表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
101/274

感覚では久々の登城。

実は一週間しか経っていない。



公爵領を後にして、真っ直ぐ王城へ行こうと思っていたけれど、きっと両親が喜んでくれると思って、先に実家にバルトを見せに行った。

驚いてはいたけれど、お父様もお母様も喜んでくれてそのまま実家で過ごしたので、その日もパートナー申請が出来なかった。


翌日、取りあえず王城の窓口でお伺いを立ててと色々考えていると、朝食の席で、お父様が全て手配済みなので直接竜騎士棟に行くように言われた。


過保護が過ぎる。


お父様と一緒に家を出て、私は上空から王城を目指した。

竜騎士棟はパルス棟の隣にある。

隣と言っても、間に竜騎士が出立の時に整列したり、単に翼竜の離発着の場所としても使われる広場を挟んでいるので、少し離れている。

その広場は床に紺色一色でシンプルにデザインされた翼竜の模様が大きく描かれている。

地上で見ると大きすぎてパッと見は何の模様か分からないけれど、上空から見ると、翼を広げた翼竜だとよく分かる。


ローズもバルトとそこに降り立った。

お父様が手配した通達がちゃんと通っているようで、案内役であろう人影が見えた。

降り立つとすぐルイスお兄様の友人で、昔我が家に遊びに来たこともある竜騎士の男性だと気付いた。


「お久しぶりですね。ローズマリー嬢。あ、今はローズ嬢ですね。」


「ふふ、ローズとお呼び下さい、クラウス様。今は平民ですもの。」


「貴方を平民と侮る人など、竜騎士にもパルスにもいませんよ。

どうぞ、こちらへ。」


そう言ったので、後ろをついて行こうとしたら、なぜか横に来た。

エスコートされそうになり全力で断った。

私はもう平民だし、冒険者装備である。

もう見た目からして、エスコートなんて違和感しかない。


クラウス様は没落寸前だった男爵家の長男で、自分の魔力を生かし起死回生を狙える竜騎士の道を選んだ人だ。

彼が竜騎士になれたお蔭で家は取り潰しを免れ、復興したらしい。

竜騎士になるために相談したのがルイスお兄様で、翼竜を捕まえる時もお兄様の協力なしにはできなかったと聞いている。


「それにしても、立派な翼竜ですね。

後で良く見せてもらっても構いませんか?

ツィッタートの翼竜は少し憧れます。」


そう言って、ちらちらバルトを気にしながら歩いている。

どうも竜騎士隊の人間はルイスお兄様と同じで翼竜愛が強いようだ。


「ええ、もちろん」


軽く世間話をしながら、竜騎士棟へ入った。

この場所は今まで一度も入ったことがなかったので物珍しく、きょろきょろとしてしまう。


「自分が小さくなったように感じますか?」


くすくす笑いながらクラウス様にそう聞かれて、ローズは周囲を見回しながら、こくんと頷いた。


そう、そんな感じ。


扉も天井も通路も何もかもが、翼竜と人間がセットでいる大きさを基準に作られているので、まるで自分が小さくなったように感じるのだ。


「こっちですよ。ここが受付です。では、この書類に記入をお願いします。」


言われるまま記入し、説明を受けているとばたばたと足音が聞こえてきた。

振り返ると、いつも一緒に模擬戦をしていたパルスの面々が一団となって竜騎士棟に雪崩れ込んできた。

口々にローズマリー嬢!と叫んでいる。


「まあ!!皆様、お久しぶりです!」


最後に会ったのは私が修道院に行く前なので、もう半年以上たっている。


「今はもう平民ですから、ローズとお呼びください。」


にっこり笑ってそう言うと、なぜか全員が固まった。

私が首をかしげていると、隣のクラウス様が咳払いをして、私をエスコートするように再び書類へ向き直された。

まだ私のサインが必要な書類があったようで、新しい書類がテーブルに置いてあった。

軽く目を通していると、私の背後にいるであろうクラウス様がパルスたちと何やら言い争っているようだ。

小声でひそひそ言っているが、怒鳴るように鼻息荒く言っているので、所々聞こえてくる。


「ここは関係者――――ち入り禁止ですよ。」

「てめぇクラウス!パルス時代の恩を忘れたか!」

「私は―――様をこの後――へ案内――――んです!言っておきま―――、私だって―――!」

「――だよ!訓練―――くらい――あるだろ!!」

「ありません!誰の指示―――るでしょう?!殿――は諦め―――のです!粉をかけると首が飛びますよ!!」


え?何をすると誰の首が飛ぶって?

何だか物騒な話が聞こえたと思ったら急に静かになり、気になって後ろを向くとクラウス様の広い背中で全く見えなかった。


「クラウス様?」


私が声を掛けると、はっとしたようにクラウス様がこちらに振り返った。


「ああ、サインはできましたか?」


「はい。これで手続きは終わりですか?」


「いえ、もう一つ残っていまして…。」


そう言うと、クラウス様がパルスの皆に目を向けた。


「ロ、ローズ様、よろしければ後で訓練場にもお寄りください!」


パルス達は慌てたようにそう言って、逃げるように帰って行った。

あんまり慌てているので、なぜだろうと思いつつクラウス様の方に目を向けると、別の場所に移動するようで、にっこり笑ってこちらですと促された。


うん?

何だろう?

嫌な予感がするんだけど。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ