やり遂げた!
「お父様、約束の魔道具出して下さいまし。」
お茶会から帰宅してすぐ父の執務室に一直線に突撃して言った一言である。
父は頭の痛い顔をしていたが、すぐ諦めたような顔になった。
「…お菓子の約束は破ったようだが、まあ誰もいない時だけだったようだし、問題は起こしてない。…ま、いいだろう。」
「な!なぜお菓子を食べたと知っていますの?!」
父は残念なものを見る目で私を見て言った。
「むしろなぜばれないと思ったのか…。」
「殿下に口止めしましたのに!話してしまわれたのですね!」
その言葉を聞いた途端、お父様の顔が鬼のような形相になった。
「殿下から聞いたのではないわ!それより口止めとはどういう事だ!!」
…地雷を踏んでしまったらしい。
「お父様、先ほどいいだろうとおっしゃったではありませんか!早く出して下さいまし!」
「だめに決まっておるだろう!!殿下に話を聞いてからだ!」
「口止めってそんなに不敬かしら?」
普通に不敬である。が、まあ子供なので状況や言い方次第でどちらに転ぶかは微妙である。
「殿下から直接話を聞く!
…問題なければその後渡してやる。さっさと部屋に戻れ」
部屋を追い出されてしまった…。
父の執務室の扉の前で軽くショックを受けていると、窓をすり抜けて白い鳥が肩にとまった。
伝言魔法の鳥だ。
アルから何か伝言を運んできたらしい。
言葉を伝える事ができる魔法で、あらかじめ契約を交わした者同士ならどこにいても言葉を届けてくれる便利な魔法だ。
意外と術式は複雑で詠唱が長くて大変なので、よく使う職業の人は体に刻んでいることが多い。
たまに使う人は護符を使うらしい。
もちろん私は刻んでいるが。
「リベロ」
自分の部屋に戻りつつ、伝言を聞くための呪文を唱えた。
因みに刻めるのは伝言魔法の起動の部分だけで、誰宛てか指定する部分と聞くための呪文は刻めないので、詠唱が必要なのである。
「無事に魔道具もらえたか?貰えたなら明日そっちに行く。」
はぁと一つため息を吐いて、伝言魔法を起動させた。
「もらえませんでした。殿下に直接話を聞いて判断するんだって。
アルトゥール・オルト・ゲーエン」
声に出すと余計に魔道具が手に入らなかったショックが大きくなり、自室に戻ってふて寝した。




