒にまみれた。


あ、これ、だめなやつ…!




めちゃくちゃ怒られた上に、護符を取り上げられた…。

しかももうくれないとか…。

あんまりだ!



わざとしている点で書き損じとは言えない事を突っ込む人がいません。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ