003 記憶
3話目です。
これが現状までの回想。
走馬灯とも言えるかな?
ちなみに、この死にそうってのはさ。
なんて言うのかな。
呼吸出来ない!
頭が破裂しそうなほど痛い!
こんな感じじゃないんだ。
呼吸も穏やかだし、どこも痛くない。
じんわりと命の火が消えていくと言えば良いのか。
あっ、俺、このまま死ぬんだ、って頭が理解している。
あ~、悔いの残る人生だったなぁ。
思えば、親にも苦労かけた。
そう言えば研究にばかりお金を使ってて、親に仕送りの一つもしなかったなぁ。
あのマンガの続き、読みたかったなぁ。
…………ちょっと待て。
マンガってなんだ?
そんな物を読んだ事無いぞ。無いはずだ。いや、ある?
何だ? 何か違う過去の記憶があるぞ?
飛行機? 新幹線?
何、その鉄の塊は。それが凄いスピードで動く?
どういう仕組みだ?
『お前、さっきから何をブツブツ言ってる?』
「いや、知らない記憶が蘇ってきて……」
『あ~、それはあれだ。前世の記憶ってやつだ』
「知ってるのか?」
『何を言っている。この世の生物全て、生まれ変わりだぞ? もしかして人間は知らないのか?』
そんな事があるのか?!
いや待て。確かに教会で「死んだら新たな生命に生まれ変わります」と教えられたな。
その時は「生まれ変わったという事実を記憶している人が居るんですか?」としつこく質問して教会から追い出されてたわ。
事実だったのか。
「何で俺は前世の記憶を思い出したんだ?」
『強烈な刺激を受けると、そうなる事があると言われている。
今お前はアホな事して衝撃を受けた。それが影響してるのだろう』
ちょこちょこディスるの止めろ。
……ディスる? 何この言葉。知らない。いや知っている。
こういうのが前世の記憶に関係してるのか?
「思い出したらどうなるんだ?」
『どうもならん。昔そうだった事を思い出すだけだ』
「全然知らない知識を思い出すんだが?」
『あぁ、それは違う世界のものだろう』
「違う世界?!」
『人間はそんな事も知らないのか。世界はここだけではない。次元の違う所に無数にある』
「何でそれが判るんだ?」
『我々ドラゴンは次元の波を超えられるからだ。
気に入った世界に行き、そこで子を生み育てる。育った子は留まるか、また違う世界に旅立つ』
ドラゴンでは常識らしい。
「では、神とは!」
『神はこの世界を作った者。我々ドラゴンは神に使えし者だ』
神は居る。そしてドラゴンは使徒だった。
使徒を討伐とか……神を信じているのに、なんとも罰当たりな事をしているんだな。
あ~、ホワイトドラゴンと会話している内に、前世の記憶がバンバン蘇ってきたわ。
新内純平。
これが前世での俺の名前。
前世でも学者だった。
ロボット?とかいう人が乗って操作する物を作ってた。
俺が乗って試運転をしていると、それが暴走し道路に飛び出した。
そしてトラックを引いてしまい、その事でショック死。そして転生。転生時に前世の記憶は封印された。
トラックに跳ねられて転生は聞いた事があるけど、逆にトラックを跳ねて転生って珍しいのでは。
バカバカしい死にっぷりだ。
前世の記憶と今の俺の記憶が、俺の中で混ざり合っていく。
俺は俺であり、新内純平でもある。何故かそれが納得出来た。
そして理解した。
どうも元々記憶の封印が不十分だったっぽい。
なので前世、つまり新内純平の考えが無意識にあり、この世界の不思議な点を質問してたっぽい。
こちらの世界の人間が突然異世界である日本に飛ばされれば、テレビとか仕組みが気になるだろう。
そういう事だったのだ。
ってかさ、せっかく前世の記憶も蘇ったのに、今死にそう。
これもまた前世の記憶となり、次の誰かに引き継がれるのかね。
……う~ん、ややこしい!!




