常識クラッシャー発動
誰視点で書くか悩みました。
結局ローズ視点です。
待ちに待った夕食の席でごちそうを食べながら、ローズは翼竜を手に入れた経緯を話していた。
「ローズ、山頂まであの山は結構険しくて大変だと聞いているが、実際どうだった?」
「そんなに大変でもありませんでしたよ?魔物の一匹にも出会いませんでしたし。普通に走って行きました。」
「「…。」」
「魔物に出会わないなんて、翼竜以外はそんなにいない山なのね。」
「そうみたいです。」
ヴァネッサお姉さまとそう話をしていると、お祖父様とお兄様が黙ったまま変な顔をしていた。
私は気にせず、翼竜の生態について分かった事や、見たことを思うまま話した。
「へぇ、翼竜も魔力差がない相手を選ぶなんて初めて聞いたわ。」
ヴァネッサお姉様が感心したようにそう言った。
「まあローズ程、魔力量を正確に読み取れる人間なんてそうそういないからね。
パレスやストラなら何人かいるだろうが、あの辺の人間は翼竜に興味がないし。
と言うか、魔法学以外に興味がないと言うべきか。」
レオお兄様がそう言って、ローズもうんうんと同意した。
「それで、ローズは今後翼竜を手に入れてどこへ行くつもりじゃ?」
おじい様が面白そうに聞いてきた。
「うーん。少し迷っています…。
まあ明日はパートナー申請をするためにギルドへ行くつもりですけれど。」
「「「ええ!!」」」
明日の予定を口にすると、なぜか全員が驚いて固まった。
ん?
「ロ、ローズ、まさかまだパートナー申請をしていないのかい?」
なぜそんなに驚いているのか分からないが、こくんと頷くとお兄様が深く息を吐いた。
「どうして翼竜の住処の横にあるギルドで申請しなかったんだい?」
「ああ、パートナーになってすぐ、色々飛行テストしていたら随分町から離れてしまっていて、そのままロザインに戻れそうだと思って。」
「海の上で、翼竜が力尽きるとは思わなかったのかい?」
「ええ。私もバルトも魔力が多いので、ロザインまで持つのは分かっていましたもの。」
「だが、魔力がすっからかんだと言っていたじゃないか。
ぎりぎりだったのだろう?」
「いいえ。魔力が尽きたのは、魔力譲渡でスピードの限界を試していたからですわ。
あとそのスピードがどれくらい持つのかを。
お蔭でツィッタートからロザインの港まで2時間で着きました!」
「「「2時間?!」」」
「はい。多分慣れればもう少し早くなると思います。
だから、ここから王都まで頑張ればきっと20分…はちょっと厳しいかしら、30分くらいで行けるのではないかしら?」
そう言うと、再びみんなが固まっている。
私は首をかしげながら、ああそれくらいで着くなら、ギルドではなくて王城で申請しようかと呟いた。
「ああローズ、いつになったら常識の範囲で会話ができるんだ。」
お兄様が頭を抱えながら言った。
ローズは再び首をかしげた。
「常識…、常識…、遠い昔にいっぱい聞かされたような気がしますけれど…、理解したことはなかったと思います。
うん。いっつも何言ってるかちょっと分からなかったんですよね。」
ローズ以外の三人は、同時に深いため息を吐いた。
ヴァネッサお姉さまの常識が壊されようとしています。




