047 ハリーと精霊
山崎統、改め、ハリネズミ、改め、ハリーに決まった。
ここからは精霊との契約なんだが……難航している。
どうやら精霊は、契約者が俺だと勘違いしていたようで、ハリーとの契約を渋っている。
ドラゴンに聞いた所「ちゃんとお供え物をするのか不安」だという事。
俺が用意すると言っても、納得してもらえないようだ。
お供え物は契約者が用意するという決まりだそうで。
俺が準備して渡してもOKらしいのだが、離れてたら用意出来ないだろ、ってのが言い分らしい。
そこでドラゴンはやり方を変更。
この世界の全ての精霊に、俺が用意して渡すという方法でもOKを出す精霊を募った。
こうして来た精霊は3人?3体?ほど。
マイナーな精霊ばかりだそうだ。ドラゴンも詳しく知らなかったほど。
1人目は繊維の精霊。
繊維関係を司っているらしい。糸とか布とか。
2人目は菌の精霊。
命の精霊の管轄じゃなく、結構細分化されているらしい。
まぁ、イノシシの精霊とかじゃなくて良かったね。
3人目は超マイナー。音楽の精霊。
精霊としては新参者なんだそうだ。人間が音楽を生み出してので発生したらしい。
こうして集まった精霊だけど、ハリーは迷わず全員と契約した。
お供え物は全員が同じで、チュルというイチゴのような果物2粒づつ。
王都で買った中にもあったので、先払いしておいた。
「なんで全員と契約したんだ? 聞こえが悪いかもしれないけど、あまり便利じゃなさそうだけど」
『判ってないなぁ。ラノベの定番だぞ?』
「定番? どこが?」
『不便な魔法やスキルを覚えてそれを駆使して超絶強くなる、これこそチート!!』
「そうなの? 可能なの?」
『現代知識があれば不可能じゃない! いや、絶対に出来る! これは転生者の責務!』
「そ、そうか……。がんばれ」
『おう!!』
この日からハリーの特訓が始まった。
ドラゴンを介しての精霊との話し合いが続く。
そしてうまく行きそうな時は、すぐに実践して結果を出して改良。
ドラゴンからも魔力の使い方をレクチャーされてる。
俺も通った道だ。長くなりそうだね。
さて、俺はというと。
何故ハリーだけが成功したのか、等の気になる事を検証している。
使用した食材?を調べたり。
そうこうしている内に、1年が経過してしまった……。
「そろそろ町に行かなきゃヤバいな」
『何でだ? まだまだ特訓し足りないぞ?』
「特訓は良いけどさ。お供え物を購入してこないと。買った食料は随分前に底ついてるし」
『そりゃ確かにヤバいな。しょうがない、行くか』
「あれ? 一緒に来るのか?」
『人間の町見たいじゃん! ハリネズミくらいは連れて入っても大丈夫だろ?』
「ん~、多分大丈夫じゃないかな?」
『アレだ、従魔登録ってのをすればOKってヤツ。定番だろ?』
ラノベだとな。この世界では知らないけど。
まぁ小動物だし、最悪鳥籠みたいなのにでも入れれば大丈夫じゃないか?
『心配すんなって。勝手にどっか行ったりしないから』
「それも心配だけどさ。絡まれたりした時に魔法とか使うなよ?」
ハリーは何種類もの魔法を作成してるんだよな。
生活に便利な魔法から戦闘に使える魔法までさまざま。
一番驚いた魔法は幻音の魔法。
音楽の精霊を使って、背後に何かが居るような音を出すんだよね。
最悪の魔法もある。
菌の精霊を使った魔法で、その名も暴走魔法。
敵の体内にある菌やウイルスを活性化させて殺す、という恐怖でしかない魔法。
これを人間相手に使えば、完全犯罪が可能なのだ。病死に見えるっていう……。
ちなみにこの魔法は生活にも役立ってて、狩った獣の肉を熟成させたり、食べる時に菌を死滅させたりと大活躍なんだけど。
ね? 俺が心配するのも判るでしょ?




