062 来た来た来た!
ちなみにモンスターからのドロップ品は、何かの骨だった。
豚や牛の骨ならラーメンの出汁に出来るけど。まぁ作り方なんか知らないけどね。
47階は、これ以降何も起きなかった。
罠も無かったし、モンスターも出なかった。
と言っても勝手に解除されたのかもしれないし、モンスターは逃げただけだろう。
結果、50階層を超えて55階までやってきた。
何階まであるのだろうか? 食料はまだまだあるし、水は泉で入手出来るから良いんだけど。
日の光が無いから、何日経過したのかも判らなくなってる。
5回くらい途中で寝たんだけどな。
このまま何も起きないなら、後3回くらい寝たら引き返そうと思っている。
だってモンスターの検証が出来ないなら、ダンジョンを調べるくらいは1階で十分だし。
それに、ただ洞窟を進むだけって……楽しさが何も無いんだ。宝箱さえ発見できないし。
そう考えながら進む事6階、61階層まで来た時、変化を感じた。と言ってもハリーがだけど。
『モンスターの気配が多数! こいつら、逃げねぇぞ!』
「やっと登場か~。でも何でだろ?」
『ゴールが近いんじゃね? で、辿り着かれたくないから、強制的に襲わせるのかもよ?』
「ありうるね。後は、俺達よりも強いから恐れないのかも」
『まぁ何でもいいや。来るぞ!!』
「……いや、かっこつけて「来るぞ!!」とか言ってるけど、ここ、泉の周辺だから。
杭が無いから判らないけど、多分セーフティーエリア内だから」
『う、うるさいな! ロマンだよ、ロマン!』
ここまで冒険者が来てないのか、来ててもやってないのか不明だけど、杭が無い。
思えば50階辺りからそうだったと気がする。
なんて考えてると、とうとうモンスターがやってきた。
現れたのは……アリの大群。1匹がデカい。体長1mくらいか?
歯をギチギチと鳴らしながら、泉の周りを囲いだした。
やはりセーフティーエリアなのか、一定の距離からは近づいて来ない。
「ここから槍とかで攻撃すれば楽に倒せそうだな」
『おいおい、それはズルいだろ!』
「戦闘にズルいとか変だぞ? 勝つなら不意打ちや罠を使ったって良いだろ」
『ダメだよ! 語ってる時や変形してる時は攻撃しちゃダメなの!』
「戦場で語る意味が判らないけど……。後、変形するなら、そここそチャンスじゃないか?
変形部分とか柔らかそうだから、異物を入れるだけで弱体化すると思うぞ」
『変形部分に異物?! なんて卑怯で邪道な!!』
「戦闘に卑怯とか邪道とかあるのか……初耳だわ」
『あるに決まってるだろ! 例えば一騎打ちとかで、弓とか撃ったらダメだろ?!』
「双方が一騎打ちに応じればな。相手が言ってきても無視して戦えば済む話じゃん」
『か~~~っ。ロマンってのが判ってないなぁ!』
「ロマン語って負けたくないだろ、普通。
それに、歴史だってさ、勝った方が作ってるんだぞ?
負けた方の言葉なんて、真実でも負け惜しみとしか思われないんだぞ?」
のんきに会話してるが、アリは何重にもなってきている。
現在何匹居るのかも判らないほどだ。
「じゃあハリーは、この中に入っていって戦うんだな? 頑張れよ。
死んだら食べられる前に戻ってきてくれ。解剖して色々調べるから」
『行かねーよ! 死んだら戻ってこれないっつーの! 後、埋葬しろよ! 解剖すんな!!』
「じゃあここから攻撃で良いんだな?」
『当たり前だ!』
さっきと言ってる事が違うんだが。
まぁ安全圏から攻撃するのは当然だよ。では早速。
俺は目の前に居る1匹に、指先から弱火を出して当ててみる。
……う~ん、あまり燃えないな。皮膚が硬そうだからなんだろうか?
『……何やってるんだ?』
「えっ? 検証だけど?」
『炎を吐いて蹂躙とか、重力で1撃とか、そういうのは?!』
「こんなに安全な場所で蹂躙する必要が? それよりも検証の方が大事でしょ!
何に弱く何に強いのか。相手の攻撃方法は。指揮官のような存在は居るのか、それを倒したら撤退するのか。
足が1本無くなったらどうするのか。触覚が無くなったら。連携して攻撃してくるのか。
食事はどうするのか、持ち帰るのかこの場で食べるのか。それから…………」
『判った判った! 好きにやってくれ! 俺は反対側に行って、そっちで戦ってるから!』
「近くで数を減らされると困るんだよな。出来れば検証に協力して欲しいんだが」
『いーやーだ! 却下! 断る!!』
そう言い残してハリーは去っていった。
ここまで肩に乗せて運んでやったのに薄情なやつだ。
しょうがない。一人で検証するとしよう。




