006 魔法の基礎練
「何か食べたいんだけど、何か無いかな?」
『周辺の草はお前が食べたから無いぞ』
見回してみると、確かに草の一本も生えてない。
雑草を食って生き延びてたのか、俺。
「何も無いのか~。ん? じゃあドラゴンは何を食べているんだ?」
『食べなくとも生きられるので食べないぞ』
新事実!
ドラゴンは何も食べない!
「じゃ、じゃあ、どうやって生きているんだ?!」
『知らぬ。そんな事、考えた事も無いわ』
「え~?! 考えようよ! 考察しようよ~!」
『考えて答えにたどり着いたとして何になる? 意味無いわ』
「推測してそれを実験して、真実にたどり着く事が楽しいじゃないか!」
『そんな考えだから、ここで死にそうになったんだろ?』
くそ、ドラゴンに正論を言われた。ぐうの音も出ない。
「と、とにかく、俺は空腹なんだ。何か食べ物がある所を教えてくれ!」
『う~む、そうだな。ここからあの木に向かって進めば、確か実のなる木があったはずだ』
「ありがとう! 行ってみるよ!」
『待て待て、慌てるな。
その周辺は獣が縄張りにしてたはずだ。今のお前が行ったらそいつらのエサになるぞ』
確かに。
ただでさえ弱い俺が、衰弱しまくっている。
こんな状態で行けば、簡単に獣のエサになってしまうだろう。
『……ふう、しょうがないな。
我が取ってきてやろう。そしてお前は魔法の練習な』
「魔法の練習? ある程度は使えるけど?」
『人間の使うクソ弱い魔法なんぞ役に立たぬわ。
教えるのは、我々が使う魔法だ』
「ナニソレ! 興味ある!!」
『とりあえず、体内にある魔力を把握していろ』
そう言うとドラゴンは羽根を広げ飛び立った。
羽ばたかないのにどうやって飛んでいるのだろうか?
とにかく言われた事をやっておこう。
自身の魔力を把握するんだったな。
これは子供の時に教わる、魔法の基礎だ。
丹田辺りに意識を集中すると、感じる事が出来る。
分かりやすく言えば、食べた物が消化されてるかを意識して感じる、みたいな。
分かりにくい?
ま、まぁ、そうすると魔力を感じる事が出来るのだ。
最初はそれこそ内蔵の動きとか屁とかを感じてしまい勘違いするんだけども。
慣れればすぐにでも感じられる。
で、その魔力だけど。最大量を感じる事が出来る。
これを分かりやすく言えば……そうだな、汚い話になるけど小便が出そうな感じと似ている。
ほら、漏れそうな時って、膀胱がパンパンな感じがするでしょ?
あんな感じ。
さて、説明はこれくらいにして、早速把握しようか。
どれどれ?
………………………………うおぅ!!
めちゃくちゃ多い!!
なんだコレ?!
例えて言うなら、今までは500mlのペットボトル一本分くらいだったのが、風呂の浴槽満タンくらいになってる!!
ありえない数値だ。
宮廷に使える大魔法使いと言われる人を10として、一般人を1とする。
現在の俺は10001くらい?
何で下一桁に1を足したかって言うと、今までの保有分を足しただけ。
どうなっているんだ???
俺が悩んでいると、ドラゴンが帰ってきた。
口には大木を咥えて、足にはクマを握って。
『戻ったぞ』
「お、おかえり……。え~と、その木は? 後、そのクマは?」
『これが実のなる木だ。この獣はそこを縄張りとしている獣だな。
木を取ろうとしたら襲いかかって来たので返り討ちにした』
「な、何で木ごと取ってきたんだ?」
『この姿で、どうやって木の実を取れと?』
言われてみれば納得。
サイズが全然違う。UFOキャッチャーで砂を取るようなものだ。
『そこら辺に植えておいてやろう。そうすれば好きな時に食べられるだろう?』
「いや、木の実もなる時期ってのがあってね?」
『この実はいつもあるぞ?』
「えっ?! そんな木があるの?! 興味ある~!」
『興味持つのは後にしろ! まず食え!』
そうだった。
ありがたく頂きます。




