040 剣ゾーン
まず俺が先に入る。
そして振り向き、中から通路を見る。
少しすると、王子の顔だけがニュッと出てきた。
「おおっ! これが異世界か!!」
「喋ってるのは普通に聞こえますね。俺の声はどうですか?」
「違和感無く聞こえるぞ!」
なるほど。全体が入らないと影響は無いのかもしれない。
「では、一度戻りましょうか。顔は抜けますか?
引っかかって首チョンパになりそうですか?」
「怖い事言うな!! ……違和感無く戻れると思う」
「じゃあ戻りましょう」
王子が頭を引っ込めたので、俺も一度戻る。
「陛下。中の会話は聞こえましたか?」
「いや、何も聞こえなかった。ガリムの首だけが消えていて気持ち悪かっただけだ」
あ~、真横から見たら、首だけ無いようにも見えるよね。
「実験の結果、体全体が入らなければ影響は無いようです」
「そうか。……ガリム、今度は入ってみるか?」
「イヤです!」
「……冗談だ」
絶対ウソだ。
即答しなかったらやらせてたに違いない。
「では、武具を持ってきます」
「判った。ちょこちょこと覗くかもしれんが、構わないかね?」
「良いですよ」
第一王子の犠牲により安全性は確保されたから、王様も見てみたいんだろうな。
俺が中に入り、剣を二・三本持って振り向くと、既に王様の顔があった。
実践するの、早いな!
「ところで、この状態でロキスル殿が通路を閉じた場合、どうなるのかね?」
「あ~、それも実験した事無いですねぇ。
予想出来るのは、切断されて閉じる、挟まって閉じられない、大きさも変わらず閉じられない、の3点でしょうか?」
「なるほど。植物・動物・鉱物で実験してみるべきだな」
「そうですね。はい通りますよ~」
鉱物なら、今持っている剣で実験出来るけどね。
もし切断されたら困るのでやらないけど。だってこれ、預かり物だし。
持ち出した物から順番に並べていく。
それを軍務大臣さんが、吟味しながら見ている。
と思ったら扉を開けて兵士に伝言をしてた。
「何かありましたか?」
「想像以上に価値のありそうな物がありましたので、目利きの者を呼びました」
どうやら貴重品があるようだ。
まぁ、ドラゴンを退治しようと思う者が“なまくら刀”を持って来ないよね。
俺は次々と運び出す。
途中から二人の王子も協力してくれた。
両腕だけ中に入れて、それに俺が中で手渡すと運んで並べてくれる。
30分くらいかけて、剣ゾーンが終わる。
「剣は以上です~!」
「……剣は? 他には何があるのだ?」
「次は槍を持って来ようと思ってます。
後は、弓・ナイフ・メイス・斧・ハンマー・針・杖で武器は終わりです」
「ぶ、武器は? と言う事は、防具は別か?!」
「はい。盾・鎧・ヘルム・籠手・ローブ・靴・グローブですね」
「…………マジか」
多いよね! 俺もそう思った!
でもここに来るまでに整理しておいたんだよ!
「武器だけで、この部屋が埋まりそうだな……」
「大丈夫だと思いますよ。剣が一番多いですから」
「そうか……。しかし今日は剣だけにしてもらえないか? 他の物は明日以降という事ではダメだろうか?」
こういう時は、あちらに従った方が良いのだ。
全部出してしまっては逆に時間がかかったりする。
全部出して「また来ます」って手もあるけど、いつ来るか判らないしさ。
なにより、何も持たずに帰れない。お金になるならお金にしてドラゴンに渡さないといけないし。
「判りました。では残りは後日で」
「すまんな。これらは今日中に査定をするので、待っていてもらえないだろうか?」
「では私がお相手をしていよう」
軍務大臣と話していたのに、第一王子に拉致されてしまった。
一旦街に戻りたかったのに……。




