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諦めない親子



父が神妙な顔をして、私の名前を読んだ時から、ちょっと嫌な予感はしていた。

だけど、本当にどうしてこういう事になったのか、さっぱり意味が分からない。


現在私はお父様とお母様に挟まれ、王と王妃と王太子を前に何だかよく分からない書類にサインさせられている。

正式に婚約を結ぶものらしい。

いや、ほんとに意味が分からないよ?

お父様とお母様が確認した書類なので、別に読む必要はないかと思って適当にサインしたのだが、お母様にはそれが伝わってしまったようで、書類にサインするときは絶対にちゃんと確認しなさいと、お小言をくらってしまった。

私がサインすることは決定事項のはずなのに…解せぬ。

私のサインを確認した王は、満足そうに頷いて従者っぽい人に書類を渡した。

その人が出ていくと、室内には私たち親子と王の親子しかいなくなった。

暫く、私には関係のない世間話のようなものをしていて、興味もないのでぼーっと次にする魔法研究について思いを馳せていると、急に王妃がいつかの茶会で使ったブレスレットの魔法を使った気配がした。


「それで、古代魔法の件なのだが…、どうする?ヘルマンよ。」


古代魔法と聞いてローズマリーがぴくりと反応する。


「申し訳ないが、やはり内密にお願いしたいと思っている。

魔法研究は進めた方が良い事は分かっているが、この国にもあちらの間者はいるだろう。

ローズマリーはまだ幼い。

もう少し自衛が出来るようになるまで、せめて成人するまでは内密にしてほしい。」


父が、真剣な顔で王に言った。


「そうか。私もそれがいいと思う。

今騒がれて良い事など恐らく何一つないだろう。

確かに魔法研究はすべきだと思うが、今まで魔法陣すら現せられなかったストラに任せるより、そなたの娘に任せた方が早い気がするぞ。

メルロー侯爵の(せがれ)の方は、そちらで話をつけてくれるか。

ストラの椅子は用意すると伝えてくれ。」


王がそう言うと、父も頷き話がまとまったようだ。


この後なぜか王太子殿下が私だけを連れて、私が一度も見たことのない庭園を案内してくれた。

よく分からないままにこやかな殿下にお茶をごちそうになって、よく分からないままお菓子を口に放り込まれた。

何時の間にやら殿下もローズ呼びしていて、私もジーク呼びすることを強制させられていて、お菓子を食べている間に定着していた。


状況にさっぱりついて行けない。

それはそれとして、王宮お抱えの菓子職人の作るお菓子は、それはそれは美味しかった。

そしてやっぱりお茶も最高に美味しかった。

次に遊びに来たときは、珍しい魔道具も見せてくれるらしい。


とても楽しみだ。



ローズを手懐ける方法を王妃から学び、実践したジーク。

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