053 やっとギルド
「ところで、調査の為にダンジョンに入られるのですか?」
「え~と、何か問題が?」
「いえ、先程も言いましたように、格好が……」
確かにダンジョンに入る為の服装じゃない。
俺も疑問に思わなかったから、やはりラノベに影響されているのかも?
しかし、あんなに重装備したくない。
重力をイジれば気にならないかもしれないけど。
と言うか、よく考えたら精霊が守ってくれるので、このままでも問題無いと思う。
「大丈夫です。ちょっとした秘密があるので」
「は、はあ。そうですか。では冒険者証をお願いします」
「えっ?! 居るんですか?!」
「お持ちでは無いのですか?! いえ、絶対に必要と言う訳ではありませんが……」
兵士さんはその場で親切に説明してくれた。
入ってモンスターを倒せばドロップ品が入手出来る。宝箱もある。
それらを売却するのには、冒険者の方が良いらしい。
何故かと言うと、信用出来ないから。
例えば肉をゲットしたとしよう。
それを肉屋に売りに行く。その時、一般人が持ってきた肉と冒険者が持ってきた肉、どちらが怪しく見える?
当然一般人が持ってきた肉だ。どこから入手した?となる。
話せば理解してもらえるかもしれないが、どこに行っても説明しなきゃならなくなる。
それなら最初から冒険者登録してた方が早いという訳。
ついでに言えば、冒険者ギルドではまとめ買いもしてくれるらしい。
肉を肉屋に、鉱物を鍛冶屋に、なんて、回らなくても良い。
デメリットは、少し買取金額が安くなる事くらい。
もっと言えば、冒険者ギルドが雇っているポーター(荷物運び)も雇えるそうだ。
金は一杯あるし、荷物は収納魔法でどうにでもなる。
別に加入しなくても良いかな?
『よし! じゃあ登録しに行こうぜ!』
「えっ? 行くの?!」
『当たり前だろ! 冒険者になるのが定番だぞ! 身分証にもなるし!』
「いや、身分証あるし」
『良いじゃないか~! 登録しようよ~! 頼むよ~!』
ハリーが駄々をこね始めた。
可愛い女の子なら許せるけど、ハリネズミにされてもなぁ。
……まぁ長い付き合いになりそうだし。
しょうがない、ここは妥協しておくか。
「判った判った。登録しに行こう」
『ヨッシャー! 俺も今日から冒険者だぜ!』
「判ったから落ち着け。って事で登録してきます」
「了解しました。冒険者ギルドはそこの石造りの建物です」
「ありがとうございます」
やっぱりダンジョンの近くにあるんだね。
街中にあるよりも便利だもんな。
早速向かう事にしたのだけど……ハリーの様子がおかしい。
ぐふぐふ笑いながら、何かブツブツ言ってる。
「お~い、正気に戻れ~」
『悪い悪い。今から起きる事を考えてたんだ』
「今から起きる事? ギルドに行って登録して、そのままダンジョンに行くんだけど?」
『判ってないな~。これだから素人は』
何に対しての素人扱いなのだろうか?
『ガラの悪いヤツに絡まれるだろ? それから喧嘩になるだろ?
勝利するとギルドマスターやお偉いさんが出てきたりするだろ?』
「は? 何で?」
『違うパターンだと、困ってる冒険者とか苛められてる冒険者と出会うかな?
そういう時は大体、対象は女の子か子供だな。
で、助けて、惚れられたり尊敬されて兄貴と呼ばれたりするんだよ』
「え~と……」
『後は……そうだ! 俺が人間じゃないから登録出来ないとかありそう!
で、実力を見せる流れになるんだ。圧勝して注目される! 「目立ちたくない」とか言わないとな!』
俺はハリーにでこぴんをする。
『痛ぇ!!』
「落ち着けっての。そんな事になる訳無いだろ」
『何でだよ?! 異世界だぞ! なるに決まってる!』
「じゃあ質問するけど、冒険者ギルドってどんな組織ってか会社だと思ってるんだ?」
『国にも意見できるどこ国にもある組織!』
「そんな組織がガラの悪いヤツや苛めるようなヤツを雇ってる訳無いだろ?」
『いや、来るもの拒まずの組織だし……』
「過去は問わず、実力があれば加入出来るって事か?」
『そう! そういう事!』
「だとしたら尚更そんなヤツは居ないだろ。
だってそんなヤツらが居たら評判が落ちるじゃないか。
普通の組織なら、加入後に教育されるだろ。逆らえばクビになる前提で。
誰でも加入出来るって事は、そういう事だぞ?」
『だって、そういうヤツが居なきゃ主人公の強さや優しさがアピール出来ないじゃないか!』
アピールするためって判ってるじゃないか。
要は「俺Tueeee」って自慢したいだけでしょ?
「はいはい、ハリーは強い。強いよ。さ、さっさと行って登録しよう」
『流すなよ!』
相手するだけ無駄だと判ったので、早く行くとしよう。
入ってしまえば現実が判るだろうし。




